超音波ソナーでシールドマシンの切羽をリアルタイム可視化、土質・性状を音速解析で判定する新技術
鉄建建設株式会社は、超音波ソナー技術を使い、シールドマシンがトンネルを掘り進む際の泥土の様子を、リアルタイムで目で見てわかるようにする新しいシステムを開発しました。
開発の背景
2020年にシールドトンネル工事で地面に影響が出た事故を受けて、国土交通省は「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を作りました。これにより、工事の管理をより高度にし、安全性を高めること、そして掘削面(切羽)が安定しているかを確認することが強く求められるようになりました。
しかし、シールドマシンの中の掘削された土砂は、壁で隔てられているため、直接目で見て確認することができませんでした。これまでは、シールドマシンの動きや、土を運び出す機械の様子などから、経験のある技術者が判断するしかありませんでした。そこで、鉄建建設株式会社は、2024年度に泥土の柔らかさ(塑性流動性)を数値で測るシステムを実用化しましたが、さらに詳しい情報を得るために、今回の新しい技術開発を進めました。
システムの概要
この新しいシステムは、シールドマシンの壁に設置された超音波ソナーから、掘削面(チャンバー内)に超音波を当てます。そして、カッターの羽(カッタースポーク)に当たって戻ってくる反射波が届くまでの時間を測ることで、チャンバー内の泥土の様子を「音速」という数値で表します。
この音速データをトンネルを掘り進んでいる間に自動で連続して測ることで、掘削面の状態をリアルタイムで把握できるようになります。

図-1:超音波ソナーによる計測イメージ
開発にあたり、粒子の大きさや混ぜる材料の量がわかっているいくつかの土の試料を使い、チャンバーの中と同じような環境で何度も音速を測る実験をしました。

図-2:超音波ソナーの配置図

図-3:泥土性状判定結果の表示例

図-4:シールドマシン内部のソナー設置箇所(イメージ)
その結果、次のようなことが確認されました。
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粗い土(砂や礫)と細かい土(シルト)では、音速がはっきりと違うこと。
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混ぜる材料(添加材)の量が増えると、音速が遅くなること。

図-5:粒度分布の測定結果

図-6:土質特性と音速の相関

音速表示のグラフ
これらのデータを専用のプログラムで自動的に分析することで、掘り進んでいる最中に土の種類を区別したり、混ぜる材料の量による変化をリアルタイムで判断したりする機能が実現しました。
今後の展開
シールドトンネル工事は、最近では長い距離を掘ることが増えており、地面の地質が変化することに素早く対応することがますます重要になっています。鉄建建設株式会社は、地質変化が大きいと予想される路線にこのシステムを導入し、変化する土の性質にリアルタイムで対応することで、シールド工事の安全性を高めることに貢献します。
また、すでに開発済みのシールド周辺の地盤をリアルタイムで監視するシステムなどと連携させることで、シールド工事全体の効率を上げ、安全性をさらに強化していく方針です。さらに、音速以外のデータにも注目することで、チャンバーの中の様子をより正確に把握できるよう、精度をさらに高めることを目指しています。
この技術に関する詳細資料はこちらから確認できます。


