Niantic Spatial、法人向け3Dスキャンアプリ「Scaniverse for business」をリリース

Niantic Spatialは、3Dデータを生成するスキャンアプリ「Scaniverse」の機能をさらに広げた「Scaniverse for business」を新たに発表しました。これは、従来の便利なスキャン機能はそのままに、企業から要望の多かった新しい機能を追加した法人向けのサービスです。

Niantic Spatial Scaniverseロゴ

Scaniverse for businessの主な新機能

「Scaniverse for business」では、スマートフォンを使って広い場所や大きな建物の3Dモデルを作るのが可能になりました。また、次のような新しい機能が加わっています。

  • 複数の人がそれぞれスキャンしたデータを一つにまとめ、一つの3Dモデルを作れるようになりました。

  • 360°カメラで撮影したデータも取り込んで使えるようになりました。

  • 作った3Dモデルを、特別な技術を使った位置情報マップ(VPSマップ)に変換できるようになりました。

これらの機能は、私たちの身の回りにある物理的な世界を、コンピューターが理解できる形にするための大切な一歩となります。例えば、私たちが普段使うスマートフォンの画面の外で行われる経済活動の多くは、このような物理世界での正確な情報がとても重要です。Niantic Spatialは、人と機械がスムーズにやり取りできる「生きた世界のモデル」を作るための土台を築いています。

進化したScaniverseの機能

「Scaniverse」は、小さな部屋から広大な施設まで、さまざまな空間の3Dデータを正確に記録できるようになりました。この記録には、皆さんが持っているスマートフォンだけで対応できます。さらに、今回から360°カメラのデータも取り込み、処理できるようになり、特別な撮影機材や訓練は必要ありません。

スマートフォンアプリの進化

アップデートされたScaniverseアプリは、これまで多くの場所や物のスキャンに使われてきた技術をさらに発展させています。

iPhoneアプリでの3Dスキャンワークフロー

  • 一つのスキャンで複数の出力: 一度のスキャンから、精密なVPSマップ、高精細なメッシュ、スプラット(3D Gaussian Splatting)といった複数の3Dデータを生成し、Scaniverseビューアで見ることができます。

  • コラボレーション: 複数の人が異なる時間やスマートフォンで撮ったスキャンデータを、一つのプロジェクトにまとめて共有できます。データはクラウドに保存され、統合されたアセットを作ることができます。

  • 端末でのプレビュー: スマートフォン上でVPSマップのプレビューができるため、電波の悪い場所でもすぐにスキャン範囲やデータの品質を確認でき、現地で簡単に位置特定テストができます。

ビジネスアカウントや個人アカウントについて詳しく知りたい場合は、よくある質問(FAQs)をご覧ください。

ウェブ版Scaniverseの登場

scaniverse.nianticspatial.comでは、複数の人がデータをアップロード、管理、処理することが可能です。Scaniverseアプリや360°カメラからデータを取り込み、処理された3Dモデルを確認できます。

ウェブアプリでのデータ管理画面

  • 広くて複雑な場所の可視化: 360°カメラのデータをアップロードすることで、建設現場や工場、市街地のような広い場所をガウシアンスプラットとして再構築し、見やすくすることができます。

  • アセット処理と確認: メッシュ、スプラット、ロケーションマップを生成し、Niantic Spatial VPSを通じてプレビューできます。360°カメラのデータを使ったVPS対応も近日中に利用可能になる予定です。

  • チームでの共同作業: 現場のチーム、エンジニア、作業員が、場所やスキャン、処理の状況に同時にアクセスできるため、常に最新の共有モデルを使って作業を進められます。

生成された3Dデータは、FBX、PLY、そしてオープンソースのガウシアンスプラットフォーマットであるSPZといった一般的な形式で出力できます。これらのファイルは、ロボットのシミュレーションなどにも利用可能です。

ウェブアプリでの建設現場3Dモデル

グローバルVPSで正確な位置特定

GPSは50年以上前に作られ、おおまかな位置特定には役立ちますが、高層ビル街などでは電波が反射して誤差が生じたり、セキュリティ上の問題で信号が妨害されることもあります。

Niantic SpatialのVisual Positioning System(VPS)は、カメラの映像と高度なコンピューターの技術を使って、リアルタイムで非常に正確な位置と方向を示します。これにより、複雑な道を走るロボットや、工場で特定の部品を探す技術者、周りの状況を理解するAIグラスなど、さまざまな場面で役立ちます。

Niantic SpatialのVPSは、位置と向いている方向をセンチメートル単位の誤差で提供します。これは、良い条件でのGPSの精度(3~5メートル)と比べても格段に高く、屋内や地下、GPSが届きにくい場所での利用に適しています。

これまでのVPSは、使う場所を事前にスキャンしておく必要がありましたが、新しく登場した「VPS 2.0」は、この制限をなくし、世界中で利用できるようになりました。GPSの電波が不安定な場所でも、視覚情報や複数のデータを使ってGPSの誤差を補正し、安定した信頼できる位置情報を提供します。

これらの技術が一つにまとまったシステムになったことで、どこでも安定して位置を特定でき、特に重要な場所ではセンチメートル級の精密な位置特定へとスムーズに切り替えることが可能になります。

NSDK 4.0で地理空間アプリを開発

Niantic Spatial Development Kit(NSDK)を使うと、Scaniverseを活用した地理空間アプリやサービスを作ることができます。今月には、Unity、Swift、Native Androidに対応した「NSDK 4.0」が一般公開されます。また、要望に応じてROS 2(ロボット用OS)に対応したNSDKの早期サポートも開始されます。

このアップデートにより、高性能なモバイルアプリの開発や複雑なロボットシステムの構築など、幅広い開発環境で、既存の作業方法を活かしながら開発を進められるようになります。

想定される利用シーン

Scaniverse(ビジネスアカウント)とNiantic Spatial VPSは、以下のような場面での利用が想定されています。

  • ロボットメーカーや運用者: ロボットが屋内やGPSが届きにくい場所で迷うことを防ぎ、常に正確な位置情報を提供します。

  • エネルギー、建設、物流業界: 複雑な現場のナビゲーションを助け、点検や共同作業をスムーズにします。Scaniverseで精密にマッピングすることで、チームと機械が共通の3Dモデルを使って作業できます。

  • 公共機関: GPSが届きにくい場所での作業に役立ちます。VPS 2.0は、GPSが使えない場所でも信頼できる位置と方向の情報を提供します。

  • 大型施設: ScaniverseとVPSにより、常に正確な位置情報に基づいた空間アプリを実現します。

今回のアップデートは、広範囲の地理空間モデルを「キャプチャ(記録する)」「再構築(3Dモデルにする)」「位置推定(場所を特定する)」することに焦点を当てています。今年後半には、AIが世界をナビゲートするだけでなく、その中の物や環境を理解するための地理空間基盤モデルについても発表がある予定です。

Niantic Spatialについて、より詳しい情報は公式ブログで確認できます。

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