建設ロボットと先端技術が融合する未来:次世代社会システム研究開発機構が『ハイブリッド統合白書2026年版』を発表

建設業界の未来を拓く『ハイブリッド統合白書2026年版』

一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構(INGS)は2026年1月28日、『建設ロボット/先端建設・土木技術群のハイブリッド統合白書2026年版』の発刊とその内容を発表しました。この白書は、建設業界が直面するさまざまな課題を解決するために、建設ロボットや最先端技術がどのように進化し、互いに連携していくかをまとめたものです。

建設ロボット/先端建設・土木技術群のハイブリッド統合 白書 2026

建設産業の次なるフロンティア:ハイブリッド統合エコシステム

白書では、建設ロボットや先端建設技術が、もはや個別の技術トレンドではなく、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、デジタルツインといった技術と結びつき、「ハイブリッド統合エコシステム」を形成しつつあると説明されています。これは、人手不足の解消、工事期間の短縮、品質の均一化、二酸化炭素排出量の削減といった、建設業界の重要な課題に対応するための動きです。

白書の主なポイント

  • 市場規模の加速拡大: アジア太平洋地域の建設ロボット市場は、2030年までに年率14.31%で成長すると予測されています。

  • 産業構造の多層化: 従来の建設会社が主導するモデルに加え、RaaS(Robot as a Service)のような新しいビジネスモデルが急速に生まれています。

  • 技術統合の深化: BIM(Building Information Modeling)やデジタルツイン、5G/6G、AIによる自動施工は、単なる自動化の道具ではなく、工事全体の計画や決定を助ける「意思決定エンジン」へと進化しています。

  • エコシステムの収束: ハードウェア企業からサービス提供者、研究機関まで、さまざまな立場の企業や組織が協力し、共通のルール(ROS 2、MassRobotics、OPC UAなど)を使って連携を深めています。

  • リスク・制約要因: データ連携の難しさ、複雑な規制、初期投資の不確実性、そして必要なスキルを持つ人材の不足が、今後3年間の技術普及を左右する重要な課題として挙げられています。

住宅、商業、公共インフラ、都市建設の未来を示すロードマップ

独自の調査・分析から見えてくるもの

この白書は、グローバルな視点から各地域の市場動向を分析し、建設業界のバリューチェーン(価値を生み出す一連の流れ)を21層に分けて可視化しています。また、ビジネスモデルを10種類に分類したり、ISOやROS 2といった最新の技術標準の動向を整理したりしています。2030年までの市場展開シナリオも示されており、世界200社以上の建設ロボット関連企業の情報も掲載されています。

BIM、デジタルツイン、AIを中核プラットフォームとする多層構造のエコシステム

企業が取るべき行動と期待される効果

白書では、建設業界の企業が未来に向けて具体的にどのような行動を取るべきか、5つの提言とその効果が示されています。

  1. ハイブリッド統合を前提とした経営資源配分

    • ロボット導入を「コスト削減」だけでなく「新しい収益源の創造」と捉え、BIMなどのデジタル基盤への投資を「統合プラットフォーム」として位置づけること。これにより、プロジェクト全体の生産性が20~30%向上し、労働災害が35~50%削減されると期待されます。
  2. エコシステム・パートナーシップの積極的構築

    • 特定のベンダーに縛られず、オープンな標準技術に準拠したプラットフォームを選び、業界団体や研究機関との連携を深めること。これにより、最新技術の情報を早く手に入れ、市場でのリーダーシップを築くことができます。
  3. 規制・安全基準への先制的対応

    • 国際的な安全基準(ISOなど)に自社の製品やサービスを適合させ、ロボット施工に特化した保険やサイバーセキュリティ対策を検討すること。これにより、規制によるリスクを減らし、顧客からの信頼を高めることができます。
  4. データ資産化・プラットフォーム化による収益源の多角化

    • 工事データをBIMモデルと連携させて再利用可能な知識として蓄積し、AIによる施工計画の自動生成やリスク予測などのサービスを提供すること。また、ロボットの買い取り販売だけでなく、月額利用や成果に応じた料金体系へとビジネスモデルを変えること。これにより、安定したビジネスへの転換とESG投資(環境・社会・企業統治に配慮した投資)の呼び込みが期待されます。
  5. グローバル展開・国際競争力強化

    • 国際標準に対応し、各国の規制や安全基準への対応体制を整えること。また、海外の企業との提携や買収も視野に入れ、日本発の技術を世界に広げること。これにより、国際的な認知度を高め、グローバル市場でのシェア獲得を目指します。

白書から得られる情報

この白書は、経営層から事業開発、技術、営業、投資機関、政策当局、学術・研究機関まで、さまざまな立場の読者がそれぞれの目的に合わせて活用できる内容となっています。

例えば、経営層は市場の長期的な成長シナリオを理解し、今後の投資戦略に役立てることができます。技術・R&D部門は、現場で求められる技術の具体的な仕様や、次に力を入れるべき研究テーマを見つけることができるでしょう。

白書のご案内

本白書の詳細や購入については、以下のリンクをご参照ください。

監修・発行元

一般社団法人 次世代社会システム研究開発機構は、長年にわたり産業や先端技術、経済・経営、IT分野のシンクタンクとして活動してきました。その刊行物は、国内外の政府系シンクタンク、主要研究所、大手企業などから高い評価を受けています。

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