AIエージェント活用による「設備管理向けナレッジ活用アプリケーション」の提供を開始

AIエージェントを活用した「設備管理向けナレッジ活用アプリケーション」が、2026年3月4日より提供開始されました。

設備管理業務の課題と新アプリケーション

建物や施設の設備管理業務では、作業手順の確認に時間がかかったり、経験豊富な熟練者の知識や技術が十分に若い世代に伝えられていなかったりといった課題がありました。また、設備に関するマニュアルや図面、トラブル対応の情報などがバラバラに管理されているため、現場での作業確認や過去の事例を探すのに手間がかかることも問題でした。

この課題を解決するため、日立ソリューションズは「設備管理向けナレッジ活用アプリケーション」を開発しました。このシステムは、設備に関する情報、熟練者の経験や知識、そして点検に関する書類などを一つにまとめて管理します。設備管理者は、スマートフォンなどのデバイスを通じてAIエージェントと話すことで、必要な情報を効率よく手に入れることができます。これにより、トラブルが起きたときの対応が早くなり、作業の質も一定に保たれるようになります。

設備管理向けナレッジ活用アプリケーションの概要図

アプリケーションの主な特長

1. 設備情報とナレッジの関係性を踏まえた適切な回答

このシステムでは、設備の情報と熟練者の知見、点検関連書類の間の関係性を明確にしています。そのため、一般的なキーワードだけで探すのではなく、これらの関係性を考慮した、より適切な回答を得られます。

2. 利用者の習熟度に応じた「パーソナライズ回答」

利用者の経験や担当する業務に合わせて、回答の内容が最適化されます。例えば、経験の浅い設備管理者には、対応のポイントだけでなく、基礎知識や過去の事例なども含めた詳しい情報が提供されます。一方、熟練者には、判断に必要な重要な点を簡潔に伝えるなど、それぞれのレベルに合った情報が得られます。

3. 熟練者の知見の明確化とナレッジ抽出を支援

システムの導入時には、日立ソリューションズが熟練者への聞き取りを行い、その音声データをもとに知識を整理し、明確な形にします。また、現場で使われる専門用語も整理し、業務の標準として整えます。これらの情報と生成AIを使うことで、現場で当たり前とされている「暗黙の知識」を、誰もが活用できる「明確な知識」として引き出し、整備します。

開発の背景と技術

このシステムの開発には、日立製作所と日立プラントサービスが共同で開発した次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy(ナイヴィー)」が活用されています。「Naivy」は、メタバース空間の情報と現場でリアルタイムに発生する出来事を合わせて、必要な情報をわかりやすく提供することを目指したAIエージェントです。

日立グループでは、自社の事業基盤を「最初の顧客(カスタマーゼロ)」として新しい技術を先行して導入し、その効果を検証しています。今回のシステムも、株式会社日立リアルエステートパートナーズでの実証を通じて、知識の蓄積と活用による業務の効率化や技能継承の効果が確認されています。

今後の展望

日立ソリューションズは、今後もこのシステムの使いやすさを高めるために、スマートデバイスでの音声入力による問い合わせ機能や日報作成機能、常に知識を新しく保つ機能などを追加していく予定です。将来的には、このシステムの仕組みを他の業務分野にも広げ、熟練者の持つ知識の活用と定着に貢献していくことを目指しています。

また、日立グループ内での連携を強化し、AIとデータに日立が長年培ってきた専門知識を組み合わせることで、社会のインフラが抱える複雑な課題に挑みます。そして、顧客と社会に最大の成果と価値を提供する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」として、取り組みを拡大していくことも視野に入れています。

現場からの声

株式会社日立リアルエステートパートナーズのファシリティ本部長である小池孝氏は、次のようにコメントしています。

「設備管理業務において、各拠点での現場ノウハウが個々に閉じていることや、特定の個人に頼りがちであること、そして人口減少に伴う熟練者から若手へのノウハウ継承の問題は、解決が急がれる課題の一つです。日立ソリューションズとの協力により、これらの課題解決を支援する『設備管理向けナレッジ活用アプリケーション』が開発され、今回製品化されたことを大変喜ばしく思います。日立リアルエステートパートナーズでは、今後の設備管理拠点への導入を検討し、保守業務のDX推進に取り組んでいきたいと考えております。」

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