3DモデルとXR技術で未来のまちづくりを体験!国土交通省「Project PLATEAU」の成果発表イベント開催

インフォ・ラウンジ株式会社、サイバネットシステム株式会社、株式会社山手総合計画研究所の3社は、国土交通省が進める「3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクトPLATEAU(以下、Project PLATEAU)」のユースケース開発に3年連続で参加しました。このたび、プロジェクトの集大成となるイベント「デジタル活用によるアーバンプランニングの未来 Vol.02」の開催を発表します。

このイベントでは、2024年度のProject PLATEAUユースケース「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等 v2.0」で実施された、横浜市、仙台市、浅草六区エリア、曳舟駅周辺での住民参加型実証実験の成果が発表されます。また、本プロジェクトに携わった国土交通省、都市再生機構(UR)、横浜市立大学の有識者・実務者を招いたトークセッションも行われます。さらに、3社が共同開発した体感型アーバンプランニング(都市設計)ツール「Tangible Interface XR(タンジブル・インターフェース・エックスアール)」の最新版を体験できます。

トークイベントと体験会の告知

「デジタル活用によるアーバンプランニングの未来 Vol.02」開催概要

項目 内容
日時 2026年1月27日(火) 15時~18時(14時30分開場、18時~懇親会)
会場 ヒューリック秋葉原タワービルディング30階 サイバネット内イベントスペース
サイバネットシステム株式会社へのアクセス
東京都千代田区神田練塀町3
プログラム ■トークセッション(15時~16時30分)
■Tangible Interface XR新型デバイス体験会(16時30分~)
■懇親会(18時~)
参加対象 ・都市開発/再開発に携わるデベロッパーの方、建設/建築業界の方
定員 40名(着席30名)
※定員に達し次第、締め切りとなります。
参加費 無料(事前登録制)
詳細およびお申込み Xdiorm™ Webサイト

※タイトル、内容等は変更になる場合があります。

XR技術を用いた体感型アーバンプランニングツール「Tangible Interface XR」とは

「Tangible Interface XR」は、テーブル型デバイスに置かれた都市模型(ジオラマ)の形や配置を、実物大の3Dデジタルツイン(※2)の景色として再現できるツールです。デバイス上に置かれた人物や家具などの模型(駒)をデジタルモデルとしてデジタルツインの景色に重ね合わせ、その映像をVRヘッドセットやディスプレイに表示します。

タンジブルユーザインターフェース(※3)上の駒を動かすと、VRの中に再現された都市の景色がリアルタイムで変化します。このツールを使うことで、街の景色がどう変わるのかを実際に試しながら話し合い、新しいアイデアが出たらその場で模型を動かして視覚的に確認できます。これにより、専門知識がない一般の人々でも気軽に意見を出しやすくなり、多様な意見を取り入れたまちづくりが期待されます。

複数人で3D都市モデルを囲んで議論する様子

3Dモデルのリストとミニチュア模型

2024年度 Project PLATEAUユースケース「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等 v2.0」実証実験の成果

これまで、行政機関やデベロッパーが中心となって進められてきた都市計画やまちづくり、都市空間設計の検討において、近年は市民が参加するプロセスの重要性が高まっています。本ユースケースでは、デジタル技術を使ったアーバンプランニングツール「Tangible Interface XR」の開発と、それを用いた体験型のまちづくりワークショップを実施しました。これにより、都市に関わる行政担当者、専門家、住民など様々な立場の人々が互いに対話し、理解を深められるコミュニケーションプロセスの実現を目指しました。

まちづくりの様々な段階での活用

このツールは、まちづくりの様々な段階での活用を目的とし、複数の都市でワークショップが行われました。これまでは主に一般市民向けの計画構想段階でのアイデア出しを想定していましたが、2024年度は実際のまちづくり検討プロセスへの導入を目指し、事業者や地権者といった関係者間の合意形成、設計段階や空間活用段階など、より多様な段階での活用効果が検証されました。具体的には、「構想」「開発」「活用」という3つの異なるまちづくり段階において、以下の4つの地域でワークショップを実施しました。

地域 主体となった組織 フェーズ 目的
宮城県仙台市青葉区 仙台市役所 構想段階 青葉通りの車線減少に伴う空間活用の検討
神奈川県横浜市中区 デベロッパーおよび再開発事業者 開発段階 開発計画について空間設計の検討
東京都墨田区 再開発事業者 構想段階 地域住民への計画説明と広場活用に関する意見収集
東京都台東区 浅草六区 浅草六区のエリアマネジメント団体 活用段階 既存の街並みを活かしながら、エンターテインメント性と生活環境の調和を図る具体的な活用案の検討

