教育テクノロジーの日本市場、2034年には854億米ドル規模へ成長予測:市場調査レポートが発表

ノートパソコンを操作している人物の手元が写ったモノクロ画像

株式会社マーケットリサーチセンターは、日本の教育テクノロジー(EdTech)市場に関する新しい調査レポート「教育テクノロジーの日本市場(2026年~2034年)」を発表しました。このレポートでは、市場の規模、今後の動向、予測、そして関連企業の情報などが詳しくまとめられています。

日本のEdTech市場、急速な成長が予測される

日本のEdTech市場は、今後大きく成長すると予測されています。具体的には、2025年には177億6,600万米ドルだった市場規模が、2034年には854億990万米ドルに達すると見込まれています。これは、2026年から2034年の間に年間平均で19.06%ずつ成長する計算です。

この市場を特に後押ししているのは、企業や学校などで、一人ひとりに合わせた学習体験の必要性が高まっていることです。また、教育のやり方を変え、より効率的で、誰もが学びやすい、そして個々の学習者に合わせたものにしようとする業界の動きも、市場を大きく動かす要因となっています。

市場を牽引する主なトレンド

英語力の向上ニーズ

日本において英語力の向上が求められていることが、EdTech市場の重要なトレンドの一つです。例えば、2023年の国際的な英語能力調査では、日本は非英語圏の113カ国・地域の中で87位、アジア地域では23カ国・地域中15位と評価されました。特に英語での自己表現に課題があることが示されており、オンラインで英語を学べるプラットフォームやアプリへの需要が高まっています。機械学習や音声認識技術を使った英語学習アプリ「ELSA」が資金調達を行い、「ELSA AI Tutor」の提供を開始した事例もあります。

eラーニングの広がり

オンラインでの授業や学習リソース、eラーニングの利用が増えていることも、市場の成長を後押ししています。バーチャル教室やオンラインコースの普及が進んでおり、コニカミノルタ株式会社が中学生向けの英語スピーキング評価サービスや、教育機関・企業向けのオンラインソリューション「tomoLinks」を導入した事例が挙げられます。また、不登校の生徒のために遠隔操作ロボットが導入されるなど、様々な形でeラーニングが活用されています。さらに、VR(仮想現実)やAI(人工知能)、AR(拡張現実)といった新しい技術の進歩が、EdTechツールの性能を向上させ、その需要を押し上げています。

政府による教育のデジタル化推進

政府の様々な取り組みも、EdTech市場の成長を促進しています。文部科学省はデジタル技術の教育への導入を進めており、全国の学校にデジタルデバイスを配布する「GIGAスクール構想」や、CBTシステム(MEXCBT)の導入を推進しています。また、デジタル庁の設立や、優秀な外国人留学生が日本に滞在しやすくなるプログラムでメタバースを活用する計画など、国全体でデジタル化への動きが活発です。

レポートの詳しい内容

このレポートでは、EdTech市場を以下の視点から詳しく分析しています。

  • セクター別: 幼児教育、K-12(小・中・高校)、高等教育、専門能力開発と生涯学習など。

  • タイプ別: ハードウェア(インタラクティブホワイトボード、タブレット、VRヘッドセットなど)、ソフトウェア(学習管理システムなど)、コンテンツ(パーソナライズされた学習教材など)。

  • 導入モード別: クラウドベース(オンラインで利用できるサービス)とオンプレミス(学校や企業に直接システムを導入する方式)。

  • エンドユーザー別: 個人学習者、教育機関(学校や大学)、企業。

  • 地域別: 関東、関西/近畿、中部/中京、九州・沖縄、東北、中国、北海道、四国といった日本の主要地域。

EdTechとは

EdTech(エドテック)は、「Education(教育)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた言葉です。情報通信技術(ICT)を教育に取り入れ、学習体験の質や効率を高めるための取り組みや解決策全般を指します。単にデジタルツールを使うだけでなく、教育の目的、方法、評価、そして学習環境そのものを新しくしていくことを目指しています。

EdTechの主な目的は、学習者一人ひとりの能力を最大限に引き出し、その人に合った最適な学習を提供することです。時間や場所にとらわれずに学べる機会を作り出すことで、従来の教育が抱えていた「学習進度の違いへの対応不足」や「モチベーション維持の難しさ」、「教育を受けられる機会の差」といった課題を解決しようとしています。また、先生方の負担を減らし、教育の質を高めることも大切な目標です。

EdTechでは、人工知能(AI)による一人ひとりに合った学習、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を使った体験型学習、学習データを分析して教育を改善するビッグデータ分析など、様々な技術が活用されています。これらの技術は、学校教育から大学、企業の研修、そして生涯にわたる学習まで、幅広い場面で役立てられています。

今後の展望

教育テクノロジーは、従来の教育モデルを変革し、より効率的で、個別化された学習体験を提供する可能性を秘めています。政府の支援や技術の進化が続くことで、日本のEdTech市場は今後も成長を続けるでしょう。しかし、デジタル機器の利用格差の解消や、先生方のデジタル技術への習熟、データの倫理的な利用など、解決すべき課題も残されています。これらの課題を乗り越えながら、EdTechは未来の教育を形作る重要な役割を担っていくと期待されます。

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