八木建設、若手育成のための社内大学「YAGIビルドアカデミー」を2026年7月に開校

八木建設株式会社は、建設業界の喫緊の課題である人材定着と若手技術者の育成を目指し、社内大学「YAGIビルドアカデミー」を2026年7月に開校する予定です。この取り組みは、従来のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に頼る育成体制から脱却し、計画的かつ体系的な教育環境を整備することを目的としています。
育成の属人化を解消する新たな取り組み
建設業界では、働き方改革によって指導時間の確保が難しくなり、若手への教育が個人の経験や判断に任されがちになるという課題があります。これにより、指導内容にばらつきが生じたり、若手技術者が業務で判断に迷ったりするケースが見られました。八木建設は、こうした「育成の属人化」を解消するため、会社として責任を持って若手を育てる仕組みを構築する必要性を強く認識しました。

3年間で成長を促すカリキュラム
「YAGIビルドアカデミー」では、「木造非住宅のプロを育てる 基礎を学ぶ大学」をコンセプトに、3年間を育成の基本サイクルとしています。年間24講義、合計56時間の学習を就業時間内に実施します。これにより、若手技術者は安心して学び、責任ある現場管理者へと成長できる環境が提供されます。施工管理技士の資格取得支援もカリキュラムに含まれており、キャリア形成を後押しします。

年間カリキュラムの例
| 回 | 講義内容(新入社員・2年目・3年目対象) | 回 | 講義内容(新入社員・2年目対象) |
|---|---|---|---|
| 1 | 施工管理の魅力と働き方、会社朝礼/コミュニティーミーティング | 13 | プレカット図及び施工図のチェック |
| 2 | 顧客・協力会社とのコミュニケーションスキル/業者手配・発注方法/現場朝礼と昼礼、鍵閉め | 14 | ISO 9001 ISO 14001の内容 環境配慮 |
| 3 | 施工計画書の書き方・考え方、戸建て住宅の工程表作成/設計図通りに作ればよいわけではない/仮設計画その他 | 15 | 基礎のアンカーボルト、ホールダウン金物の打設前チェック(実地研修) |
| 4 | 見積もりの作り方、見方、実行予算の組み方(原価管理) | 16 | 現場の整理整頓が受注アップ、残材の処分/看板シートの掛け方/職員の横のつながり、協力体制について/カタログの見方、サンプルの取り方 |
| 5 | 地鎮祭開催の時期、準備と司会台本読み/近隣事前挨拶と工事中の挨拶/トラブルに対する対応、騒音対策 | 17 | 地縄張り、丁張・遣り方、墨だし/実地研修 その2 |
| 6 | 計測機器の実地研修 その1 | 18 | サッシ、木製建具、防水と通気、断熱気熱の納まりチェック |
| 7 | 事故を防ぐための取組み(安全管理) 具体的な方法をケーススタディーで学ぶ | 19 | 完了検査と引渡書類/ISO書類整理と竣工図 |
| 8 | 地縄張り、丁張・遣り方、墨だし/実地研修 その1 | 20 | 計測機器の実地研修 その2 |
| 9 | 工程内検査と第3者確認で手戻りを防ぐ/材料や工法が基準を満たしているか確認/共通仕様書の読み方 | 21 | 完成時に工事を振り返りフィードバック作成/アフターメンテナンスと小工事/顧客への請求書提出/業者請求書のチェック |
| 10 | 施工図の書き方と、該当工事 | 22 | SWS試験、ボーリングデータの読み方、お客様への伝え方 |
| 11 | 定例会議は色決めが目的ではない/追加変更が出た際の対応、変更見積の作成方法 | 23 | 社内外講義 |
| 12 | 工事掛け持ちの体制や、シニアエキスパートの存在について/建設ディレクター、総務サポートの内容(関わり方) | 24 | 社内外講義 |
1年目では現場で必要な基礎を体系的に学び、2年目では更地から完成までの流れを理解し、木造住宅の責任者としての不安を軽減する内容となっています。同世代の仲間とのつながりを育み、悩みや不安を共有しやすい環境づくりも目指されています。
講師育成と教材整備で学びの質を向上
講義は主任や管理職が担当し、将来的には若手職員が講師を務めることで、教える経験そのものを成長の機会とする狙いがあります。教材の作成には経営層も参画し、社内に蓄積された知識を体系化する予定です。さらに、専門分野を持つ外部教育機関との連携や外部講師の招へいにより、学びの質を高めていくとしています。

学校向け企業説明会でのカリキュラム提示
今後は、学校向け企業説明会で「YAGIビルドアカデミー」のカリキュラムを提示し、教育体制の「見える化」を進めていきます。この取り組みを通じて、学生や学校からの信頼を向上させ、採用力の強化につなげる考えです。また、地域の教育機関との連携も視野に入れ、次世代の建築人材育成に取り組んでいくとしています。

代表コメント

代表の八木雅之氏は、「OJTだけでは、若手の潜在能力を引き出しきれず、企業としての責任も果たせないと痛感した出来事がありました。規模の拡大に伴い、この状況を変えたいと強く思っています。社内学校を通じ、人として、そして地域の現場を支える責任者として成長できる環境を整えていきたいです」とコメントしています。
- ▶note(4代目地場ゼネコン社長):https://note.com/masayuki4891
会社概要

社名:八木建設株式会社
住所:埼玉県本庄市中央2-6-20
設立:1955年3月
代表者:八木雅之
事業内容:総合建設業


