行田市とNTT東日本が下水道管路のDX推進で連携協定を締結 ドローン・AI活用で安全と効率化へ

NTT東日本と行田市は2026年2月5日、下水道管路のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する連携協定を結びました。この協定は、老朽化が進む下水道インフラの維持管理において、作業の安全性を高め、人手による作業を減らしたりなくしたりすることを目指しています。特に、2025年8月に発生した下水道点検中の事故を受け、安全性の向上と再発防止が重要な目的とされています。

ドローンによる点検、AIを使った画像解析、そして点検データを管理するサービスを組み合わせることで、一連の点検・診断・管理プロセスを効率化します。これにより、これまで人手に頼っていた点検方法から、デジタル技術を使った効率的で安全な維持管理へと変わることが期待されています。

背景と目的

日本には、高度経済成長期に集中的に整備された下水道インフラが多く、近年急速に老朽化が進んでいます。国土交通省の「下水道管路メンテナンス年報(令和5年度)」によると、令和4年度には下水道管路が原因となる道路陥没が約2,600件発生しました。維持管理に必要な作業量が増える一方で、専門の技術者を見つけるのが難しくなっています。

特に、下水道管の中の点検は、狭くて暗い場所での危険な作業が避けられず、作業員の安全確保や負担の軽減が大きな課題です。このような状況から、人が管路内に入らずに点検できるデジタル技術の活用が非常に重要になっています。

参照:国土交通省「下水道管路メンテナンス年報(令和5年度)」

今回の協定では、ドローンやAIといった先進技術を導入し、省力化と無人化を進めることで、人手不足の中でも作業安全性を確保し、点検業務の効率化と、事前に不具合を防ぐ予防保全型の維持管理が実現できるかを検証することを目的としています。

協定の概要と活用技術

本協定は「下水道管路のDXに関する連携協定」という名称で、2026年2月5日から2027年3月31日まで締結されます。行田市長の行田邦子氏と、NTT東日本株式会社 埼玉事業部長の小池哲哉氏が締結しました。

この協定では、ドローンで集めた点検データをAIで解析し、地理情報システム(GIS)と連携した管理台帳でデータをまとめて管理し、点検票を自動で作るなどの技術を組み合わせた、一連の点検・診断・管理に関する実証を行います。

従来の方法と比べて、実用性があるかを評価し、人手に頼る点検からデジタル技術を活用した効率的で安全な維持管理への転換を検討します。

一気通貫の点検・診断・管理イメージ

実証内容

実証① AIを活用したデータ解析手法の検討

行田市内の下水道管路で、産業用ドローン「ELIOS 3」を使って撮影・取得した管路内のデータを、株式会社NTT e-Drone Technologyが提供する「eドローンAI」で分析し、ひび割れや腐食を診断します。

行田市内でのドローンを活用した下水道管路内点検の様子

ドローンによる下水道管路内点検の様子

点検用ドローン:ELIOS 3
閉鎖された空間や暗い場所でも、安全かつ高精度な点検ができる専用ドローンです。人が入りにくい場所でも安定して飛行し、飛行しながら設備の3Dデータを作成できます。この技術は国土交通省の「上下水道DX技術カタログ」にも掲載されています。

参照:ELIOS 3
参照:上下水道DX技術カタログ – 国土交通省

球状の保護ケージに囲まれた黒いドローン

暗いトンネルで飛行する球体状ドローン

AIによる解析・診断:eドローンAI
インフラ点検のためのAI画像解析サービスです。ドローンなどで撮影した構造物の画像をAIが自動で解析し、ひび割れやサビなどの劣化部分を見つけます。これにより、点検業務の質を高め、効率を上げることができます。この技術は国土交通省の「点検支援技術性能カタログ」にも掲載されています。

参照:eドローンAI
参照:道路:点検支援技術性能カタログ – 国土交通省

AIがコンクリートのひび割れを検出・測定

実証② GIS等を活用した管理台帳の高度化

NTTインフラネット株式会社が提供する「下水道スマートメンテナンスツール」により、点検データの一元管理、可視化、点検票の自動作成を行います。

下水道スマートメンテナンスツール
下水道管路施設の点検を効率化するスマートツールと、設備データや点検データを地図上でデジタル管理するGIS(地理情報システム)で構成されるサービスです。この技術も国土交通省の「上下水道DX技術カタログ」に掲載されています。

参照:下水道スマートメンテナンスツール

点検作業プロセスの図解

各社の役割

  • 行田市: ドローンによる点検データの提供、実証実験に対する効果検証のフィードバック

  • NTT東日本: プロジェクト全体の統括

  • NTT e-Drone Technology: ドローンによる現地での点検、AI解析技術の提供と分析結果の提供、比較検証、実用性の評価

  • NTTインフラネット: 下水道スマートメンテナンスツールの提供、検証、運用支援

今後の展開

この連携協定により、NTT東日本グループの技術とDXを活用し、危険な下水道管路の作業を減らし、AI画像解析によって調査の品質を保ちながら現場作業を変革する運用が試されます。この実証で得られた結果をもとに、2026年度以降の本格的な導入に向けて、技術の検証と改善が進められる予定です。また、全国の自治体やインフラ設備に関わる事業者との連携をさらに強化し、下水道点検をはじめとするインフラ設備の維持管理において、安全で新しい基準を作り、さまざまな地域の課題解決を目指していくとのことです。

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