Metaverse Japan LABが『Metaverse Whitepaper 2.0(2025年版)』を発行 – AIとXRで実空間とデジタル空間が双方向につながる未来を解説
一般社団法人Metaverse Japanは、シンクタンク機能であるMetaverse Japan LABから、AIとXR技術がもたらす「実空間とデジタル空間の双方向同期」の未来を示す『Metaverse Whitepaper 2.0(2025年版)』を正式に発行しました。
このレポートは、2023年版『Whitepaper 1.0』を全面的に改訂したもので、2024年から2025年にかけて急速に進展した生成AI、空間AI、フィジカルAI、ロボティクス、デジタルツイン、XRといった技術の統合に焦点を当てています。技術的な側面から産業への応用、政策、社会実装、さらには倫理やガバナンスに至るまで、幅広い分野を網羅した国内最大級の最新総括となっています。
『Metaverse Whitepaper 2.0(2025年版)』の主なポイント

1. AI × XRがもたらす「実空間インターネット」への進化
従来のバーチャル空間が中心だったメタバースのイメージから一歩進み、AIが現実世界をスキャンして理解し、XR技術でそれを編集・拡張する、双方向型の社会基盤への変化が示されています。
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Gaussian Splattingによる高精度スキャン
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Large Spatial Model / Large Behavior Model
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物理エンジン「Genesis」
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実空間データとAI推論がスムーズに連携
これらの技術が、現実世界とデジタル世界の境界線を再定義する重要な要素として整理されています。
2. インダストリアルメタバースの急速な実装
特に注目されるのは、製造、建設、物流、医療、防災といった産業分野での実装が加速している点です。
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工場や建設現場のフルスケールデジタルツイン
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遠隔での現場確認や施工管理
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機器の保守や故障の事前予測
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都市デジタルツイン(PLATEAU)
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ハプティクス(触覚技術)とAIによる技能伝承
これらの分野は、日本の製造業や建設業が持つ強みと相性が良いとされています。
3. 世界の政策・標準化動向
国際機関や主要国が、メタバース、XR、データ空間を国家戦略として推進している状況が報告されています。
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OECD:人間中心の原則と国際協力
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EU:Web4.0戦略と相互運用性
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中国:大規模な産業育成計画
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韓国:メタバース基本法と公共利用の拡大
これにより、規制、倫理、標準化が国際競争の主要な舞台へと移行していることが分かります。
4. 2035年に向けた「3つの変化フェーズ」
今後10年間の構造変化が3つの段階で示されています。
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Phase1(〜2025年):個別のメタバースが存在し、データ連携は限定的。
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Phase2(2026年〜2030年):AIやロボットと空間データが融合し、自律的な最適化が進む。
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Phase3(2031年〜2035年):都市、産業、社会全体が双方向に変化する、常に同期した社会へと移行する。
AI、ロボティクス、空間技術が一体となり、社会構造そのものに変革が及ぶ未来像が描かれています。
5. 日本の強み・弱み・戦略領域
日本は、コンテンツIP、ロボティクス・光学・センサー技術、防災・都市デジタル化の基盤といった強みを持つ一方で、デジタル人材の不足、投資規模の小ささ、国際標準化への関与不足が課題として挙げられています。これらを踏まえ、教育改革、標準化戦略、産官学連携、国際協調、データ基盤整備といった、実現可能性の高い提言が示されています。
Metaverse Whitepaper 2.0(2025年版)ダウンロード
本レポートは以下のリンクからダウンロード可能です。
Metaverse Japan LABについて
Metaverse Japan LABは、メタバースやAIの分野での社会実装を進めるために設立されたシンクタンクです。学術界、産業界、法律、政策、クリエイティブ分野の専門家がメンバーとして参加しています。
Metaverse Japanについて
Metaverse Japanは、メタバース、XR、AIなどの先端技術分野において、企業、政府、学術機関の連携を促進し、社会実装を支援する組織です。国内外の標準化団体や業界団体と協力し、持続可能なデジタル社会の実現を目指しています。
https://metaverse-japan.org


