新和設計とSORABOT、LTE通信を活用した砂防堰堤の遠望点検を実証
新和設計とSORABOT、LTE通信を活用した砂防堰堤の遠望点検を実証
新和設計株式会社と合同会社SORABOTは、ドローンを使った砂防堰堤の遠望点検において、LTE通信を活用した実用検証を実施しました。この検証では、山間部で課題となる電波途絶のリスクを乗り越え、国土交通省が示す点検要領(案)に基づいた点検プロセスが実現できるかを確かめました。

検証の背景
砂防堰堤や砂防ダムの維持管理は、山間部の整備されていない道を移動する必要があるため、時間や危険が伴う作業が多くあります。こうした中で、ドローンを使った遠望点検は効率的で安全な方法として注目され、利用が広がっています。
しかし、山間部では地形の影響で電波が届きにくく、ドローンの安定した運用が難しいという大きな課題がありました。
今回の検証では、以下の点を確認しました。
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起伏の激しい山間部での広範囲の調査において、機動性の高いマルチコプターが有効であること。
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上空100〜150mの高さでLTE通信が安定して使えること。
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Starlinkを使うことで、地上でLTE通信が届かない場所でもドローンを運用できること。
これらの確認により、砂防施設の遠望点検の運用がより便利になることが実証されました。


検証の主なポイント
この検証では、以下の4つの重要なポイントが確認されました。
1. 上空でのLTE通信確保による尾根越え飛行の安定化
検証では、尾根を越えるような環境でも、上空100〜150mでLTE通信が安定して利用できることが分かりました。これにより、ドローンによる砂防ダムや砂防堰堤の遠望点検に必要な映像が途切れることなく送られ、安全な飛行が可能になりました。
2. Starlinkによる地上側ネットワークの安定化
検証を行った場所は、地上ではLTE通信が届かない地域でした。しかし、Starlinkを使うことで、ドローン点検に必要な安定した通信環境を確保できることを示しました。これにより、
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飛行中の映像の伝送
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ドローンの状態の監視
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飛行データの取得
が途切れることなく安定して行える環境が整いました。
3. 3Dモデルで飛行経路を設計し、翌年以降も同じ条件で撮影可能に
最初に砂防堰堤の3Dモデルを作り、それをもとにドローンの飛行ルートや撮影する場所を細かく決めました。これにより、翌年以降も同じルートでドローンを飛ばすことができ、砂防ダムに変化がないかを毎年同じ条件で比較できる体制が作れると確認されました。




4. DJI DOCK3(ドローンポート)との連携による拡張性も確認
ドローンポートを一緒に使うことで、
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ドローンの自動での離着陸
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遠隔からの定期的な巡視点検
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緊急時にもすぐに対応できる臨時点検
といった、より高度な運用が可能になります。これにより、ドローンが砂防堰堤を自動で巡視・管理する未来が現実味を帯びてきています。
新和設計株式会社からのコメント
新和設計株式会社の飯澤 誠氏は、砂防施設の巡視点検では、危険な場所や急な斜面での移動が伴うため、作業効率や安全性が課題であったと述べています。今回の検証では、人が歩きにくい場所でも点検が可能になり、流域全体の状況を把握できるようになったと評価しています。
また、緊急時の土砂崩れや川の閉塞(へいそく)の点検がしやすくなり、災害が起きた直後の二次災害のリスクを減らせる可能性についても言及しています。
ドローンの飛行の安定性については、山間部の厳しい電波環境でも、LTE通信とStarlinkを組み合わせることで安定した遠望点検が可能であることが確認できたと説明しています。3Dモデルを使った飛行ルート設計により、毎年同じ条件で撮影できる点も非常に有効であるとし、砂防施設の維持管理において、ドローンの活用が今後ますます重要になると考えており、引き続き実務での活用を進めていく方針を示しています。
実施概要
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実施日: 2025年11月12日
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場所: 福島県福島市土湯温泉付近
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対象範囲: 荒川第9堰堤〜第13堰堤
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使用機材: DJI Matrice 4TD(上空LTE通信利用)、DJI DOCK 3、Starlink
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検証項目: 通信安定性、遅延、遠望撮影の可否、ドローンポートの拡張性 など
会社概要

新和設計株式会社
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所在地: 山形県米沢市
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事業内容: 建設コンサルタント・測量・地質調査・維持管理・補償コンサルタント・環境調査等
合同会社SORABOT
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所在地: 神奈川県横浜市
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事業内容: ドローンポート(DJI Dock 3)を中心とした遠隔自動運用の導入支援、ドローン活用コンサルティング、点検・巡視ソリューションの提供
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