BIM/CIM wpmaster 2025年12月18日 0 コメント

東急建設がBIM/CIMクラウド「KOLC＋」を土木工事20現場以上で活用開始

東急建設、BIM/CIMクラウド「KOLC＋」を20現場以上に展開

東急建設株式会社は、建設現場のデジタル化を推進するため、株式会社コルクが提供するBIM/CIMクラウドサービス「KOLC＋（コルクプラス）」を土木部門の20以上の現場で大規模に導入しました。これにより、3D/4Dモデルとドローン測量で得られた点群データを統合し、業務効率の向上を目指します。

導入の背景と目的

東急建設の土木部門では、以前から「KOLC＋」の前身サービスを含め、約10年にわたりBIM/CIMのクラウド共有に取り組んできました。これまでに「東京メトロ銀座線渋谷駅工事」や「東武鉄道とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事」など、多くの現場で「KOLC＋」が活用されてきました。

現場の職員からは、発注者との打ち合わせで効果的だったという声が多く、また、一つのプロジェクトで30名以上のユーザー登録を求める要望が多数あったことから、今回の「KOLC＋」の大規模な導入が決定しました。今後は、「統合アプリ」を積極的に活用し、点群データと3D/4Dモデルの組み合わせによる運用を進めていく計画です。

現場担当者の声

東急建設の土木事業本部技術統括部土木設計部 ICT推進グループの糸田川由美氏によると、当初は現場職員が3Dモデルや点群データを手軽に確認することが主な活用方法でした。しかし、最近では「統合アプリ」の登場により、現場職員だけでなく、発注者も4Dや点群といった大容量データを簡単に閲覧・活用できるようになり、今後のさらなる活用が期待されています。

また、広範囲にわたる現場では、地上型レーザースキャナーではなくドローンによる計測が主流になりますが、点群データの生成に時間がかかることが課題として挙げられています。今後は、「KOLC＋」を活用してドローンによる点群データを効率よく運用する方法を模索していくとのことです。

東急建設（土木部門）での活用事例

東京メトロ銀座線渋谷駅移設プロジェクト

このプロジェクトは、開業から85年以上の歴史を持つ東京メトロ銀座線渋谷駅の老朽化や混雑、バリアフリー設備の不足といった課題を解決するため、大規模な駅改良工事が行われ、2020年1月に新駅舎へ移設されました。現在も、旧駅舎があった場所の百貨店ビルなどを撤去し、新たに約50mの橋梁を2基架設する工事が進められています。

ここでは、座標情報を持つ計画3次元モデルと、現在の状況を示す点群データを統合することで、設計と計画の整合性を確認するために「KOLC＋」が活用されました。

東武鉄道とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事

この工事では、東武鉄道伊勢崎線（東武スカイツリーライン）のとうきょうスカイツリー駅付近約0.9kmの区間を鉄道高架化するものです。これにより、踏切が解消され、道路と鉄道双方の安全性が向上し、交通渋滞の緩和が図られます。また、鉄道によって分断されていた市街地の南北間の行き来がしやすくなるなど、まちの一体化が進み、安全性と快適性が向上します。

工事箇所は非常に狭い環境で、上空には電車線や東電配電線が多数存在します。このような場所で最大120トンのクレーンを設置し、工事桁の架設などが行われました。そこで、3Dレーザースキャナーを使って周辺の建物や上空の施設を点群データ化し、工事桁を含む構造物をSketchUpで作成した3DCADモデルと統合しました。これにより、実際の現場環境を3Dモデルで再現し、そのモデル内で工事の計画やシミュレーションを行うことで、施設との距離を正確に検証し、安全で確実な施工方法を立てることができました。さらに、「KOLC＋」を施主とも共有することで、現場での立ち会い確認や協議をオンラインで行うことができ、作業の省力化にもつながりました。

「KOLC＋（コルクプラス）」とは

「KOLC＋」は、BIM/CIMモデルや点群データをクラウド上で統合・共有・活用できる「BIM/CIMクラウド」です。国土交通省などの情報共有システム（ASP）としても利用されており、500社以上の企業で導入されています。また、国土交通省の「建築GX・DX推進事業」における補助対象ソフトウェアにも認定されています。