発掘装置市場、2031年には74億ドル規模へ QYResearchが成長要因と課題を分析

QYResearchの最新調査レポートによると、建設工事や鉱山開発、土木インフラ整備などで活躍する「発掘装置」の世界市場は、今後も着実に成長を続けると予測されています。

発掘装置のグローバル市場シェアと需要予測

発掘装置とは

発掘装置は、地中の土砂や岩石を掘り起こし、取り除くために使われる機械設備です。道路や建物の基礎工事、上下水道や通信ケーブルの設置など、様々な建設現場で必要とされます。作業の効率と安全性を高めるために導入され、都市部の狭い場所から大規模な工事現場まで、幅広い環境で利用されています。

この分野では、掘る力、操作のしやすさ、そして丈夫さが特に重要です。硬い地盤や岩を掘る能力、長く使い続けられる耐久性、そしてメンテナンスのしやすさなどが評価されます。また、都市部での工事では、騒音や排気ガスに関する規制に対応することも求められています。

市場規模の現状と将来予測

QYResearchが発表した「発掘装置ーグローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」レポートによると、発掘装置の世界市場規模は、2024年の約58億3300万米ドルから、2025年には60億1900万米ドルに拡大する見込みです。

予測期間である2025年から2031年にかけては、年間平均成長率(CAGR)3.5%で成長し、2031年には74億1800万米ドルに達すると予測されています。

発掘装置の世界市場規模予測グラフ

この市場を構成する主な企業には、Atlas Copco、Bessac – Tunnels & Microtunnels、Hitachi Zosen、Sandvik Construction、SANYHE International Holdings、HERRENKNECHT、Akkerman、Astec Industries、China Railway Engineering、China Communications、DH Mining System、Furukawa Rock Drill、GHH Mining Machinesなどが挙げられます。

製品別では「Excavator(掘削機)」、「Forklift(フォークリフト)」、「Spray Car(スプレー車)」、用途別では「Subway(地下鉄)」、「Mining(鉱業)」、「Other(その他)」に分類され、それぞれの市場動向が分析されています。

ロードヘッダーのイメージ

市場を牽引する成長要因

発掘装置市場の成長には、いくつかの重要な要因があります。

1. 大都市圏地下交通網の拡充

東京や大阪などの大都市圏では、人口増加に伴う交通渋滞を解消するため、地下鉄の延伸や乗り換え網の整備が継続的に進められています。これにより、地下トンネル工事の需要が長期的に存在しています。高層ビルが立ち並び、地下に様々な設備が埋まっている都市部での工事では、安全かつ非常に正確な施工が求められるため、発掘装置には高い姿勢制御精度や止水性能、土圧管理能力といった高度な機能が不可欠です。

2. 老朽化したインフラの更新と防災対策

高度経済成長期に整備された上下水道や交通トンネルは、現在、老朽化が進み更新の時期を迎えています。新しいものを造るだけでなく、既存の構造物の近くで工事を行ったり、広げたりする作業が多く、高い施工精度とリスク管理能力が重視されます。また、日本は自然災害が多い国であるため、災害に強いインフラを整備するための政策が進められており、発掘装置には様々な地盤に対応できる力や、地盤の沈下を防ぐ性能、安定して掘り進む能力など、高い信頼性が求められています。

3. 労働力不足に対応する自動化の需要

日本の建設業界では、熟練した技術者の高齢化と若者の不足が大きな課題となっています。特に地下工事の分野では、経験豊富な技術者の確保が難しく、少ない人数で作業を進める「省人化」が避けて通れません。自動で部品を組み立てたり、姿勢を自動で修正したり、離れた場所から監視できる機能を持つ発掘装置は、現場で働く人の数を減らし、工事期間を短くすることに貢献します。初期の導入費用は高くなりますが、長い目で見れば人件費の削減や安全性の向上につながるため、投資する価値があるという考えが広がっています。

生み出される市場拡大の機会

発掘装置市場は、都市開発や資源開発の多様化により、新たな活用分野へと広がっています。

1. データ統合と予知保全機能の進化

最近の産業界ではデジタル化が進んでおり、発掘装置にも様々なセンサーが搭載されるようになりました。掘削機の回転力、推進力、振動、掘り出した土の温度などの運転データを分析することで、部品の摩耗や異常の兆候を事前に察知し、故障する前にメンテナンスを行う「予知保全」が可能になります。日本の工事現場では、工事の遅れを避けることが非常に重視されるため、計画外の停止を減らせる機能は高く評価される傾向にあります。機械本体だけでなく、遠隔で診断できるシステムや、運転データを管理するサービスを提供できるメーカーは、競争において有利な立場を築きやすいでしょう。

2. 小断面施工分野での需要拡大

都市部では、地上空間が限界に近づいており、電気、通信、ガスなどのライフラインを地下にまとめて設置する動きが加速しています。共同溝や小さなトンネルを建設する際には、非常に正確で、狭いカーブにも対応できる発掘装置が求められます。工事の開始・終了地点が限られる日本の都市環境では、コンパクトな設計と柔軟な掘削制御機能が重要です。小断面に対応できる機種は、都市の再開発市場における成長分野として注目されています。

3. 硬岩対応技術の資源開発分野への応用

日本は山が多く、地熱資源や水資源の開発の可能性があります。交通トンネル以外にも、山間部での貯水トンネルや地熱発電に関連する坑道の整備が注目されています。花崗岩のような硬い岩盤を安定して掘り進むためには、高い回転力と、摩耗しにくい部品を備えた発掘装置が不可欠です。硬い岩盤に対応する技術を持つメーカーにとって、エネルギー関連の地下工事は新たな市場機会となる可能性があります。

市場が直面する障壁

発掘装置の需要は高いものの、日本市場特有の環境がいくつかの課題を生み出しています。

1. 高額な設備投資と公共予算の制約

大型の発掘装置は非常に高価な設備であり、導入には多額の費用がかかります。大手の建設会社にはある程度の資金力がありますが、中小の建設会社にとっては大きな負担です。日本の公共工事では予算審査が厳しく、設備の更新費用が抑えられることもあります。このため、既存の機械を長く使い続ける傾向があり、新しい高性能な機械の市場への普及がゆっくりになることがあります。

2. 複合地盤による施工リスク

日本は地震が多く、柔らかい地盤、硬い岩盤、断層による破砕帯などが混ざり合った「複合地盤」が多いのが特徴です。同じトンネルの区間内で地質条件が急に変わることも少なくありません。突然の湧き水や、事前に確認できなかった障害物があると、発掘装置が停止したり、部品が損傷したりするリスクが高まります。このような不確実性から、発注者側は実績のある機械を優先する傾向があり、新しい技術の導入には慎重な姿勢が見られます。

3. 高度な運用人材の不足

発掘装置の自動化機能が進化しても、その性能を最大限に引き出すためには、地質に関する知識と機械の制御技術の両方を理解している専門家が必要です。日本市場では、このような複合的なスキルを持つ人材が不足しており、設備の性能を十分に活用できないケースも考えられます。人材育成の体制を整えることは、先進的な機械の普及速度に影響を与える要素となっています。

レポートの詳細

本記事は、グローバル市場調査会社QYResearchの調査データと分析に基づいて作成されています。より詳しい情報や無料サンプルレポートは、以下のリンクから確認できます。

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