FIXERとLenovoが協力！AIを安全に使える新しいパソコンとサービスの組み合わせを発表
株式会社FIXERは、レノボ・ジャパン合同会社が提供する最新のAIワークステーション「ThinkStation PGX」と、FIXERが開発した生成AIサービス「GaiXer（ガイザー）」を組み合わせた「エンタープライズ向けAIエッジワークステーション」を、2026年1月（予定）から提供すると発表しました。
AIエッジワークステーションとは
このAIエッジワークステーションは、特別なコンピューター（ハードウェア）と、AIを使うためのプログラム（ソフトウェア）、そして困ったときのサポートが一つになったサービスです。インターネット上のクラウドサービスを使うのが難しい自治体や病院、企業のIT部門などのお客様に向けて作られました。このサービスを使うことで、クラウドを使わずに社内のネットワーク環境で生成AIを導入・運用できるようになり、情報が外に漏れる心配が少なく、効率的にAIを活用できます。
ソリューションの主な特徴
AIエッジワークステーションは、生成AIを使うために必要なものがすべて含まれています。
高性能な機械（ハードウェア）
レノボ・ジャパン社製の「ThinkStation PGX」というワークステーションを使っています。これは、手のひらに乗るくらいのコンパクトなサイズなのに、最新のNVIDIA Grace Blackwellスーパーチップを搭載しており、1秒間に1000兆回もの計算ができる、とても速い処理能力を持っています。この性能のおかげで、重たいAIの計算（生成AIが答えを作るなど）や、少しAIに新しいことを教える作業（ファインチューニングなど）もスムーズに行えます。また、たくさんの情報（128GB）を一度に記憶できるメモリも付いているため、AIモデルの知識の規模が2000億という大きなものでも、問題なく扱えます。
賢いAIサービス（GaiXer）
FIXERが提供する企業向けの生成AIサービス「GaiXer」があらかじめインストールされています。GaiXerは、ChatGPTのような高度なAI技術を、企業や行政で安全に使うための土台となるソフトウェアです。利用者はGaiXer上で、目的に合わせて複数のAIモデルを選び、切り替えることができます。これにより、質問に対する回答の正確さや文章のスタイルを比べながら、一番良いAIモデルを使うことが可能です。さらに、仕事の種類に合わせた質問の例文（プロンプト）を作る手助け機能や、社内文書やウェブサイト、PDFなどをAIに学習させて、それらの情報に基づいて回答を作るRAG機能にも対応しています。これにより、社内のマニュアルや条例、論文などに基づいた、信頼性の高い回答をAIに作らせることができます。また、誰がAIを使ったかを確認したり、操作の記録を管理したりするなど、企業で使うために必要なセキュリティ機能も備わっているため、安心して社内で利用できます。
すぐに使える環境
このワークステーションには、NVIDIA DGX OSや最新のNVIDIA AI開発に必要なツール、そしてGaiXerのサービス環境が、あらかじめ設定された状態で提供されます。専門の技術者が動作をしっかり確認したおすすめの構成になっているため、利用者は機械を受け取って電源を入れ、社内ネットワークにつなぐだけで、すぐに社内からGaiXerの画面にアクセスして生成AIを使い始めることができます。
安心のサポート
導入後の運用も安心して行えるよう、FIXERによる基本的なサポートが提供されます。GaiXerの操作方法や困ったときの問い合わせに対応する技術サポート（平日のメール対応、電話サポートはオプション）や、ソフトウェアの更新情報のお知らせが含まれます。また、もし機械が故障した場合には、無料で交換してくれる保証があり、すぐに別の機械を提供してもらえるため、使えない時間を最小限に抑えられます。これらの基本的なサポートは契約期間中ずっと付いており、追加の費用なしで利用できます。
活用例
このソリューションは、自治体や医療機関、一般企業など、さまざまな場所での活用が考えられています。それぞれの現場でどのように役立つのか、具体的な例をいくつか紹介します。
医療機関での活用例：書類作成や情報共有を効率化
