ドローン現場の応急手当を全国へ拡大、「DECインストラクター資格制度」を創設

株式会社ダイヤサービスは、ドローン運航の安全を支える現場特化型応急手当プログラム「DEC(Drone Operations Emergency Care)」について、「DECインストラクター資格制度」を新たに設けました。この制度により、全国のドローンスクールがDEC講習を自校で開催できるようになります。

業界全体の教育インフラへ

これまでのDECは、特定の施設での取り組みとして提供されてきました。しかし、今回のインストラクター資格制度の創設により、DECは「一施設の取り組み」から「業界の教育インフラ」へと広がることを目指します。この制度では、3日間の専門プログラム受講に加え、学科試験90点以上、実技試験全項目合格という明確な基準が設けられています。さらに、資格取得後の初回開催時には株式会社ダイヤサービスの講師が立ち会い、年に一度のスキルチェックで資格が維持される仕組みです。これにより、講習の品質を保ちながら、DECを教える担い手をドローン産業界全体に広げていきます。

株式会社ノーベル(大分県日田市)では、DECを自社スクールの正式メニューとして導入することが決まっており、他のドローンスクールでも導入に向けた準備が進められています。

ドローン現場の救護義務と教育の現状

航空法第132条の90では、ドローン運航者に対し、事故発生時の救護措置を義務付けています。この義務に違反した場合は罰則の対象となります。しかし、国土交通省が定めている登録講習機関のカリキュラムには、応急手当の実技訓練が必須とはなっていません。

この状況は、「救護義務があるにもかかわらず、学ぶ仕組みがない」というドローン現場の矛盾を示しています。過去に千葉市で開催されたドローン産業セミナーでは、「止血処置ができるか」という問いに対し、参加者約180名のうち数名しか手を挙げませんでした。これは、ドローン国家資格を持っていても、事故現場で適切に動ける人が少ないという現実を浮き彫りにしています。この状況は個人の意識の問題ではなく、制度や教育の問題であると考えられています。

医療訓練の様子

DECインストラクター資格制度の概要

この資格を取得したドローンスクールの講師は、DECの名称やロゴを使って、体験講習であるDEC Intro(2時間)と、認定証が取得できるDEC本講習(7.5時間)を有償で実施できます。

項目 内容
受講資格 DEC Crew資格保有者のみ(DEC本講習を受講・修了していることが前提)
講習内容(3日間) 指導技術の習得(指導要領書の読み解き・各実技項目の教え方)
合格基準 学科試験90点以上 + 実技試験の全評価項目「合格」
受講料 33万円(税込)
初回開催 資格取得後の最初の1回は株式会社ダイヤサービスの講師が立ち会い
資格の維持 年1回のスキルチェックで資格を維持。基準を満たさない場合は資格が失効
取得後にできること DECの名称・ロゴを使って自社・外部向けに有償講習を開催。受講者のDEC Crew認定証の発行申請を受け付けられる(審査・発行は株式会社ダイヤサービスが一元管理)

詳細については、以下のURLで確認できます。
DECインストラクター資格制度の詳細

DECプログラムとは

DECは、ドローン運航現場で発生する可能性のある外傷、心停止、熱傷、環境障害に対し、救急隊に引き継ぐまでの初動対応を習得するためのプログラムです。開発開始から7年が経過し、2026年3月にはカリキュラムが刷新されました。

手当の様子

項目 内容
本講習 7.5時間・29,700円(税込)。BLS(一次救命)、外傷手当、搬送・引き継ぎの3本柱。
体験講習 DEC Intro:2時間・11,000円(税込)。2026年4月15日初回開催
修了証 DEC Crew認定証(有効期限2年)を発行
消防の講習との違い ターニケット装着、シーネ固定、バッテリー発火対応、MIST(救急隊への引き継ぎ)など、消防の上級救命講習では扱わない項目を体系的に習得可能
カリキュラム監修 鈴木 亮(元千葉市消防局・特別救助隊・国際消防救助部隊)、岩井 洋子(看護師)その他、救急救命士、複数の保安要員(客室乗務員)にも監修を受けています。
設計方針 「医療従事者でなくても手順通りに動ける」ことを一貫した目標としています。緊急時に現場にいるのは医師や看護師ではなく、ドローンの従事者であるためです。
更新講習 オンライン(7,700円税込)・対面再受講(19,800円税込〜)の2コース

AED訓練の様子

詳細については、以下のURLで確認できます。
DECプログラムの詳細

人材開発支援助成金による導入支援

DECインストラクター資格の取得は、ドローンスクールなどでの新たなサービスメニュー導入として、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象になる可能性があります。

企業規模 助成率(目安) 助成額の目安 実質負担額の目安
中小企業 最大 75% 約22.5万円 約7.5万円〜
大企業 最大 60% 約18万円 約12万円〜

この助成金は令和8年度(2026年度)末で終了予定の期間限定制度です。申請には訓練開始日の1ヶ月前までに管轄の都道府県労働局への計画届の提出が必要です。適用可否は事業内容や申請内容によって異なるため、管轄窓口への事前確認が推奨されます。

救急箱の中身

株式会社ダイヤサービス 代表取締役 戸出智祐氏のコメント

株式会社ダイヤサービスの代表取締役である戸出智祐氏は、「応急手当を学んだことのないドローン従事者が、事故現場で適切に動くのは困難です。DECは2019年よりその現実に向き合い続けてきたプログラムです」と述べています。

また、インストラクター資格制度については、「『資格を売るビジネス』と見られることへの懸念から、意図的に設けない時期が続きました。しかし、時間をかけて考えた結果、仕組みがなければDECは広まらないという現実に向き合うことにしました。そして同時に、『資格ビジネス』にしないための答えも出ました。試験基準・指導要領・品質管理の手順をすべてドキュメントに落とし込み、名称だけ貸す形ではなく、水準を担保できる仕組みとして整備する。手間はかかりますが、それが唯一の方法だと判断しました」と語っています。

「3日間の専門プログラム・学科試験90点以上・実技試験全項目合格・初回立ち合い・年次スキルチェック。この基準を下げるつもりはありません。DECという名称が現場での信頼に直結する以上、品質の担保が最優先です」と、品質管理への強い姿勢を示しています。

会社概要

会社名 株式会社ダイヤサービス
代表取締役 戸出智祐
所在地 千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘5-27-28 畑町ビル3階
設立 1974年6月5日
事業内容 ドローン運航・教育・コンサルティング事業 、DOSA千葉校(登録講習機関)運営
ウェブサイト https://daiyaservice.com / https://dosa-chiba.jp
TEL 043-310-3454
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