「HAPSユースケース創出コンテスト」で最優秀賞が決定 – 一次産業の未来を拓くMizLinxの挑戦

「HAPSユースケース創出コンテスト」で最優秀賞が決定

NTTドコモビジネス株式会社と株式会社NTTドコモは、2025年11月26日に開催された「能登HAPSパートナープログラム第3回ミーティング」の中で行われた「HAPSユースケース創出コンテスト」において、株式会社MizLinxの提案『HAPSとカーボンクレジットで未来へつなぐ一次産業』を最優秀賞に選出しました。

HAPSユースケース創出コンテストとは

このコンテストは、地上約20km上空の成層圏を飛行する無人飛行体「HAPS(High-Altitude Platform Station)」の技術を活用し、地域の課題解決や産業の発展につながるアイデアを募るものです。HAPSは、スマートフォンやIoT機器との直接通信、高速大容量通信、低遅延といった特徴に加え、高精度なリモートセンシング(遠隔から情報を得る技術)の能力を持っています。

全国から20件の応募があり、一次選考を通過した5団体が2025年11月26日の「能登HAPSパートナープログラム第3回ミーティング」で最終プレゼンテーションを行いました。

HAPSユースケース創出コンテスト受賞者リスト

最優秀賞は一次産業の未来を拓く提案

最優秀賞に選ばれたのは、株式会社MizLinxの『HAPSとカーボンクレジットで未来へつなぐ一次産業』です。

この提案は、地球温暖化による生態系の変化が原因で不漁不作に悩む一次産業の課題に焦点を当てています。HAPSの通信機能や搭載カメラを使うことで、これまで通信やデータ収集が難しかった海上や山間部といった広い範囲をモニタリングすることを可能にします。これにより、温室効果ガスの削減・吸収量を数値化した「カーボンクレジット」の創出を支援し、地方を活性化させながら脱炭素社会の実現にも貢献し、一次産業が持続可能になることを目指します。

具体的には、海の藻場(海藻が生い茂り、魚介類の産卵や生育の場となる場所)が二酸化炭素を吸収するブルーカーボンや、森林・水田が二酸化炭素を吸収するグリーンカーボンを対象に、HAPSで詳しい映像や画像を取得します。これらのデータを使って、藻場の再生や森林・水田の管理を最適化し、生態系を守りつつ脱炭素を進め、生産者にも利益が還元される仕組みを検証していくとのことです。

今後の展開

NTTドコモビジネスとドコモは、2026年のHAPSサービス提供開始に向けて、引き続き取り組みを進めていきます。「能登HAPSパートナープログラム」に参加する団体と協力し、HAPSを使った様々なアイデアを形にすることで、能登地域の復興に貢献し、地域の社会課題の解決を目指していく計画です。

用語解説

  • HAPS(High-Altitude Platform Station):地上約20km上空の成層圏を数日から数ヶ月間にわたり無着陸で飛行できる無人飛行体のことです。機体に通信の中継器などを搭載し、直径100~200km程度の範囲で通信サービスを提供できます。これにより、これまで通信が難しかった空や海上、また採算が合わずにエリア化されていなかった過疎地域や山間部などでも通信環境を整えることが期待されています。

  • 能登HAPSパートナープログラム:ドコモとNTTドコモビジネスが石川県と結んだ連携協定の一環として、2024年11月26日に始まったプログラムです。石川県能登地域を舞台にHAPSを活用し、地域の活性化や新しい解決策を生み出すことを目指しており、全国から67団体が参加しています(2025年11月1日時点)。

  • カーボンクレジット:二酸化炭素などの温室効果ガスを削減したり吸収したりした成果を数値化し、その証書を売買できる仕組みです。

  • 藻場:海底や沿岸に海藻が豊かに生い茂り、多くの魚介類が卵を産み、育つ場所となる、とても大切な海洋生態系の一部です。

関連リンク

×