三機工業が「試運転調整支援ツール」を開発 BIMデータ連携で作業を効率化
三機工業株式会社は、ダクト系の試運転調整作業を効率化する「試運転調整支援ツール」を開発しました。このツールは、2024年に開発された設計・施工支援システム「BIM計算連携プラットフォーム」と連携し、BIMデータを活用することで、試運転調整に必要な解析モデルの作成を半自動化します。これにより、調整作業の省力化と品質向上を実現します。
また、三機テクノセンター内には、特に調整が難しいバイオロジカルクリーンルーム向けのダクト系試運転調整の模擬が可能なモックアップ施設が構築されました。この施設を用いた若手技術者向けの研修プログラムを通じて、現場調整技術の底上げが図られています。これらの取り組みにより、短工期への対応力強化、試運転調整作業の品質向上、円滑化、省力化を進めています。
開発の背景
クリーンルームでは、室内の清浄度を保つための室圧管理が非常に重要です。施工完了後の試運転調整では、運転パターンや局所排気設備の稼働状況に応じて、きめ細やかな調整が求められます。室圧や給気風量の確認・調整には多くの手順や専門的なノウハウが必要で、時間もかかるため、作業の効率化が課題となっていました。
主な特長と取り組み
1. 試運転調整支援ツールで調整作業時間と負荷を削減
開発されたツールは、BIMデータを取り込んでシミュレーションモデルを作成し、制御機器を動作させながら圧力や風量のバランスを自動で計算します。これにより、施設が完成する前の段階で調整や検討作業のシミュレーションが可能となります。従来は施設完成後に行っていた作業を、施工図が完成した時点で前倒し(フロントローディング)して実施できるようになります。仮想環境での事前検証によって、実際の施設での試運転調整にかかる時間と作業負荷を大幅に減らすことができます。三機テクノセンターに構築されたモックアップ施設での検証では、条件によって異なりますが、約30%の効率化(時間・作業工数)が実現されました。


2. モックアップ施設と技術研修の実施
試運転調整支援ツールの活用に加え、モックアップ施設を活用した若手技術者向けの研修プログラムも整備されています。この研修では、バイオロジカルクリーンルームの試運転調整を模した実践的な内容が実施されます。基本的な調整作業だけでなく、意図的に不具合を発生させて対応力を養う応用的な内容も含まれており、技術者の実践的なスキルアップが図られています。


今後の展望
今後は、クリーンルームだけでなく、オフィスや工場といった他の空調システムにも対象を広げ、業務の合理化、技術力の向上、そして設計・施工品質のさらなる向上を目指していく方針です。


