ダム工事のグリーンカット作業を自動化、生産性向上と担い手不足解消へ

ダム工事のグリーンカット作業を自動化

前田建設工業株式会社は、ダム工事でコンクリートを打った後に行う「グリーンカット作業」を自動で行うマシンを開発しました。

グリーンカット作業の課題

グリーンカット作業とは、コンクリートを打った翌日に、その表面にあるもろい薄い膜(レイタンス)を、次のコンクリートを打つ準備として取り除く作業のことです。これまでは、多くの人手を使ってブラシなどで取り除く、とても大変な作業でした。

この作業にはいくつかの課題がありました。まず、広い範囲を短時間で処理する必要があるため、作業員にとって非常に過酷でした。また、現場がお休みになる日の前日にはコンクリートを打つことができないという問題もありました。さらに、最近は「働き方改革」で週休二日制が広まっており、休日と作業の調整も難しくなっていました。

これらの課題を解決するため、前田建設工業株式会社は、機械による自動化技術と、化学的な処理を組み合わせることで、お休みになる日の前日でもコンクリートを打てるような新しい方法の開発を進めてきました。

自動グリーンカットマシンの開発

今回、これらの課題を解決する「自動グリーンカットマシン」が開発されました。

自動グリーンカットマシン

このマシンは、2025年8月に岐阜県が発注した内ケ谷ダム本体工事で実際に試されました。

一般的に、大きな機械で自動作業を行う場合、型枠のすぐ近くの作業は難しいことがあります。また、人がいない場所で機械が作業する際には、人と機械の作業エリアを分ける安全ルールがあります。

そのため、今回の試行では、広い範囲は自動グリーンカットマシンで作業し、機械では難しい型枠の際(きわ)については、コンクリートを打った直後に、後で水洗いするだけで良い「遅延剤」をまく方法を併用しました。

夜間の清掃ロボット

自動GCマシンと遅延剤散布による人力施工の比較

この自動グリーンカットマシンは、イギリスのMcConnel社が作った「ROBOCUT」という機械をベースにしています。これに、インフロニアグループの前田製作所が作った専用のアタッチメントや、GPS(GNSS)、カメラ、通信機器、そして機械を制御するコンピューターが組み合わされています。

このマシンには、「自動施工モード」と「遠隔施工モード」の2つのモードがあり、切り替えて使うことができます。「自動施工モード」では、あらかじめタブレットで作業ルートを設定し、開始ボタンを押すだけで作業ができます。

自動化・遠隔施工システム

試行で確認されたこと

今回の新しい施工方法の試行によって、以下の3つの点が確認されました。

  • 現場の通信環境(無線LANのみ)でも、機械が自動で作業できること。

  • 自動で作業した部分も、遅延剤をまいて作業した部分も、次にコンクリートを打つためのきれいな表面を保てること。

  • 遅延剤をまくことで、お休みの日の前日にコンクリートを打っても、品質をきちんと保てること。

期待される効果と今後の展望

この自動グリーンカットマシンを導入することで、年間でコンクリートを打てる日数が約1.3倍に増えることが期待されます。これにより、工事にかかる期間を短くしたり、必要な作業員の数を減らしたり、さらには工事にかかる費用を抑えることができるでしょう。

施工方法の比較と効果

今後は、グリーンカット作業における、実際の作業から品質の確認までの一連の流れを、すべて自動で行うシステムの開発を目指しています。

グリーンカット自動化フロー

前田建設工業株式会社は、これからも現場での実証を続け、建設作業の自動化や省人化に取り組んでいくとのことです。

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