前田建設工業と法政大学が共同開発した「ボクセル型インフラデジタルツイン」が「インフラDX大賞 国土交通大臣賞」を受賞

前田建設工業株式会社と法政大学が共同で取り組んできた「ボクセル型インフラデジタルツインの構築」が、令和7年度のインフラDX大賞において、国土交通大臣賞を受賞しました。この取り組みは、社会インフラの管理と活用を大きく変える可能性を秘めています。

ボクセル型インフラデジタルツインとは

このシステムは、世界的に人気のあるビデオゲームで使われている「ボクセル」という立体的な表現方法を、社会インフラのデジタルツインに応用したものです。専門的な知識がなくても、誰もが直感的に操作できることを目指して作られました。

具体的には、工事でできたものや、国土交通データプラットフォーム(DPF)などの公開されているデータを、ボクセル型の空間に直接取り込みます。さらに、レーザースキャンで得られる点群データや、建物の情報を立体的に管理するBIM/CIMモデルとスムーズに組み合わせることができます。これにより、工事の計画を立てたり、施設を維持管理したりする業務が効率的になります。また、教育用の教材としても活用できるプラットフォームとなっています。

ボクセルベースの自由歩行可能なデジタルツイン

システムの主な特長

このボクセル型インフラデジタルツインには、以下の特長があります。

  • 直感的な操作性: 誰でも簡単に操作できる画面デザインで、若手からベテランの技術者まで、情報の共有や意見交換がスムーズに行えます。

  • 業務の効率化: 工事の成果物や公開データを直接使うことで、建設のプロセスをより高度にし、人の手間を減らし、生産性を高めることに役立ちます。

  • データ統合管理: レーザースキャンで得られた点群データとBIM/CIMモデルを一緒に管理することで、i-Construction 2.0(建設現場のデジタル化を進める取り組み)の進化に貢献します。

  • 人材育成への貢献: 教育の分野でも活用することで、将来を担う人材を育て、建設業界で働く人を増やすことにつながると期待されています。

  • 高い汎用性: ゲームのような使いやすい画面を採用しているため、日本全国のさまざまな分野で活用できる可能性を秘めています。

導入事例と今後の展望

このシステムは、すでに阿蘇立野ダムの建設事業や福島県白河市のAtos Villageなどで使われており、その直感的な操作性が高く評価されています。

今後、前田建設工業と法政大学は、このシステムをさらに多くの場所へ広げていく予定です。

  • 地方自治体でのインフラ管理のデジタル化

  • 教育機関や研修機関での教材としての利用

  • 建設業界全体への普及展開

これにより、「誰もが直感的に扱えるインフラDXの基盤」として、社会に広く浸透していくことを目指しています。

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