AUVなどを活用した洋上風力発電設備の無人点検に向けたロードマップを提案

東洋エンジニアリング株式会社(TOYO)は、日鉄エンジニアリング株式会社(NSE)、株式会社FullDepth、沖電気工業株式会社(OKI)と協力し、自律型無人探査機(AUV)などを活用した洋上風力発電設備の無人点検システム実現に向けたロードマップを発表しました。この取り組みは、内閣府総合海洋政策推進事務局の「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業」の一環として行われたものです。

このロードマップは、今後導入が期待される洋上風力発電設備の水中点検作業について、危険性の低減と無人化を目指し、AUVなどの水中点検システムの将来像を示しています。

実証試験の概要

ロードマップ作成にあたり、2025年10月に静岡県沼津市で実証試験が行われました。この試験では、遠隔操作型無人潜水機(ROV)、自律型海洋無人機(ASV)、そしてAUVを組み合わせて使用しました。観測対象の水中部分に対し、映像撮影やソナー(音波による探知)を用いた点検作業を実施し、水中点検作業の自律化と無人化に必要な技術的・運用上の課題(海底部分の点検方法や運用体制など)を特定しました。

本実証試験の詳細は、以下のPR動画で確認できます。

実証試験PR動画

AUV社会実装に向けたロードマップの提案

実証試験で明らかになった課題を踏まえ、洋上風力発電設備の水中点検作業をより効率的かつ低コストで行うため、2030年と2040年における水中点検システムの将来像が検討されました。特に、広範囲の点検を自律的かつ無人で行うために、ASVとAUVを組み合わせたシステム構成など、海洋ロボティクスを最適な形で配置する計画が立てられています。また、2030年の早期社会実装に向けたマイルストーンとして、継続的な技術開発や検証、長期的な実装試験の実施などがロードマップに盛り込まれています。

洋上風力発電設備の監視・保守システム概念図

TOYOの主な取り組み

サービスプロバイダの事業化に向けた概念検討

TOYOは、洋上風力発電事業者向けの保守・点検サービスを事業化するために、「サービスプロバイダ」の役割が重要であると考えています。サービスプロバイダは、AUVなどの海洋ロボティクス技術だけでなく、機器開発者、機器保有者、作業実施者、IT関連サービス提供者など、多岐にわたるパートナーの技術やシステムを統合し、利用者の意思決定から実行までを包括的に支援する存在です。本事業では、洋上風力発電事業の保守・点検作業を想定し、サービスプロバイダの役割やビジネスモデル、エコシステムについて検討・整理が進められました。

洋上風力発電の保守点検サービスにおけるエコシステム図

海洋データ利活用基盤の概念検討

AUVなどの海洋ロボティクスは、国内で不足している海洋データを取得するための重要な手段として期待されています。本事業では、これらのロボティクスが取得した海洋データを安全かつ迅速に流通させ、その活用を促進するための基盤として「海洋データスペース」の構築が提案され、技術面と運用面での検討が行われました。この基盤が実現すれば、洋上風力発電事業だけでなく、水産業や海洋資源開発など多様な産業分野での横断的な海洋データ活用や、MDA(海洋状況把握)の強化にも貢献できると見込まれています。

今後の展望

TOYOは、2030年頃のAUVなどの社会実装を目指し、洋上風力発電事業を対象としたサービスプロバイダの事業化や、MDAの強化に役立つ海洋データ利活用基盤の構築などを通じて、海洋産業における新たな価値創造を進めていく方針です。

参考情報

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