建設業界の未来を変える次世代圧入機「SXシリーズ」が登場

建設現場の課題に挑む、技研製作所の次世代圧入機「SXシリーズ」

建設業界では、熟練した技術を持つ人が少なくなったり、働く人が足りなくなったりする問題が深刻になっています。このような状況に対し、株式会社技研製作所は、誰でも安心して作業できる新しい圧入機「SXシリーズ」を来年の春から順次発売すると発表しました。

この「SXシリーズ」は、圧入技術とデジタル技術を組み合わせることで、次の時代の建設現場を実現します。特に、熟練者の技術データを活用した「自動運転機能」や、作業を助ける「操作アシスト機能」が搭載されており、安定した品質での作業と、オペレーター(機械を操作する人)の負担を減らすことを目指しています。

SILENT PIER™ SX Seriesのプロモーション画像

「SXシリーズ」のコンセプト

「SXシリーズ」には、3つの「S」と「X」という考え方が込められています。

  • Smart support(スマートサポート): 自動運転や操作支援によって、安定した品質での作業と、作業する人の負担を減らすことを目指します。

  • Specialized design(スペシャライズドデザイン): さまざまな現場の状況に合わせて、最適な機械を提供します。

  • Sustainability(サステナビリティ): 環境への負担を減らし、誰でも使いやすい設計にすることで、持続可能な建設作業に貢献します。

  • Transformation(トランスフォーメーション): 建設現場の未来を大きく変えることを意味します。

SILENT PIER™ SXシリーズのコンセプト図

主な特長:デジタル技術による進化

Smart support:自動運転と操作アシスト

「SXシリーズ」は、建設現場での圧入作業のデータを集め、熟練者の技術をデジタルデータとしてクラウド(インターネット上の保存場所)に蓄積します。このデータをもとに、自動運転支援アプリ「G-Lab Nexus」が、圧入に必要な力や速さなどを自動で設定し、機械に送ります。これにより、作業中の動きが自動でコントロールされ、常に安定した品質で作業が進められます。

G-Lab™とG-Lab Nexusによる自動運転支援の図

さらに、来年の夏には、AI(人工知能)がクラウドに蓄積されたデータを学習し、それぞれの現場に最も適した自動運転の方法を提案する機能がアプリに追加される予定です。

また、機械の移動操作をボタン一つで自動化する機能や、杭(くい)を立てる、つなぐ、高さを合わせるといった作業を助ける機能も搭載されています。これにより、決まった作業の効率が上がり、作業時間とオペレーターの負担が減ります。誤った操作を防ぐことにもつながり、安全性の向上にも役立ちます。

圧入機による施工手順のイラスト

  • 建て込み位置アシスト: 鋼矢板(こうやいた)を立てる位置を記憶し、チャック(杭を掴む部分)やリーダーマスト(杭を誘導する柱)を自動で調整します。
    建て込み位置アシスト機能のイメージ

  • 継手嵌合アシスト: 杭をつなぐ部分(継手)がぴったり合う位置まで、チャックやリーダーマストを自動で調整します。
    継手嵌合アシスト機能のイメージ

  • 天端合わせアシスト: 杭の上の端が揃う位置で、圧入を自動で止めます。
    天端合わせアシスト機能のイメージ

Specialized design:機械仕様の最適化

現場の地盤の硬さや場所の制限に合わせて、機械の設計が最適化されます。これにより、効率的で安定した作業が可能となり、さまざまな建設ニーズに対応します。例えば、都市部や狭い場所に適した軽い機械や、多様な地盤に対応する複数の工法を選べる機械などが用意されます。

Sustainability:持続可能性の向上

電動パワーユニットの採用により、CO₂を排出しない圧入作業が実現します。また、熟練者の技術データを蓄積することで、将来的にAIによる学習や自動施工システムに活かされ、技術が途切れることなく次の世代へと引き継がれることが期待されます。自動運転や操作アシスト機能によって、経験の少ない人でも機械を扱いやすくなるため、環境への配慮と人材の活躍の両面から、持続可能な建設体制が作られます。

新たに登場する「サイレントパイラー™」とパワーユニット

サイレントパイラー™ ST400SX

U形鋼矢板400mm幅に対応する機械で、来年の春から発売されます。これまでの機械よりも200kg軽くなり、杭を引き抜く力も100kN向上するなど、現場での使いやすさと対応力が進化しています。また、バッテリー式電動パワーユニットにも対応しており、CO₂排出ゼロの圧入作業が可能です。

サイレントパイラー™ ST400SX

サイレントパイラー™ HA400SX

この機械は、1台で「単独圧入」「ウォータージェット併用圧入」「硬質地盤圧入」の3つの工法を選べる複合式のU形鋼矢板400mm幅対応機です。特に、地盤がN値50〜250程度の砂礫層や玉石層に適した、軽くてコンパクトな機械となっています。来年の夏に発売が予定されています。

GIKEN SILENT PILER SX HA400
HA400SXとF112の圧入工法適用範囲の比較グラフ

バッテリー式電動パワーユニット MUB150

「サイレントパイラー™」の動力源となるバッテリー式電動パワーユニット「MUB150」も発売されます。ディーゼルエンジンではなく電動モーターで動くため、CO₂を排出しません。バッテリー式なので、大きな電源やケーブルが不要で、現場への導入が簡単になります。また、非常に静かで、騒音値は国土交通省の基準値を下回ります。

バッテリー式電動パワーユニット MUB150

クラウド型データプラットフォーム「G-Lab™」

「G-Lab™」は、圧入作業に関するさまざまな情報をクラウドで一元管理できるデータプラットフォームです。機械の稼働状況や現場の様子、技術情報などがクラウドに蓄積され、現場での判断を助けます。2025年6月から提供されている機材管理アプリ「G-Lab Fleet」、現場管理アプリ「G-Lab Site」、技術情報検索アプリ「G-Lab Finder」に加え、今回「G-Lab Nexus」が新たに登場します。これにより、工事全体の効率化と最適化に貢献します。

「G-Lab™」シリーズの詳細については、技研製作所のウェブサイトをご覧ください。
https://www.giken.com/ja/products/ict/g-lab/

まとめ

技研製作所は、1975年に最初の「サイレントパイラー™」を開発してから50周年を迎えます。「SXシリーズ」は、社会の課題を解決する開発型企業として、未来の建設現場のあり方を見据え、同社の技術力を結集して生み出されました。今後、国の強化や災害対策、都市の再開発といった大切な社会課題に対応する建設ソリューションとして提案を強化し、持続可能な社会の実現に貢献していくとのことです。

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