ジャパン・インフラ・ウェイマークが鉄塔点検支援AIを開発、重篤損傷検出率9割以上を実現

ドローンとAIで鉄塔点検を効率化

株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークが、ドローンとAI(人工知能)を組み合わせた「鉄塔点検支援AI」を開発しました。この新しいシステムは、これまでに500塔以上の鉄塔をドローンで点検してきた経験と、他のインフラ構造物でAIを開発してきた技術を活かしています。

開発の背景:安全確保と作業の負担軽減

日本にある社会インフラは、高度経済成長期に作られたものが多く、古くなってきています。そのため、きちんと点検して手入れをすることがとても大切です。
特に鉄塔の点検は、高い場所での作業が多く、作業員の安全を守ることや、大変な作業の負担を減らすことが大きな課題でした。
これまで、ドローンを使って安全に効率よく鉄塔を点検する方法に取り組んでおり、これまでに500塔以上の点検を行ってきました。しかし、ドローンでたくさんの写真を撮っても、それらを人の目で一つ一つ確認して判断するには、多くの時間と手間がかかっていました。
この課題を解決するため、これまでのインフラ点検AIの技術と実績を使い、鉄塔の点検に特化したAIが開発されました。

鉄塔点検支援AIの主な特徴

開発された鉄塔点検支援AIには、いくつかの重要な特徴があります。

鉄塔特有の損傷を見つける機能

このAIは、鉄塔によく見られる「赤さび」「塗装の剥がれ」「部材の透け」といった損傷を正確に見つけることができます。

赤さびの検出例
金属構造物に発生した赤さびをAIが検出している様子

塗装剥がれの検出例
オレンジ色の金属構造物から塗料が剥がれている様子をAIが検出している例

部材の透けの検出例
白い柱状の構造物で「透け」と判断された箇所を示す例

さまざまな種類の鉄塔に対応

「赤白鉄塔」「グレー鉄塔」「亜鉛メッキ鉄塔」といった、異なる種類の鉄塔に合わせたAIモデルが作られています。これにより、どんな鉄塔でも高い精度で点検できます。

赤白鉄塔での検出例
赤と白の鉄塔の損傷をAIが検出している様子

グレー鉄塔での検出例
グレーの鉄塔の損傷をAIが検出している様子

亜鉛メッキ鉄塔での検出例
亜鉛メッキ鉄塔の点検箇所をAIが検出している様子

重大な損傷を9割以上の高い精度で検出

このAIは、点検すべき鉄塔の部品を正確に認識することで、損傷を見つける精度をさらに高めています。特に、修理が急がれるような「重篤(じゅうとく)損傷」と呼ばれる深刻な損傷を、9割以上の高い確率で見つけることができます。

鉄塔部材の検出例
複雑な金属製の骨組みをAIが検出している例

鉄塔部材の検出例
鉄骨構造の塔の部材をAIが検出している例

今後の展開

このシステムは、2026年度からNTT西日本株式会社が所有する鉄塔の点検作業で実際に使われる予定です。
今後、さらに検出の精度を高めたり、使う人がもっと便利に感じられるような使いやすさ(UI/UX)の改善が進められるでしょう。

※「重篤損傷」とは、損傷の深刻さを4段階で判断した際に、特に深刻な上位2つの分類を指します。この判断基準は、NTT西日本グループの鉄塔点検方法が採用されています。

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