LIFULL、生成AI人材指標「LAIC」を開発し全社的なAI活用と事業成果創出を目指す
株式会社LIFULLは、全従業員を対象とした生成AI人材指標「LIFULL AI Compass(LAIC)」、高度AI活用人材「シチズンデベロッパー(CD)」の認定制度、そしてCD育成プログラム「CD BOOST CAMP」の運用を2026年2月より本格的に始めました。
LAICは「The Compass for AI Voyage(導く羅針盤)」をコンセプトとしており、単にスキルを測定するだけでなく、人材育成から実際の事業成果につなげることを目指しています。これにより、業務改善による生産性向上とAIプロダクト開発力の強化を同時に進め、生まれた時間と価値を事業の成果へと還元していく計画です。

開発の背景と狙い:AI活用だけでなく「事業成果の創出」へ
LIFULLは2025年12月に、従業員の96%が生成AIを業務に活用し、半年間で約50,000時間の業務時間を生み出したと発表しました。この実績とともに、「AIイノベーション本部」の新設とAI化人材100名規模の育成を宣言しています。
AI活用率の向上で一定の成果はありましたが、効率化で生まれた時間をどのように事業成果へ結びつけるか、また職種に合わせた育成方法をどう体系化するかといった次の課題が見えてきました。国内でもAIスキル指標の整備を進める企業は増えていますが、「削減した時間をどこに再投資し、事業成果にどうつなげるか」という問いに対する明確な答えはまだありません。LIFULLは、これまでの実績データを元に、この難しい課題に挑戦しています。
AIによる業務効率化の詳細については、以下の記事で確認できます。
LIFULL従業員の96%が生成AIで業務効率化、過去最高となる約50,000時間の業務時間を半年間で創出
LAIC・CD認定制度・CD BOOST CAMPの概要
1. LIFULL AI Compass(LAIC):設計思想を「測る」から「導く」へ
LAICは、「The Compass for AI Voyage」というコンセプトのもと、生成AI人材のスキルを測定するだけでなく、次の成長ステップへと導く「羅針盤」として作られました。非エンジニア向けのLAIC(レベル1〜5)では業務におけるAI活用の変化を、エンジニア向けのLAIC(レベル1〜6)では生成AIを使ったプロダクト開発や運用能力を、それぞれ分かりやすく数値で示します。
LAICは、これまでの実績を基に、測定の先にある事業成果への接続を目指す循環型の仕組みとして考えられています。LIFULLは3年で社内業務の効率を2倍にし、一人当たりの利益を増やすことを目標としており、LAICをその中心となる仕組みと位置づけています。
この循環は以下のステップで進められます。
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測定: 全従業員の生成AI活用度をLAICで定期的に確認します。
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育成: レベル3以上の人材をCD候補として選び出し、実践的なプログラムで育成します。
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認定: 実際の業務で成果を出した人材をCDとして認定します。
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展開: 認定されたCDが部署内で知識を共有し、組織全体のレベルアップを図ります。
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事業成果: 創出された時間を次の2つの方法で事業成果に還元し、一人当たりの利益を増やします。
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主要業務への再投資(受注率向上やAIプロダクトによる事業成長)で売上を最大化します。
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業務の自動化により売上原価や販売管理費を抑え、コストを最適化します。
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この循環を通じて、LAICは一時的な診断で終わらせず、事業成果を持続的に生み出す力となることを目指しています。
2. シチズンデベロッパー(CD)認定制度
シチズンデベロッパー(CD)とは、エンジニアではない現場の社員が、生成AIやノーコード・ローコードツールを使って、自ら業務プロセスを改善したり自動化したりする人材のことです。
非エンジニアをCDとして育成することには、次の3つの大きな意味があります。
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「何を自動化すべきか」を最もよく知る現場の担当者が開発することで、外部に委託するよりも正確で素早い対応が可能になります。
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生成AIの技術は非常に速く進化しているため、現場に開発能力を持つ人材がいることで、組織がAIの進化に自ら対応できるようになります。
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業務改善の要望は常にエンジニアの数を上回るため、現場が自ら課題を解決できる体制がなければ、組織全体の生産性向上は実現しません。
