山梨県丹波山村、人口増加に対応し保育所を増築へ – オフサイト建築で地域の課題解決
山梨県丹波山村は、人口減少が進む時代において珍しく、若い移住者や9歳以下の子どもが増加しています。この人口構造の変化は、内閣府の地域活性化関連資料でも示されており、村の取り組みが成果を上げている状況がうかがえます。
しかし、この喜ばしい変化は新たな課題も生み出しました。具体的には、「住まい不足」と「保育スペース不足」です。さらに、山間地域である丹波山村には工務店や大工職人が不足しており、「建てたくても建てられない」という構造的な問題がありました。
オフサイト建築が課題解決の鍵に
これらの課題に対し、丹波山村が最終的な解決策として採用したのが、オフサイト建築による高性能ユニットです。これは、建物の主要部分を工場で製作し、現地での作業を最小限に抑える建築手法です。この方式は、建設に必要な人材の確保が難しい中山間地域でも、安定した品質で公共施設を整備できると評価されています。
オフサイト建築には、以下のようなメリットがあります。
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工場で製作することで、品質が均一になり、現地の人手に依存しない建設が可能。
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現地作業が最小限で済むため、工期を短縮し、保育を止めることなく工事を進められる。
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断熱等級6、耐震等級3という高い性能を確実に確保できる。
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将来的な移設や転用も可能で、人口変動に柔軟に対応できる。
これにより、工務店がいない地域でも住宅や公共施設を整備できる画期的な仕組みが実現しました。
丹波山村の段階的な取り組み
丹波山村は、数年前から未来の地域インフラを段階的に整備してきました。
1. 高性能村営住宅の整備
移住者の住まい不足に対応するため、オフサイト建築による高性能な村営住宅が整備されました。これは、工務店が不在の地域でも施工できる手法として評価され、移住者の受け皿づくりが進められています。
2. 保育所の増築
若い移住者や子育て世帯の増加により、保育の需要が拡大しています。全国的に保育所の統廃合が進む中で、丹波山村が「保育所を増築する自治体」として注目されています。
今回採択された増築案では、断熱等級6・耐震等級3の高性能ユニットが用いられます。既存の園舎とはデッキで接続され、可変型の空間として利用できる計画です。


プロジェクトの主な特徴
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人口減少時代における「希少な増築」
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育児相談や移住体験にも活用できる可変型保育室
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地域産材を活用した木質外観と木育要素
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断熱等級6・耐震等級3の高性能ユニット建築
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工務店不在でも建設できるオフサイト建築
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将来の移設・転用に対応できる柔軟な公共施設


丹波山村役場は、今回の保育所増築プロジェクトについて、「小規模な地域でありながら、このような人口構造の変化が起きていることは、村にとって大きな希望です。オフサイト建築による高性能ユニットの採用は、地域特有の課題に対応し、保育の継続性を保ちながら整備を進められる点を高く評価しました。本増築が、子どもたちの安心・安全な環境づくりと、これからの丹波山村の未来を支える大きな一歩となることを期待しています。」とコメントしています。
全国各地の過疎地への示唆
丹波山村が経験した「移住成功 → 子ども増加 → 保育不足 → 建築人材不在」という一連の流れは、全国の過疎地が将来直面する可能性のある課題を示唆しています。オフサイト建築による高性能ユニットは、「建てたくても建てられない地域」における新しい解決策となり得ます。
株式会社クリエイト礼文は、今回の丹波山村の事例をモデルとして、全国の離島や過疎地における社会的インフラ整備に貢献していく方針です。
株式会社クリエイト礼文のコーポレートサイト:
https://createlemon.jp
本件に関する関連情報:
https://createlemon.jp/news/tabayama


