社会インフラの危機に挑む!アーリーリフレクションのCTOが語る「維持管理DX」の未来

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)は、2026年3月に、会員企業である株式会社アーリーリフレクションのCTO、伊藤友紀氏へのインタビュー記事を公開しました。この記事では、老朽化が進む日本の社会インフラを支えるための技術戦略と、維持管理のデジタル変革(DX)にかける伊藤氏の思いが語られています。

社会インフラの老朽化とデジタル化の必要性

日本が抱える社会インフラの老朽化は、今や待ったなしの状況です。昭和39年の東京オリンピックをきっかけに整備された首都高速道路をはじめ、全国の道路、橋、トンネル、ダムなどが50年以上を経て、大規模な修理や更新が必要な時期を迎えています。さらに、現場を支えてきた技術者の高齢化や人手不足も深刻化しており、維持管理の業務をデジタル化することは、将来の課題ではなく「今すぐ取り組むべき課題」となっています。

このような背景の中、アーリーリフレクションは2025年12月、施設管理クラウド「BIMSTOK(ビムストック)」の全面リニューアルを発表しました。これは、老朽化するインフラや建物の維持管理情報を、3次元のBIM/CIMモデルと組み合わせ、さらにAI(人工知能)のサポート機能も加えた新しいプラットフォームです。これにより、社会インフラがこれからも長く使われるための手助けを目指しています。

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インタビュー記事全文

「BIMSTOK」の3つの進化

「BIMSTOK」のリニューアルでは、特に以下の3つの点で大きく進化しました。

1. 進化したBIM/CIMビューアで「見てわかる」施設管理へ

新しい「BIMSTOK」は、維持管理に特化したシンプルで使いやすい画面(UI)になりました。マニュアルがなくても誰でも直感的に操作でき、BIM/CIMモデル上に維持管理の情報をピンのように表示し、クリック一つで詳しい情報を見ることができます。まるで現地にいるかのように施設の状況をリアルに把握でき、組織全体で施設管理の情報を共有しやすくなります。

PLATEAUプロジェクトのテスト画面

2. 「ノート」機能で情報をまとめ、空間と結びつける

「ノート」機能は、点検や修理に関する報告書、写真、関連リンクなど、これまでバラバラになりがちだった情報を一つにまとめ、BIM/CIMモデル上の具体的な場所と結びつけます。これにより、「どこで、いつ、何が起きたのか」をモデル上で一目でわかるようになり、情報の引き継ぎや部署間の情報共有がとてもスムーズになります。

都市の港湾エリアの3Dモデル

3. AIアシスト機能で業務スピードを加速

AIアシスト機能では、AIがBIM/CIMモデルを分析し、施設の概要を自動で作成します。「このバルブの数は?」や「壁を非表示にして」といった自然な言葉での質問にもすぐに答え、画面の操作から情報検索までを直感的に行えます。今後は、点検の優先順位を決めたり、劣化の予測をしたりと、AIが活躍する範囲をさらに広げていく予定です。

旧と新の空撮比較画像

CTO伊藤友紀氏のキャリアと技術哲学

アーリーリフレクションの技術戦略を率いるCTOの伊藤友紀氏は、もともと塾講師をしていました。しかし、パソコンに触れる趣味が高じてエンジニアの世界へ飛び込み、大手地図会社のコンシューマ地図ソフト開発に携わり、会社の株式上場にも貢献しました。その後、13年ぶりに現在のアーリーリフレクション代表である田中喜之氏と再会し、再び開発の現場に戻ることを決意します。

伊藤氏は「難しい方が楽しいんです」と語り、長年の経験から培った問題解決の力で、困難なプロジェクトにも積極的に挑戦してきました。お客様との対話を通じて、本当に必要なものを見極める力を磨き、どんな問題も解決できるという自信を持って仕事に取り組んでいます。

「あきらめてちゃんと考える」哲学がもたらす価値

アーリーリフレクションの社名「アーリーリフレクション(早期反響)」には、「世界を変えるアイデアの最初のさざ波を起こす」という意味が込められています。伊藤氏が大切にしているのは、「技術はあくまで道具であり、その道具が誰に役立ち、誰を喜ばせるのかを考え続けること」という哲学です。

社内には、田中代表が提唱する「あきらめてちゃんと考える」という考え方が根付いています。これは、お客様から「Aというボタンがほしい」と言われても、本当にそれが最善なのか、もっと良い方法はないのかを深く考え抜くという姿勢です。この徹底した考え方から生まれたのが、今回のリニューアルで大きく進化した「BIMSTOK」です。

伊藤氏は、「本当に使える道具ができれば、それを使う人に心の余裕が生まれる。その余裕を、日々の書類作業ではなく、会社をもっと良くするためのアイデアを考える時間に使ってほしい」と話しており、現場の課題から生まれたプロダクトが、日本のインフラを支える力になると確信しています。

「BIMSTOK」が描く社会インフラの未来

アーリーリフレクションは、「Early IO」というデータ統合基盤にも注目しています。これは、既存のデータベースやファイルサーバーをそのまま活用できるシステムで、「新しいシステムに全て入れ替えるのは大変」という現場の声に応えたものです。AIによる傾向分析や画像解析機能も備え、ひび割れの検出や道路の損傷を自動で判断することも可能になります。

今後の「BIMSTOK」は、ドローンとの連携、点検業務用のアプリ、劣化図の作成、さらには多言語対応や世界展開へと、段階的に進化を続ける計画です。「世界を変えるというと大げさに聞こえるかもしれませんが、変えられるところはどんどん変えていきたい」という伊藤氏の言葉には、技術者としての強い決意が感じられます。

ドローンを用いた3Dモデリングと地理空間データ解析

まとめ:SAJとの連携と今後の期待

アーリーリフレクションは2025年10月にSAJに加入しました。SAJは800社以上のIT関連企業が集まる場所であり、アーリーリフレクションはここでの新たな連携や、共通の課題解決への貢献を期待しています。

SAJが創立40周年を迎えるこの年に、社会インフラのDXという重要な課題に真剣に取り組む企業がSAJの仲間になったことは、IT業界全体にとっても大きな意味があります。「あきらめてちゃんと考える」という精神のもと、技術を通じて社会に貢献するアーリーリフレクションの取り組みは、これからのIT業界の明るい未来を示すものとなるでしょう。


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