タカミヤと大林組が橋の工事を安全にする新しい足場「ムーバルデッキ」を開発

株式会社タカミヤと株式会社大林組は、老朽化した橋のリニューアル工事で作業員の安全を守り、工事の効率を上げるための新しい懸垂式移動足場「ムーバルデッキ」を共同で開発し、レンタルを開始しました。

開発の背景:老朽化する橋の改修が急務

国土交通省の調査によると、2040年には建設から50年以上経つ橋が全国の約73万橋のうち7割以上になると言われており、社会のインフラが古くなることが大きな問題となっています。

橋のリニューアル工事では、橋の下に吊り足場を設置するのが一般的です。しかし、この足場を組み立てたり解体したりする際、足場の端に隙間ができてしまい、作業員が落ちる事故の危険が常にありました。この危険をなくし、作業の安全と効率を両立させるために、「ムーバルデッキ」が開発されました。

*1: 国土交通省「建設後50年以上経過する社会資本の割合」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/_pdf/50year_percentage.pdf

「ムーバルデッキ」とは

「ムーバルデッキ」は、橋や高速道路のリニューアルや点検工事で、作業用の吊り足場を安全かつ効率的に組み立て・解体するための移動足場です。この装置は、移動する仕組みと作業する床でできています。橋の鋼桁(こうげた)の下の部分をつかむアームで、橋にぶら下がるように固定されます。そして、油圧の力でレール梁(緑のアームで支える部分)と作業床(赤のアームで支える部分)の支持を交互に入れ替えながら、アームを少しずつ動かして移動します(尺取り方式)。

また、「ムーバルデッキ」単体でも、橋の点検や補修工事の作業足場として使うことができます。アームは開閉できるため、つなぎ板や補強材などの邪魔になるものがあっても、アームを開いて移動させることでそれらを避けて進むことができます。

移動機構と作業床のCAD図

作業床とレール梁の移動手順

アーム部分

高所で機械を操作する作業員

「ムーバルデッキ」の主な特徴

①開口部をなくす

「ムーバルデッキ」は、作業が進むにつれて常に吊り足場の下を覆い、隙間をなくします。これにより、高い場所での作業中に作業員が落ちる危険を大きく減らし、安全を確保します。不安定な姿勢での作業がなくなるため、工事のしやすさも同時に上がります。

開口部を解消する様子を示す図

②全面の吊り足場が不要

橋の点検や補修工事では、作業する場所が点々と分かれていることがよくあります。作業員や道具を移動させるために橋の下全体に吊り足場を組むと、足場の面積が増えてコストが高くなります。「ムーバルデッキ」は、点検や補修に必要な最小限の作業床を自分で動かして作業場所まで移動できるため、全面に吊り足場を組み立てたり解体したりする必要がなくなります。これにより、同じような工事で人手や手間を減らし、コストを抑えることができます。

橋梁下部構造と点検足場

③車線の規制が不要

これまでの橋の補修工事や点検では、橋の点検車などを使うため、交通渋滞の原因となる橋の上の車線規制が避けられませんでした。「ムーバルデッキ」は、すべての作業を橋の下で行うため、車線規制が不要となり、交通への影響を最小限に抑えられます。

橋梁下からの景観

④設置や撤去が簡単

「ムーバルデッキ」の部品はすべて、人力で運び込んだり、組み立てたり、解体したり、持ち出したりできる重さや大きさです。そのため、クレーンなどの重機は必要ありません。作業床にはパネル式の吊り足場(スパイダーパネル)が使われており、最初のパネルに下のフレームと移動する仕組みを取り付けることで、「ムーバルデッキ」が完成します。吊り足場の組み立てに使った後は、床材を吊り足場と同じ高さまで持ち上げ、組み立てた吊り足場とつなぐことで、吊り足場の一部として使うこともできます。設置や撤去が簡単なため、熟練した職人が不足しているという建設業界全体の課題解決にも役立ちます。

