3D点群測量で新たな価値を創造する(株)JFDエンジニアリングの挑戦と「3D測量の民主化」

3D点群だけで測量を完結させる挑戦

3D点群測量のパイオニア企業である(株)JFDエンジニアリングは、トータルステーションを使わずに3D点群スキャナだけで測量業務を完結させることを可能にしました。この取り組みは、点群測量技術者のための資格試験「点群サーベイヤー資格試験」を運営する(一社)不動産検査保証機構REIWSが技術面で協力している事例です。

J.F.D Japan Fair Dealsのロゴと2人の男性

(株)JFDエンジニアリングは、測量会社として創業し、地盤調査・地盤改良事業で成長を遂げてきました。同社は、戸建て住宅を中心に年間6,000件もの測量業務を3Dスキャナによる点群測量で実施しています。その背景には、「JFDの原点は測量事業にあり、測量分野で新たな価値を創出したい」という強い思いがありました。

3D点群測量導入のきっかけ

同社が3D点群測量を導入したきっかけは、従来のトータルステーション(TS)を使った測量における効率面の課題でした。TS測量では二人一組で一日がかりの作業となり、その後図面作成が必要でした。そこで、「一人で測量できる方法はないか」と検討を重ねた結果、当時普及し始めていた地上型の3Dスキャナの導入を決定しました。

3Dスキャナは計測というよりも撮影に近く、測量の専門知識がなくても扱いやすい点が決め手となり、人材教育にかかる時間の短縮も大きな利点でした。

導入時の課題と克服

3Dスキャナの導入当初は、懐疑的な意見もあったといいます。ベトナムにCADセンターを設立し、点群の結合から2D図面への落とし込みまで、試行錯誤を重ねて実用レベルに達しました。

しかし、TSとは原理が異なる3Dスキャナならではの課題も浮上しました。特に、当時のパソコンでは点群処理が重く、高性能なパソコンが必要でした。また、点群同士の結合では1〜2cmの誤差が発生することがあり、特に敷地調査の境界点においては、この誤差が重大な問題に発展する可能性がありました。

ユーザーから求められる現況測量の精度は想定以上のものでしたが、同社は3Dスキャナのみで測量を完結させることを目標としていました。そこで、点群結合のレベルを上げる工夫を行い、さらに境界とは異なる点を誤って選択するというヒューマンエラーを防ぐため、正確な点を選択できる独自のツールを開発しました。

この専用ツールの開発により、図面の精度は劇的に向上し、以前は精度を心配する声もあったものの、現在は高い評価を得ています。

測定器と地図アプリ

測量を超えたサービス展開

(株)JFDエンジニアリングは、点群データを測量業務だけでなく、さらに広範囲なサービスに活用しています。点群データは実寸大のデータであるため、建設現場での景観確認、構造物の確認、重機の搬入確認など、現地構造物の寸法を出す用途で建設現場や設計用途で利用されてきました。

同社はさらに一歩踏み込み、周辺環境を含む点群データに住宅の3Dモデルをはめ込む「ARパース」というサービスを提供してきました。これは、建築予定地の座標から太陽の動きを計算し、日時ごとの日照・影を再現する住宅日照シミュレーションです。

同様のサービスは既存もありますが、敷地周辺を再現した3Dパースを作成するには長い時間と多額の費用がかかりました。しかし、同社は測量と同時に周辺の環境を点群データとして取得できるため、この副産物を有効活用することで、これまでより安価に周辺環境データを提供できるようになりました。これにより、従来数十万円かかっていたサービスを数万円で提供することが可能になりました。

昼間と夕暮れの住宅街の比較

新サービス「PCDX」

現在は、この「ARパース」をさらに使いやすくした新サービス「ポイントクラウドDX(PCDX)」を提供しています。このサービスは、スマートフォンのブラウザ上で点群シミュレーションを可能にしたものです。「ARパース」の住宅シミュレーションサービスに加え、日射量ヒートマップや周辺環境を反映した日照解析などを実装しています。

日射量ヒートマップは、赤や青などの色分けで、どの壁にどれくらいの日射量があるのかを視覚的に捉えやすくするものです。こちらも従来からあるサービスですが、測量時の周辺点群データを利用して再現することで、安価に提供できるようになりました。

点群データでは光が点の間をすり抜けて陰にならないのではという疑問に対しては、光の方向に対して点群がある程度の密度になると光を通さないという設定にすることで対応しています。ノイズのような細かな点は光を通し、建物の壁などは影を落とす仕組みです。

ポイントクラウドDX(PCDX)の関連リンクはこちらです。
https://cote.pcdx.jp/

今後の展望

「PCDX」は今後も発展していく予定です。同社は役所調査も行っているため、そこで取得した建築制限ラインを可視化し、斜線制限などもシミュレーション表示できるようにしたいと考えています。

また、「PCDX」のヒートマップでは現在、色で日射量を比較していますが、これを数値化することを目指しています。これにより、ソーラーパネルを配置する際に、場所ごとの発電量を計算する具体的な数値として利用できる可能性があります。すでにメガソーラーの会社から共同開発の話も持ち上がっているとのことです。

建物の熱画像

点群測量の民主化へ

(株)JFDエンジニアリングは「パートナー事業」も展開しており、自社で開発した技術をパートナー事業契約者へ提供しています。これは競合する事業者を増やすことにもつながりますが、同社の代表はこれを「3D測量の民主化」事業と位置づけており、今後より広く3D点群測量を広めていくことを目指しています。

次々と独自の技術やサービスを開発し、さらにその技術の拡散を行っている(株)JFDエンジニアリングの「3D点群測量の民主化」という熱い思いは、測量業界に新たな変化をもたらすことでしょう。

関連情報

一般社団法人不動産検査保証機構 REIWS
ポイントクラウド測量部会
大阪市浪速区元町1丁目5番7号 ナンバプラザビル8階
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メールアドレス:info@reiws.or.jp

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