LIFULLでは、LAICのモニタリングで高い活用度を示す人材をCD候補として選び、育成・認定する制度を整えました。認定の条件は「研修を終えた」ことではなく、「実際の業務で成果を出した」こと(LAICレベル4相当)です。これにより、形だけの資格ではなく、現場で実際に変化を起こせる人材を育成します。なお、LAICは人事評価とは切り離して運用されており、失敗を恐れずに挑戦できる安心できる環境が確保されています。
3. CD BOOST CAMP:超実践型育成プログラム
CD BOOST CAMPは、CD候補者を短期間で実務レベルの変革リーダーに育てるための、非常に実践的なプログラムです。座学中心の研修ではなく、受講者自身の担当業務における課題をテーマに、AIを使った業務改善の計画から実行、効果の測定までを一貫して行います。
先行してこのプログラムを受けた人たちは、それぞれの業務で31%から88%の削減率、最大で月28時間の業務時間削減を達成し、本格運用前から具体的な成果を出しています。
LIFULLはCD100名体制の構築を目指しており、認定されたCD1名がチームの5名に知識を広げることで、月間7,380時間(年間約88,560時間)の削減効果が見込まれています。
4. AIプロダクト開発力の強化:圧倒的なスピードで「業界初」を生み出す
LAICの仕組みは、非エンジニアの業務改善にとどまりません。LIFULLは、エンジニアのAIプロダクト開発能力を組織全体で高め、驚くほどの速さで「業界初」のサービスを生み出し続ける体制を作ることを目指しています。
LAICエンジニア版では、生成AIを活用したプロダクト開発や運用能力をレベル1〜6の6段階で評価します。それぞれのレベルに合わせた育成や実践の機会を段階的に用意し、上位レベル(レベル3以上)の人材が商業用AIプロダクトの開発をリードする体制を整えます。最も高いレベル6「AIネイティブ設計・変革」では、全社的なAI基盤の設計や、AIエージェントを組み込んだ事業プロセスの構築といった分野にも踏み込んでいます。
CDによる業務改善がコストの最適化(売上原価や販売管理費の抑制)を、エンジニアによるAIプロダクト開発が売上の最大化(新規事業やイノベーションの創出)を担い、この二つの力を合わせて業界に革新をもたらし、一人当たりの利益向上へとつなげること。これがLAICを中心とした全社統合型エコシステムの全体像です。
今後の展望
LIFULLは2026年度中にCD100名体制を築き、認定CDが部署を超えて連携することで、知識を会社全体で循環させていく予定です。エンジニア向けの育成・実践プログラムも順次展開し、海外拠点の知識も活用しながらAIプロダクト開発力を強化していきます。
業務改善を通じて一人ひとりの生産性を高め、その成果を事業の成長へとつなげることで、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というLIFULLの目標実現を加速させていく方針です。
株式会社LIFULL 執行役員CAIO(Chief AI Officer)兼 AIイノベーション本部長 長沢 翼氏のコメント

LIFULLは先日、住まい探しを始めとする統合型AIエージェント「LIFULL AI」(https://www.homes.co.jp/ai-homeskun/)を業界に先駆けてリリースしました。中期経営計画の柱である「AI First」の方針のもと、AIプロダクト開発と同時に、AIを徹底的に活用して社内業務を変革することも進めています。2025年12月には、従業員の96%が生成AIを活用し、半年間で約50,000時間の業務時間を創出したことを発表しました。これは、エンジニア職だけでなく、営業や事務職を含む全従業員が、変化を恐れずに自らの業務を変えようと挑戦し続けた「現場の力」による成果です。
しかし、AIの活用率を上げたり、削減時間が増えたりするだけでは、組織の変革は終わりません。次に必要なのは、AIによって業務プロセスを見直せる人材を「仕組みとして育て続ける」ことです。そして、育った人材が組織の様々な場所で業務に革新を起こし、生産性を事業成果に直接結びつける段階です。
その第一歩として、まだ誰も答えを持っていないこの分野に挑むための羅針盤となるのが、AI人材育成プログラム「LAIC」です。先行してプログラムを受けた従業員が、それぞれの現場で31%から88%の業務削減を実現してくれたことは、最初の一歩として確かな手応えとなりました。LIFULLは試行錯誤を繰り返しながら、この仕組みをさらに良くしていくでしょう。
LIFULLはこれからも、「業務改善による生産性向上」と「AIプロダクト開発による業界の革新」を二つの車輪として、AIの徹底活用を通じて価値創造を力強く進めていく方針です。その実現を通じて、住まい分野におけるAIリーディングカンパニーとして、あらゆるLIFEをFULLにする未来を切り拓いていくでしょう。
株式会社LIFULLについて
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」を企業メッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある社会の課題まで、安心と喜びを妨げる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」、シニアの暮らしを支える「LIFULL 介護」、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」などの事業を展開しています。