ムーバルデッキの組立から吊り足場への接続手順

製品の提供方針

「ムーバルデッキ」は、大林組と共同で開発された製品です。橋の大規模な改修工事で使う際の最終的な仕様など、一部の機能は現在も大林組と共同で開発が進められています。しかし、橋の点検や補修などの分野では、安全性の向上や作業効率アップに役立つ技術として、広くレンタル提供される方針です。

実績・適用例

  • 中央自動車道(特定更新等)松ケ平第1橋床版取替工事

  • 中央自動車道(特定更新等)茂都計川橋他3橋床版取替工事のうち、大沢川橋

  • 令和7年度 中国支社 橋梁保全工事 米子自動車道山田高架橋他1橋 (株)富士技建中国支店様 (施工中)

建設業界の安全性・生産性向上に向けた「タカミヤプラットフォーム」

タカミヤは、建設業が抱える深刻な人手不足やコスト高などの問題に対応するため、建設ソリューション群「タカミヤプラットフォーム」を提供しています。足場などの仮設機材の調達や運用を助けるマーケットプレイスの提供、デジタル設計支援などのデジタル化から、鳶職人に特化した無料の求人サイトまで、様々な解決策を一つにまとめています。

今回の共同開発である「ムーバルデッキ」もその一環として、建設業界の安全性や生産性向上などに貢献します。

タカミヤプラットフォームの概要図

主なサービス内容

  • OPERA:建設DXの入り口となるプラットフォームポータルです。仮設機材の24時間WEB注文など、業務をデジタル化し、効率性を大きく高めます。

  • OPE-MANE(オペマネ):建設現場の足場運用マネジメントサービスです。顧客が購入した足場機材の管理や整備を代行し、足場の運用状況も確認できます。全国の機材拠点から足場機材を引き出せる仕組みです。

  • Iq-Bid:次世代足場「Iqシステム」を対象とした足場のリアルタイムマーケットです。次世代足場の保有状況や市場価格を確認しながら、ユーザー同士で自由に足場の売買やレンタル(貸し借り)ができます。OPE-MANE内で提供される機能の一つです。

  • タカミヤのBIM/CIM:3Dレーザースキャナーを使って仮設工事の設計を効率化できます。また、3D図面を共有・更新活用することで、建物の情報を一元管理します。

  • Tobira:鳶職人に特化した求人サイトです。人手不足の解消を支援し、業界全体の採用効率向上を可能にします。

  • タカミヤの安全教育:墜落や落下時の衝撃数値を可視化するなど、バーチャルと実際の体験を組み合わせた最先端の足場教育プログラムを提供します。

これらの取り組みにより、タカミヤは建設業界のコスト削減、人手不足の解消、安全性の向上、業務効率化を進め、業界全体の生産性向上に貢献しています。

株式会社タカミヤについて

株式会社タカミヤは、建設現場で使われる仮設機材をはじめ、住宅用機材、構造機材、農業用ハウス、防災用ダムなど、様々な製品の開発・製造から、販売、レンタル、設計、施工まで、一貫したサービスを提供しています。

技術革新を通じて価値の高い製品やサービスを生み出し、地下工事から超高層建物、高速道路、橋、農業、自然災害対策分野など、様々な「現場」の安全性や施工性を向上させ、業界の発展に貢献しています。

  • 社名:株式会社タカミヤ

  • 代表:髙宮 一雅

  • 本社所在地:大阪市北区大深町 3-1 グランフロント大阪 タワーB 27階/東京都中央区日本橋3-10-5 オンワードパークビルディング12階

  • URL:https://corp.takamiya.co/

  • 設立:1969年6月21日

  • 資本金:10億5,214万円

  • 従業員数:775名(連結従業員数 1,356名)

  • 事業内容:仮設機材の開発、製造、販売及びレンタル、仮設工事の計画、設計、施工

×