建設業界の「2025年問題」が深刻化、技術継承と人材不足に9割が不安

建設業界は今、「2025年問題」という大きな課題に直面しています。これは、団塊世代の熟練技術者が大量に定年退職を迎えることで、技術の継承や人材の確保が難しくなるという問題です。BuildApp総合研究所が全国の建設産業従事者1,000人を対象に行った意識調査では、この問題に対する業界の深刻な状況が明らかになりました。

「2025年問題」の認知度と理解度

調査によると、「2025年問題」の存在は全体の89.1%が認知しているものの、その内容まで深く理解している人は63.0%にとどまることが分かりました。特に、現場に近い職種(専門工事、施工、施工管理など)では内容理解度が低い傾向が見られます。一方で、DX推進部門や購買部門では高い理解度を示しています。

「2025年問題」の認知度と内容理解度を示す棒グラフ
1.「2025年問題」について、どの程度認識していますか?

技術継承への不安と背景

「2025年問題」の内容を理解している人のうち、92.0%が技術継承に不安を感じていることが判明しました。この不安の背景には、「若手が定着しない・育たない」(42.2%)、「技術継承の仕組みが不十分」(38.3%)、「人手不足が深刻」(35.5%)といった複合的な問題があります。

「2025年問題」の認識度と技術継承への不安度の関係を示すグラフ
2. 「2025年問題」についての認識度と、「技術承継」への不安度の掛け合わせ集計 認知度が高い層ほど、技術継承への不安も高まる傾向に

技術継承への不安の理由を示す棒グラフ
3. 技術継承への不安。理由は「仕組み不足」と「人材不足」

また、技術継承のための社内教育やOJT(職場内訓練)が十分に行われているかという問いに対しては、全体で約半数(49.3%)が「体系的に行われている」または「一部行われている」と回答しましたが、裏を返せば約半数が不十分だと感じていることになります。特にDX推進部門では教育が体系的に行われていると回答した割合が高く、他の部門との差が浮き彫りになりました。

技術継承のための社内教育やOJTの実施状況を示す棒グラフ
4. 技術継承のための社内教育やOJTは十分に行われていますか?

技術継承に最も有効だと思う取り組みとしては、「OJT(現場指導)」(52.7%)や「マニュアル化・動画教材」(39.0%)が上位に挙げられました。しかし、現場では教育時間の不足が深刻であることが指摘されており、デジタルを活用した効率化が求められています。

技術継承に最も有効だと思う取り組みを示す棒グラフ
5. 技術継承のために最も有効だと思う取り組みは何ですか?

BIMやデジタルツールへの期待と課題

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やデジタルツールが技術継承に役立つと考える人は全体の69.3%を占めています。教育時間不足やマニュアル化の遅れを課題と捉え、ICT(情報通信技術)での効率化を期待する声が多いです。しかし、約3割の人は「技術は職人の腕」という認識が強く、デジタルでは身につかないと考えており、期待は二極化しています。

BIMやデジタルツールが技術継承に役立つかどうかの認識を示す棒グラフ
6.BIMやデジタルツールは、技術継承に役立つと思いますか?

企業・行政・社会に求められること

建設産業従事者が企業に最も求めているのは「賃金・待遇の改善」(63.9%)でした。行政に対しては「建設業法改正による価格転嫁の義務化」(50.2%)が、社会に対しては「建設業の価値・職人技術への理解と尊重」(60.5%)が強く求められています。これらの課題は、業界全体で取り組むべき喫緊の課題として認識されています。

企業・行政・社会に求めることを示す棒グラフ
7.企業・行政・社会に求めることを選択してください

課題解決への考察

今回の調査結果から、建設業界が直面する技術継承の課題は、「仕組みの不十分さ」「人材不足」「教育時間の不足」が複雑に絡み合っていることが分かりました。OJTや動画教材、マニュアル化が重視される一方で、現場には教育の時間が足りていません。

このギャップを埋めるためには、プロセスの「可視化」「標準化」「共有」を可能にするクラウド基盤が重要です。BIMやデジタルツールの活用は、人手が増えなくても品質とスピードを維持できる現場を作り、生産性向上を通じて人手不足や教育時間不足を解決する有効な手段となりえます。設計から施工までの情報を一貫して管理し、熟練の技術者が持つ「暗黙知」を動画やデータで「形式知」に変えることで、若手技術者の育成を効率化し、早期に戦力化することが期待されます。

BuildAppによる建設DXへの取り組み

BuildApp総合研究所は、建設産業におけるデジタル技術の活用とサプライチェーンの変革を推進するため、2024年12月に設立されました。建設DXやデジタルツールの活用方法に関する情報発信を行っています。

BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」

BuildAppのロゴとスローガン

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIMデータを活用し、建設工程全体の生産性向上を目指すクラウドサービスです。設計から製造、流通、施工管理、維持管理までをBIMでつなぎ、各工程のプレイヤーに合わせたサービスを提供します。これにより、設計・施工の手間や手戻りを減らし、コスト削減や廃棄物・CO2排出量の削減に貢献しています。

SDGsの目標アイコン

BuildAppは、「BIM起点のデータで建設関係者を繋いで連携を生む」「工程の可視化や業務の自動化により業界内の無駄を解消する」「DXによる生産性向上や廃材・CO2排出量の削減を目指す」ことを通じて、建設DXで社会を変えていくことを目指しています。

新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」

BuildApp 内装 建材数量・手配サービスの画像

2025年2月3日より、BuildAppの新サービス「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」の商用提供が開始されました。このサービスは、内装仕上工事に必要な建材の発注数量の算出や施工情報の自動アウトプットを可能にし、建材手配に関わる業務を効率化します。BIM化が遅れている内装仕上工事の分野に情報マネジメントの変革をもたらす一歩となります。

BuildAppの詳細については、以下のリンクから確認できます。

今回の調査結果をまとめた資料も提供されています。技術継承に向けたBIM・デジタル化の可能性に焦点を当てた、建設産業従事者の「リアルな声」が収録されています。

独自調査資料の紹介画像

野原グループ株式会社は、「CHANGE THE GAME.クリエイティブに、面白く、建設業界をアップデートしていこう」というミッションのもと、建設DXを通じて社会に貢献することを目指しています。

野原グループ株式会社のロゴ

まとめ

建設業界が直面する「2025年問題」は、熟練技術者の大量退職による技術継承と人材不足という深刻な現実を突きつけています。この課題を乗り越えるためには、業界全体の意識改革と具体的な取り組みが必要です。特に、BIMやデジタルツールの活用による業務の効率化と技術の「見える化」は、若手技術者の育成と業界全体の生産性向上に不可欠な要素となるでしょう。BuildAppのような建設DXツールは、これらの課題解決の一助となることが期待されます。

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