プラント設備の長期技術知見をAIで再活用、リーガルテックが「AI IPGenius」を提供開始
リーガルテック株式会社は、エネルギー・プラント業界の設計・開発部門を対象に、プラント設備の技術文書を解析・整理するナレッジ基盤「AI IPGenius」の提供を始めました。

背景にある課題
発電設備や処理設備といったプラント設備は、非常に長い期間にわたって使われることが一般的です。そのため、設計書や計算書、改造の記録、トラブル対応の記録など、多くの技術文書が蓄積されてきました。
しかし、これらの文書は案件ごとや作成された年代によって形式や書き方がバラバラなことが多く、過去の設計判断や検討内容を後から確認するのが難しいという問題がありました。その結果、似たような設備や条件であっても、過去の知見が十分に活かされず、もう一度検討し直す手間が発生することがあります。
また、設計・開発を担当する部署と知的財産を担当する部署の間で技術情報の共有が不十分な場合、せっかくの設計上の工夫や新しいアイデアが、特許などの「発明」として整理されにくいという課題も指摘されていました。
「AI IPGenius」による設計文書の横断解析と知見の整理
「AI IPGenius」は、こうした課題を解決するために開発されました。このシステムは、プラント設備に関する設計書や改造資料、会議の議事録など、形式や作成時期が異なる様々な技術文書をまとめて扱い、再利用できる形に知見を整理するナレッジ基盤です。
例えば、過去の案件の基本設計書と詳細設計書、設計変更時の検討メモ、改造工事に関する技術資料などを一括してシステムに取り込むことで、「どの案件で、どのような判断がされたのか」を文書を横断して簡単に参照できるようになります。
これにより、
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類似する設備で過去に検討された設計条件
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採用されなかった代替案とその理由
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トラブルが起きたときの技術的な工夫
といった情報を、担当者の記憶だけに頼らずに確認できる環境が作られることが期待されます。

活用事例
あるプラントエンジニアリング会社の設計・開発部門では、「AI IPGenius」を導入し、以下の資料をシステムに投入しました。
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基本設計書
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詳細設計書
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設計変更時の検討資料
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過去案件の技術資料
「AI IPGenius on IDX」という閉鎖された環境で提供される基盤がこれらの資料を横断的に解析し、設計上の判断ポイント、検討時に考慮された制約条件、似た設備や案件との構造的なつながり、過去の検討結果や採用・不採用の理由などを整理しました。設計者は、この整理された情報を手掛かりに検討を進め、過去の案件における設計条件の確認や、設計方針の再整理に役立てることができました。
また、整理された技術情報は同社の「MyTokkyo.Ai」と連携させ、似た技術や過去の特許出願との関係性をすぐに確認できる体制を整えたことも、この事例の大きな特徴です。
「AI IPGenius」の主な特徴
「AI IPGenius」は、以下のような特徴を持っています。

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多様な文書形式に対応: 設計書、改造資料、議事録など、形式や年代が異なる技術文書を横断的に扱えます。
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知見の整理と参照性向上: 過去の設計判断や検討経緯、採用されなかった代替案とその理由、トラブル対応時の技術的な工夫などを、担当者の記憶に頼らず確認できる環境を提供します。
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安全な運用環境: 閉鎖されたネットワーク環境「IDX」上で提供されるため、社内の機密性の高い共有ファイルを安全に取り扱うことが可能です。設計・開発部門や知財部門が扱う技術情報を、権限管理のもとで組織内に蓄積・活用する用途を想定しています。
期待される効果
この取り組みにより、以下のような効果が期待されています。
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過去の設計・改造資料を探す時間の削減
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技術情報の整理や再構成の効率化
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設計上の工夫や新しいアイデアが発明の候補として整理されること
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技術テーマの検討や設計レビューの際に、必要な情報が見つけやすくなること
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部署を越えた技術情報の共有が進むこと
これらは、既存の業務を直接置き換えるものではなく、設計や技術検討の業務をサポートする形で活用されることが想定されています。
今後の展開
今後は、研究・設計の現場でさらに役立つように、以下のような機能強化を進めていく予定です。
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技術テーマを探すモデルの強化
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設計検討の履歴や実験の記録を整理するモデルの強化
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技術を比較し、違いを見つけるモデルの高度化
リーガルテック株式会社は、「AI IPGenius」がプラント設備の長期的な技術資産を整理し、次の世代へと受け継ぐためのナレッジ基盤として活用されることを視野に入れています。
製品についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。


