3Dデータ活用で高速道路のメンテナンスが効率化、DataLabsとNEXCO中日本が実証
DataLabs株式会社は、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)と協力し、高速道路の維持修繕工事における施工や保全業務を3Dデータで効率化する実証実験を行いました。この実験では、DataLabsが提供する3Dインフラ補修工検査システム「Hatsuly」が使われ、インフラメンテナンス業務の高度化が検証されました。

「Hatsuly」は、3Dインフラ点検システム「Markly」とともに、DataLabsが提唱する「3D InfraLoop」という新しいコンセプトを構成するシステムです。
背景にある課題
道路の構造物を維持したり修理したりする業務では、点検から工事まで、さまざまな人が関わります。それぞれの段階でデータの形式や管理方法が違うため、情報がバラバラになってしまうという問題がありました。
この課題を解決するため、3Dデータを使って情報をまとめ、「Hatsuly」を活用することで、業務の効率化や品質の向上がどれくらい可能かを検証しました。
実証実験の概要と成果
この実証実験は、NEXCO中日本が管理する高速道路の構造物を対象に、「点検」「工事発注」「工事」という維持修繕サイクルの主な段階で、「Hatsuly」の有効性を確認しました。
iPadで取得した3Dデータを使用し、以下の業務効率化や高度化の成果が得られています。

1.点検の効率化
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点検結果の報告データが、従来のやり方と同じくらいの品質で作成できることが確認されました。これまで、現場で測ったり写真を撮ったりして点検報告書を作っていましたが、今回は現場で3Dデータを取得し、「Hatsuly」上で対象箇所を選ぶだけで、同じ品質の報告データを作ることができました。
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変状の範囲(数量)を「Hatsuly」が自動で計算してくれるため、現場で変状箇所を測る作業が不要になることが確認されました。
2.工事発注の効率化
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点検で作成したデータを使い、その後の発注に関わる業務(数量の計算、図面の作成など)を従来通りに行うことができました。
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発注用の図面を作るのにかかる時間が「約10日」から「約2日」へと大幅に短縮される効果が確認されました。
3.工事の効率化と精度の検証
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「Hatsuly」を使って計算したモルタルの体積は、従来のやり方と比べて誤差が±1%程度と、実際の作業で十分使える精度であることが確認されました。
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工事の記録や報告書作成が自動で行われるようになり、書類作成にかかる時間が約8割減り、作業の省力化に貢献しました。

これらの結果から、3Dデータの取得から数量の計算、図面の作成、報告書の生成までの一連のプロセスが効率的に行われ、維持修繕業務のデジタル化と全体の作業効率向上が実現できることが示されました。
今後の展開
今回の実証では、3Dデータを使うことで「3Dデータ取得〜図面生成〜報告書作成」という一連の流れを完了できることが確認されました。さらなる作業の省力化を目指し、今後以下の拡張が計画されています。
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各段階で発生するデータの自動連携
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変状の抽出や3Dモデル化のさらなる精度向上
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現場での使いやすさに合わせたUI/UXの改善
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高速道路業界での利用に向けた機能開発
DataLabsは今後も、インフラメンテナンスの分野で、デジタルツインや自動化の技術を社会に広め、インフラを持続的に運営していくことに貢献していくとのことです。
Hatsuly(ハツリー)について
「Hatsuly」は、道路構造物の補修工事における調査や検査作業(表面被覆工、剥落防止工、断面修復工など)を効率化するシステムです。
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スマートフォンやタブレットで取得した3次元データを利用し、はつり深さや体積などを自動で計算し、報告書を作成できるアプリです。
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3次元データや報告書を発注者と共有したり、出力したりすることも可能です。
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インフラ補修工事の調査や出来形管理において、大幅な作業の省力化を実現できます。
DataLabs株式会社について
DataLabs株式会社は、「3次元データで建設業を変革する」ことを目標に掲げ、あらゆる建設業務を効率化するクラウドシステムを提供するスタートアップ企業です。3次元配筋検査システム「Modely」や、今回活用された「3D InfraLoop」(「Hatsuly」と「Markly」)を開発・提供しています。
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社名:DataLabs株式会社
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所在地:東京都中央区日本橋小舟町8-6
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設立:2020年7月
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代表:代表取締役 田尻 大介


