NECが鹿児島高専で「セキュリティリスクアセスメント」実践講義を実施、未来の技術者を育成
NECは、鹿児島工業高等専門学校(以下、鹿児島高専)のWell-being志向教育の一環として、セキュリティリスクアセスメント手法の実践的講義を行いました。2024年度に続き今年度で2年目となるこの講義は、全学科の3年生200名以上を対象に実施されました。

実践的な学びでスキルアップ
この講義では、デジタル社会に欠かせないサイバーセキュリティの重要性に焦点を当て、セキュリティ対策を考える上で必要となるリスクアセスメントの手法を学びました。基本用語の学習から始まり、事例を用いたグループワークによる実践演習までを実施しています。
今年度は昨年度の経験を踏まえ、教材や演習方法がさらに改善されました。グループワークでの役割分担や発表形式を強化することで、学生が主体的に学べる環境が整えられました。これにより、リスクアセスメントの知識習得だけでなく、社会人として必要とされるコミュニケーション能力や課題解決能力の向上も図られています。
学生からは、「インタビューなどの演習を通して企業がどのようにリスクを発見し、対策しているのかを理解できた」「他の人の意見を聞くことで、新たな視点や考え方に気づいた」といった声が寄せられています。また、昨年度受講した学生からは「夏季インターンでこの内容がそのまま役立った」という、実社会での役立ちを実感する声も聞かれました。
講義の概要
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期間: 2025年10月1日~2026年1月28日
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対象: 鹿児島工業高等専門学校 3年生(機械工学科、電気電子工学科、電子制御工学科、情報工学科、都市環境デザイン工学科)
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対象講義: 全学科必修科目「リベラルアーツⅡ」
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到達目標: デジタル社会に不可欠なサイバーセキュリティについて、リスクアセスメントの手法を学習することで、安全安心かつWell-beingな社会作りに貢献できる人材を育成する。
講義内容は、5学科の学生を3クラスに分け、1クラスにつき毎週90分の講義を4週にわたって実施されました。毎回の講義後には小テストが行われ、学習内容の理解度確認が支援されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リスクアセスメントとは何か | 情報セキュリティの概要や、情報セキュリティにおけるCIA(機密性、完全性、可用性)などの基礎知識をもとに、リスクアセスメントの目的や流れについて学ぶ。 |
| リスクアセスメントに必要な情報収集の方法 | 事前調査でアセスメント対象となる顧客に関する情報収集の方法を学ぶ。 |
| 現状をより正確に把握するための顧客へのインタビュー方法 | 効果的なリスク洗い出しに必要なインタビューの観点、心構えを学ぶ。 |
| リスクの洗い出し方法 | インタビュー結果やネットワーク構成図などの情報をもとに想定脅威をマッピングし、リスクを整理する方法を学ぶ。 |
| リスク対策の検討 | 洗い出したリスクに対して、技術的、物理的、人的な対策を整理する方法を学ぶ。 |
| 費用対効果を意識した改善提案 | リスクの大きさと被害想定額の算出から、対策の優先順位付けを行う方法を学ぶ。 |
| 演習 | 学んだことを活かし、実際にリスクアセスメントを体験する。 |
担当講師からのコメント
NECの担当講師からは、以下のようなコメントが寄せられています。
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長谷川 奨 氏(NEC サイバーセキュリティ技術統括部 リスクハンティング・システムグループ)
リスクアセスメントが単なる作業ではなく、重要なプロセスであることを学生に学んでもらいました。日常生活に潜むリスクを知ることで、サイバーセキュリティをより身近に感じてもらえるよう意識しました。
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宇井 哲也 氏(NEC サイバーセキュリティ技術統括部 脆弱性管理グループ)
リスクアセスメントは学生にとって馴染みのない分野かもしれませんが、物事を多角的に評価し優先順位をつけるスキルはどんな場面でも活用できます。その価値をしっかりと伝えることを意識しました。
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廣瀬 昂大 氏(NEC サイバーセキュリティ技術統括部 セキュア技術開発グループ)
サイバーセキュリティを自分ごととして捉えていただけるよう、身近な事例を交えながら授業を行いました。日々の生活に関わるテーマとして、サイバーセキュリティとリスクアセスメントの重要性を実感していただければ幸いです。
当日の様子と学生の声
講義当日は、学生たちが熱心にグループワークや発表に取り組む姿が見られました。




参加した学生からは、以下のような感想が寄せられています。
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演習で行ったリスクアセスメントに関するインタビューで、企業がどのようにリスクを発見し対策しているのかを理解できた。
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お客様に改善提案をするためにも、リスクを回避するために多くの段階を踏んでいることを学んだ。
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他者の意見に触れることで、新たな視点や考え方に気づくことができた。
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脅威マッピングをしたことで、思いもよらないところに脅威があると気づくことができた。
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最初はリスクアセスメントが何かわからなかったが、回を重ねるにつれて理解できて面白かった。
教員からのメッセージ
鹿児島工業高等専門学校 情報工学科 准教授の原 崇氏は、この講義について以下のように述べています。

「リベラルアーツⅡは昨年度に開講し、今年度で二年目を迎えました。講師の皆さまには、各回約70名の学生に対し、リスクアセスメントに関する講義を行っていただいており、日頃のご尽力に心より感謝申し上げます。
私自身は、『ここで学んだことの重要性を実感するのは、社会人になり実際にリスクに直面したときでは』と考えていました。しかし、昨年度受講した現4年生から、『夏季インターンでこの内容がそのまま役立った』『部活動でのまとめ役や怪我予防に考え方を応用できた』といった声を聞きました。想像以上に学生の実生活に直結していることが分かり、この講義を高専の3年生という時期に行って頂いていることに、改めて感謝の気持ちを抱きました。
こうした先輩の声が後輩にも伝わっているのか、本年度は、より主体的に受講する学生が増えているように感じています。グループワークでは役割分担を意識し、発表時にはグループ全ての学生が発言する姿も見られました。学生の学びや行動に良い変化が見られて、大変嬉しく感じています。
今後も本校のWell-being教育の柱として、引き続きご支援を宜しくお願い致します。」
今後の展望
NECと独立行政法人国立高等専門学校機構は、2022年7月に包括連携協定を締結し、産学共同で教育支援を行ってきました。本取り組みもその活動の一つであり、社会で活躍できる人材の育成・輩出を目的としています。
NECは今後も、産学連携によるセキュリティ教育に取り組み、デジタル社会に求められる安全安心かつWell-beingな社会の実現に貢献できる人材の育成を推進していく考えです。


