ハイブリッドクラウドの日本市場、2030年までに109億4,000万米ドル規模に成長予測

株式会社マーケットリサーチセンターは、日本のハイブリッドクラウド市場に関する調査レポート「Japan Hybrid Cloud Market Overview, 2030」を発表しました。このレポートでは、市場規模、動向、SaaS、IaaS、PaaSといったサービスモデル別の予測、関連企業の情報などが詳細に分析されています。
ハイブリッドクラウドとは
ハイブリッドクラウドとは、企業がデータやアプリケーションを管理するために、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて利用する仕組みです。プライベートクラウドは企業が独自に管理するシステムでセキュリティが高く、パブリッククラウドはインターネットを通じて多くの企業が利用できるシステムで、必要な時に必要なだけ使える柔軟性があります。この二つを組み合わせることで、企業は大切なデータを守りながら、必要な時に素早くシステムを拡張できるというメリットがあります。
ハイブリッドクラウドは、たとえば、普段は社内のシステムでデータを処理し、急にアクセスが増える時期だけ外部のクラウドサービスを使うといった形で活用されます。これにより、コストを抑えつつ、システムの安定した運用が可能になります。また、機密性の高いデータを社内に置きつつ、新しいアプリケーションの開発にはパブリッククラウドの機能を利用するといった使い方もできます。
日本市場の現状と成長要因
日本のハイブリッドクラウド市場は、データのプライバシー保護や国の規制を守りながら、デジタル技術を導入したいという企業の動きを反映しています。特に、これまで古いシステムを使っていた製造業や金融業、公共サービス分野の企業が、柔軟なイノベーションと安定した運用を両立させるためにハイブリッドクラウドへと移行を進めています。
政府が推進する「Society 5.0」のようなデジタル化の取り組みや、5G通信の普及、エッジコンピューティング(データを発生源に近い場所で処理する技術)の発展も、ハイブリッドクラウドの導入を後押ししています。また、労働力の高齢化が進む日本では、自動化やAIを活用したサービスへの需要が高まっており、これらを支える基盤としてもハイブリッドクラウドが注目されています。
「個人情報の保護に関する法律(APPI)」などの法律により、企業は機密性の高いデータを自社で管理しつつ、それ以外のワークロードにはパブリッククラウドを使うという選択を迫られています。さらに、地方でのクラウド導入や、東京、大阪、福岡でのスマートシティ開発への政府支援も、ハイブリッドクラウドへの投資を促しています。Microsoft Azure、Google Cloud、AWSといった海外のクラウドサービス提供会社も、日本のデータセンターやソリューションを国内企業と協力して展開し、データ管理や通信速度に関する懸念に対応しています。
市場規模の予測
この調査レポートによると、日本のハイブリッドクラウド市場は2030年までに109億4,000万米ドルを超える規模に達すると予測されています。この成長は、単にITシステムを新しくするだけでなく、それぞれの業界が抱える特別な課題やデジタル化の目標によって支えられています。
自動車製造や医療といった主要な産業では、日本のデータ取り扱い基準を守りながら、高性能なコンピューティング作業を支えるハイブリッドシステムが求められています。また、日本は自然災害のリスクが高いことから、災害が起きた時にデータを復旧させ、事業を続けられるようにするためのハイブリッドクラウドへの関心も高まっています。
サービスモデル別の動向
日本のハイブリッドクラウド環境では、SaaS(Software as a Service)が最も多く使われています。これは、小売、教育、金融業界の企業が、業務を効率化するためにSaaS型のERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)ツールを導入し、重要なデータは自社のシステムに保管しているためです。
IaaS(Infrastructure as a Service)は、製造業や通信業など、古いシステムを多く持つ業界で広く利用されています。これらの企業は、自社で開発したアプリケーションや仮想のコンピューターを、パブリッククラウドとつながったデータセンターで動かしています。
PaaS(Platform as a Service)は、市場全体に占める割合はまだ小さいものの、最も早く成長している分野です。日本の企業がソフトウェア開発を速めるために、DevOps(開発と運用の連携)、コンテナ技術、ローコードプラットフォーム(少ないコードでアプリを作る技術)を活用する中で、PaaSの導入が進んでいます。
コンポーネント別の動向
現在、ハイブリッドクラウドの導入では、プラットフォームへの投資や、仮想化、ストレージシステムのアップグレードといった「ソリューション」の提供が中心となっています。これらは、社内システム、パブリッククラウド、プライベートクラウドが混ざった環境を管理するための複雑なニーズに対応しています。
「サービス」は最も急速に成長している分野です。富士通、NEC、日立などのマネージドサービスプロバイダー(MSP)やシステムインテグレーターが、海外のクラウドベンダーと協力し、顧客のニーズに合わせたハイブリッド戦略を構築しています。クラウドネイティブ(クラウド環境に最適化された)なサポートサービスも、インフラ全体を大きく変えずにシステムを新しくしたい企業の間で利用が広がっています。
企業規模別の動向
日本では、多層的なITシステムへの投資や規制への対応能力を持つ大企業が、引き続きハイブリッドクラウドの導入を引っ張っています。自動車、金融サービス、エレクトロニクス分野の大手企業は、古いメインフレームと新しいクラウドアプリケーションを統合するためにハイブリッドクラウドへの移行を進めています。
一方、中小企業(SME)は、政府の補助金やクラウド導入コストの低下、中小企業向けに作られたシンプルなハイブリッドソリューションに後押しされ、最も急速に成長している分野です。通信事業者は、中小企業が既存のシステムを大きく変えることなくデジタルツールを導入できるよう、分割可能なハイブリッドパッケージを提供しています。
調査レポートに関する情報
本レポートは、一次調査と二次調査を組み合わせた方法で作成されました。市場の理解、主要企業のリストアップ、政府報告書やデータベースの分析、主要企業への電話インタビュー、消費者への調査などが行われています。
このレポートは、業界コンサルタント、メーカー、サプライヤー、関連業界団体・組織、政府機関、およびその他のステークホルダーが、市場に合わせた戦略を立てる上で役立つとされています。業界に関する競合情報の理解を深めることにも貢献するでしょう。
レポートで検討された内容
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ハイブリッドクラウド市場(市場規模、予測、セグメント別分析)
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様々な推進要因と課題
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進行中のトレンドと動向
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主要企業プロファイル
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戦略的提言
サービスモデル別
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サービスとしてのソフトウェア(SaaS)
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サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS)
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プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)
コンポーネント別
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ソリューション
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サービス
企業規模別
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大企業
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中小企業
お問い合わせ先
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