ハイブリッドクラウドの日本市場、2034年には198億米ドル規模へ成長予測

調査会社である株式会社マーケットリサーチセンターは、「ハイブリッドクラウドの日本市場(2026年~2034年)」に関する調査レポートを発表しました。このレポートによると、日本のハイブリッドクラウド市場は大きく成長する見込みです。

ノートパソコンを操作する人物の手元

市場規模と成長の予測

調査レポートでは、日本のハイブリッドクラウド市場は2025年に50億米ドルと評価されていましたが、2034年までに198億米ドルに達すると予測されています。これは、2026年から2034年にかけて年間平均16.43%の速さで成長することを示しています。

この市場が成長する主な理由はいくつかあります。

  • 柔軟性とコスト効率の向上: 複数のクラウドサービスを組み合わせる「マルチクラウド」の利用が進んでいます。

  • データセキュリティの強化: 企業が大切なデータを安全に管理し、国のルールを守ることに力を入れているためです。

  • AI/ML技術の活用: AI(人工知能)やML(機械学習)の技術を取り入れることで、仕事の自動化、将来の予測、素早い判断ができるようになっています。

市場を動かす主な要因

日本市場では、会社がデジタル技術をもっと活用するためのITの仕組み(インフラ)を求める声が高まっています。企業は、必要な時にITの規模を簡単に変えられたり、自分たちで管理できる部分とセキュリティを確保できる部分を組み合わせたりできるハイブリッドクラウドの仕組みを選んでいます。

例えば、日本郵船は2024年に経済産業省から6度目の「デジタルトランスフォーメーション銘柄」に選ばれ、3DモデルやStarlink(衛星インターネットサービス)などのデジタル技術を使って新しいビジネスの形を作っています。また、製造業、医療、金融といった業界でも、データのプライバシーや日々の業務を効率良く行うためにハイブリッドクラウドの導入が増えています。

自動化やAI技術への関心が高まっていることも、市場を大きく動かしています。企業がAIを使って仕事を効率化したり、より良い判断をしたりするために、たくさんのデータを扱える柔軟なハイブリッドクラウドが必要とされています。IoT(モノのインターネット)の利用が増えていることも、ハイブリッドクラウドの需要を高めています。例えば、2024年11月にはKyndrylがDell TechnologiesやNVIDIAと協力し、日本でAI専用のプライベートクラウドを始めることを発表しました。これにより、企業はAIの技術を安全に利用できるようになります。

市場のトレンド

マルチクラウド戦略の広がり

日本では、複数のクラウドサービスを組み合わせて使う「マルチクラウド戦略」が広がっています。企業は、特定の会社に頼りすぎないようにしたり、それぞれのビジネスに必要なIT環境を最適化したりするために、ハイブリッドクラウドを活用しています。特に金融、医療、小売業界では、データのプライバシーや法律への対応、災害に備えることが重要であるため、この傾向が強く見られます。例えば、2024年10月にはOracleとNTTデータが協力し、日本でのデータ主権を強化するための取り組みを進めています。

データセキュリティと主権の重視

データ侵害のニュースが増えたり、政府の厳しいルールができたりしているため、日本の企業は大切な情報を安全に保管・管理することを最も重要視しています。ハイブリッドクラウドの仕組みを使えば、企業は特に機密性の高いデータを自分たちで管理できるプライベートクラウドに置き、それ以外のデータはパブリッククラウドに置くことで、セキュリティと効率の両方を実現できます。例えば、2024年10月にはWithSecureがSalesforceのセキュリティを強化するため、日本のデータ処理センターを立ち上げています。

AIと機械学習(ML)の統合

AIとMLの技術が急速に進化し、ハイブリッドクラウドに取り入れられています。ハイブリッドクラウドは、AIやMLの複雑な計算をするために必要な力と柔軟性を提供します。2024年1月には、AWSが2027年までに日本のクラウドインフラに2.26兆円を投資し、AI技術の発展を支援すると発表しました。製造業、自動車産業、医療などの分野では、企業がハイブリッドクラウドとAIを組み合わせて、仕事の自動化や将来の予測、素早い判断に役立てています。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、企業が自分たちで管理する「プライベートクラウド」と、インターネットを通じて使える「パブリッククラウド」を組み合わせて、一体的に使うITの仕組みのことです。

  • プライベートクラウド: 企業が自分たち専用に用意するクラウドで、セキュリティが高く、大切なデータを厳しく管理できます。

  • パブリッククラウド: AWSやAzureなどの会社が提供するクラウドで、必要な時にすぐに使える柔軟さや、使った分だけお金を払う効率の良さが特徴です。

ハイブリッドクラウドでは、これら二つのクラウドを専用の回線やツールでつなぎ、データやアプリケーションを安全に行き来させることができます。これにより、企業はそれぞれのクラウドの良いところを活かし、ビジネスに必要なIT資源を最も良い形で配置して運用できるようになります。例えば、普段はプライベートクラウドを使い、一時的にたくさんの処理が必要になった時だけパブリッククラウドの力を借りる、といった使い方ができます。

ハイブリッドクラウドを導入すると、ビジネスの変化に素早く対応できたり、ITにかかる費用を抑えられたり、セキュリティを強化できたりするなどのメリットがあります。また、今あるITの仕組みを活かしながら、少しずつ新しいクラウドの技術を取り入れられるため、大きな投資をしなくてもデジタル化を進めることができます。

レポートの詳細と問い合わせ先

本調査レポートには、日本のハイブリッドクラウド市場が、コンポーネント(ソリューション、サービス)、組織規模(中小企業、中堅企業、大企業)、業種(政府・公共、ヘルスケア、BFSI、小売、ICT、製造、その他)、地域(関東、関西/近畿、中部、九州・沖縄、東北、中国、北海道、四国)ごとにどのように分析されているかが詳しく記載されています。また、市場の競争状況や主要企業の情報も含まれています。

レポートに関するお問い合わせや詳細については、以下の情報をご参照ください。

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