3Dレンダリングされた都市の通りを行き交う人々

公園のような広場に集まる人々

ワークショップ参加者の声

フェーズ 参加者の声
構想段階 • グループで検討した空間活用案をスムーズにVRデータに反映させ、その場で体験できることが素晴らしい。(市役所職員)
• 市民や地域の方々との認識やイメージを共有するためのツールとして、とても有効であると感じた。(市役所職員)
• 3次元でその場で将来イメージを具体化できるという意味で、関係者間で今後ビジョンの具体化を検討していく上で、かなり有益なツールと感じた。(市役所職員)
開発段階 • 公園の規模感を地権者が意識できたのではないか。本当はもっといろんな人に参加してほしいので今後もこういう機会が欲しい。(デベロッパー)
• まちづくりというと、平面図上で言葉でのやりとりが多いと感じたが、より直感的で老若男女問わず参加できると感じた。(設計事務所)
活用段階 • ワークショップの進行について、まずは個人/チームのコンセプト立案をしてからタンジブルインターフェースを使って、配置するワークを実施すると良いと思う。(エリアマネジメント団体)
• このツールで作ったモデルをベースに、生成AIを使ってアイディアを表現できると可能性が広がると思った。(エリアマネジメント団体)

「Tangible Interface XR」を活用することで、専門家と住民などが、専門用語や都市空間の認識の違いを超え、3D空間上で試行錯誤しながら共通の理解を深め、協力して検討を進めることができました。構想段階でのコンセプト検討にはさらなる工夫の余地があるものの、開発・活用段階における空間イメージの共有に効果を発揮したことは大きな成果と言えます。

2024年度の実証実験の詳細は、下記の国土交通省Webページをご覧ください。
国土交通省 Project PLATEAU ユースケース「タンジブルインターフェースを活用した住民参加型まちづくり等v2.0」

「Tangible Interface XR」の主なバージョンアップ内容

2024年度以降、以下のようなバージョンアップが行われました。

  • ユーザー管理と駒管理機能の強化
    ウェブアプリから操作する管理画面に、ユーザーやグループ管理機能、グループごとの駒の管理機能が新たに追加されました。これにより、柔軟なワークショップ運営が可能になりました。

  • 生成AIを活用したライブ3Dモデル生成機能(テスト運用中)
    これまでは、VR内で使いたい駒は事前に準備しておく必要がありましたが、生成AIを活用したライブ3Dモデル生成機能により、欲しい駒の写真や説明(プロンプト)を入力するだけで、モデルをその場で生成できるようになりました。

本技術の今後の展望

実証実験を通して、「Tangible Interface XR」は、専門知識の有無に関わらず、参加者が空間イメージを共有しながら建設的な議論を進められるツールであることが確認されました。実物の模型を操作する直感的な方法により、これまでの図面やパースでは難しかった、異なる立場の人々の間で空間認識を共有することが実現しています。

今後は、Project PLATEAUの成果をもとにこのツールを進化させた「Xdiorm™(エクス・ディオルム)」として、新しいサービスが展開される予定です。操作する人の創造力を最大限に引き出せるツールを目指し、直感的でシンプルな操作性を追求するとともに、最新技術の活用によりさらなる機能拡張が図られます。

体感型都市デザインツール「Xdiorm™」の詳細はこちらです。
Xdiorm™ 公式サイト

注釈

  • ※1:Project PLATEAU
    国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクトです。3D都市モデルの整備とユースケースの開発、利用促進を通じて、全体最適・市民参加型・機動的なまちづくりの実現を目指して推進されています。
    Project PLATEAUについて

  • ※2:デジタルツイン
    サイバー空間内に物理空間の環境を再現し、監視やシミュレーションを可能にする仕組みです。この時に作られたサイバー空間内の「デジタルの双子」そのものを指す場合もあります。

  • ※3:タンジブルユーザインターフェース(英: tangible user interface)
    マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の石井裕氏が提唱するユーザインターフェースの形態で、形のない情報を直接触れることができる(タンジブル)ようにした、より実体感のあるインターフェースです。「タンジブル」とは「実体」という意味です。

関連企業について

インフォ・ラウンジ株式会社
2007年に横浜で創業し、「ICTを活用して社会のあらゆる障壁を取り除くこと」をミッションに活動しています。地域情報化、オープンデータ、福祉・教育の3つの軸で事業を展開しています。
インフォ・ラウンジ株式会社 公式サイト

株式会社山手総合計画研究所
1983年の設立以来、「未来にとって素晴らしい過去となる現在を創る」ことを目標に、都市や建築の計画・設計を手がけています。横浜を中心に多くの実績があり、都市デザイン、歴史的建造物の保存・活用、公民連携、デジタル技術活用などの事業を行っています。
株式会社山手総合計画研究所 公式サイト

サイバネットシステム株式会社
1985年の創業以来、科学技術とデジタル技術に精通した技術者集団として、製造業や研究機関に最先端のデジタルソリューションと技術コンサルティングを提供しています。CAEを核に、PLM、XR、インサイトITなどへ事業を拡大し、ものづくりのデジタル化を推進しています。また、医療AIの分野でも業界をリードしています。
サイバネットシステム株式会社 公式サイト

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