東京から遠隔操作で夜間の北海道スキー場遭難者をドローンが発見 – 新しい捜索の常識を確立

2026年1月15日、北海道富良野スキー場で発生したバックカントリー遭難事案において、一般社団法人Japan Innovation Challenge(以下、JIC)は、設置型ドローンを東京および北海道上士幌町から遠隔操作し、夜間の雪山で遭難した7名全員を発見・救助につなげた事例を公表しました。

「夜の雪山では捜索ができない」というこれまでの常識を、設置型ドローンの遠隔操作が覆す象徴的な実証結果として注目されています。

ドローン飛行

遭難者発見までの流れ

この遭難事案では、遭難者が携帯電話の衛星経由緊急通報で警察にSOSを発信。警察から富良野スキー場を通じてJICに情報が共有されると、わずか12分でドローンの飛行を開始しました。

ドローンは自動で夜間飛行を行い、搭載された可視光カメラと赤外線カメラで撮影したデータを解析。その結果、飛行開始から28分後には遭難者の姿を捉えることに成功しました。

可視光カメラが捉えた遭難者

赤外線カメラが捉えた遭難者

ドローンは飛行中、スピーカーを使って遭難者の母国語で「ドローンで捜索しています」「見つけました。その場にいてください」「今夜救助がきます」といった呼びかけを行いました。これにより、遭難者の心の安定を促し、救助隊が夜間に現場へ向かう判断を支援しました。

発見された遭難者の情報は富良野スキー場を通じて救助隊に共有され、夜間のうちに全員が無事に救助されました。

これまでの捜索が難しかった理由

スキー場の管理区域外や立ち入り禁止区域での捜索は、捜索する側の安全を最優先するため、天候や視界、地形の条件によって大きく制限されていました。特に夜間は、二次災害のリスクが高まることから、日没後は捜索を中断し、翌朝に再開するのが一般的でした。

設置型ドローンが変えたこと

今回の事例で活躍したのは、完全自動の設置型ドローンポートを用いたドローンです。操縦士が現地に行かなくても、設置されたドローンポートからドローンを離陸させ、飛行させることができます。

ドローンの離発着や飛行は全て事前に設定され自動で行われるため、特定の操縦者の技術に頼らず、安全に飛行させることが可能です。

富良野スキー場のゴンドラ駅舎に設置した設置型ドローンポートと衛星通信アンテナ

富良野スキー場との継続的な取り組み

この事例は、JICと富良野スキー場がこれまで協定を結び、お客様に安全にスキーを楽しんでもらうためのドローン活用検証を進めてきた成果です。人の手による運用の限界を踏まえ、先進的な取り組みを柔軟に受け入れ、現場で検証を重ねてきたことが、今回の成果につながっています。

富良野スキー場の伊賀 裕治総支配人は、「先進的な取り組みとして進めてきたドローン活用が、実際の夜間捜索で成果につながったことは大きな一歩です。今後も安全なスノーリゾートを目指し、来シーズン以降の運用体制構築を検討していきます。」とコメントしています。

今後の活動

JICは、これまでにも消防向けのドローン活用セミナーや訓練を提供してきました。また、ドローンを安全に自動航行するためのルート作成ソフトウェアや、赤外線カメラ映像を解析するソフトウェアをホームページで無償公開しています。

今回の事例は、「夜間捜索は危険を伴い、実施が難しい」とされてきた考え方を見直し、遠隔からでも捜索が実現できることを示した一つの到達点です。今後も、実際の現場での検証と運用実績を積み重ねながら、ドローンなどのIT技術を活用した遭難者捜索を推進し、人命救助の安全性とスピード向上に貢献していく方針です。

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