病院では、患者さんの診療記録をまとめたり、報告書を作ったりするのに多くの時間がかかります。このソリューションを導入すると、例えば電子カルテから患者さんの退院時のまとめ（サマリー）を、わずか数秒で自動的に作ることができます。実際に、藤田医科大学病院ではGaiXer Medical Agentを使った退院時サマリー作成支援システムを運用し、3か月で約1000時間もの業務時間を減らすことができました。この減らした時間を患者さんのケアに使うことで、お医者さんの仕事が楽になり、医療サービスの質も向上につながっています。このように、医療の書類作成や、ガイドライン・論文の重要な部分を抜き出す作業、病院内のよくある質問への自動回答など、医療に携わる人の負担を減らし、知識を共有するのに生成AIが役立ちます。
自治体での活用例：職員の仕事を手助けし、住民サービスを向上
自治体の仕事では、たくさんの条例や行政文書を見ながら、住民からの問い合わせに対応したり、書類を作ったりすることが日常的に発生します。このソリューションでは、自治体が持っている規則集や業務マニュアル、よくある質問集などをGaiXerに学習させることができます。職員が専門的な知識が必要な質問をAIに投げかけると、すぐにそれらの文書に基づいた正確な回答案を得ることが可能です。例えば、膨大な市の条例やルールをAIが参照できる形に変換して学習させることで、職員からの問い合わせに対して、とても正確な回答を作れるようになります。また、RAG機能を使うことで、「この質問にはこの条文の内容が関係しています」という根拠を示した回答案が得られるため、回答の信頼性も保たれます。このような使い方によって、職員が調べる負担が減り、住民への回答が速くなったり、行政文書を作る効率が上がったりすることが期待されています。さらに、一部の自治体では、住民向けのチャットボットにこのソリューションを応用し、手続きの案内やよくある質問への自動応答など、住民サービスの向上にも取り組んでいます（自治体の公式LINEでのAI相談サービスの実験など）。
企業での活用例：仕事の効率を上げ、社内の知識を活用
企業でも、一般的な生成AIを自社の仕事に活用する例が増えています。このソリューションは、社内のサーバーで自社の情報とAIを連携できるため、秘密の情報を含む社内の知識を有効に活用できます。例えば、社内文書や製品マニュアルをGaiXerに学習させておけば、新入社員からの問い合わせや専門部署への質問にAIが24時間対応し、必要な情報をすぐに提供できます。さらに、会議の議事録や報告書の最初の案を自動で作ったり、プログラムのコードをチェックするのを手伝ったりするなど、さまざまな仕事のプロセスを効率化するのに貢献します。実際の導入例として、金融機関では、営業店でお客様との面談記録の下書きをGaiXerで作成する業務を行っています。その結果、1件あたり約20分かかっていた記録作成が約5分程度で終わる見込みとなり、社員の負担が減り、お客様への対応の質も上がることが期待されています。このように、企業内でも、時間のかかる決まった仕事をAIが手伝うことで、生産性が大きく向上し、社員がもっと新しいことを考えるような創造的な仕事に時間を使えるようになります。
他のAIサービスとの違い
最近は多くの生成AIサービスがありますが、このソリューションは「社内にすべてを置く一体型」であることが一番の特徴で、クラウドサービスや一般的なAI搭載パソコンとは違う価値を提供します。
情報の安全
クラウド型の生成AIサービスでは、入力した情報がインターネットを通じて外部のサーバーに送られるため、秘密の情報を扱うことに慎重な企業や団体では使いにくいことがありました。このソリューションは、AIの処理をすべて社内のサーバーの中で完結させるため、秘密のデータや個人の情報が外に漏れる危険性を大きく減らすことができます。例えば、医療記録や自治体の住民情報なども、安全な社内環境でAIが分析・生成を行えます。クラウドに比べて、会社のセキュリティルールを守り、個人のプライバシーを守る点で、大きな安心感を提供します。
自社の情報活用
大きなAIモデルのAPI（外部からAIを使うための仕組み）を使うだけでは、自社の内部資料を反映した回答を得ることは難しいでしょう。このソリューションはRAG機能を標準でサポートしており、社内のファイルサーバーやデータベースから必要な情報を探し出して参照した上で、回答を作ることができます。これにより、社内限定のQ&Aや文書の要約といった、それぞれの組織に固有の知識に基づいたAIの活用が簡単になります。他の一般的なクラウドAIサービスでは実現しにくい、組織内の知識を最大限に引き出すAIとして、このソリューションは特別な価値を持っています。
すぐに始められる環境
通常、AI搭載のパソコンやサーバーを買って生成AIを使う環境を整えるには、適切なドライバーやAIのプログラム、モデルのインストールや調整など、高度な作業が必要です。このソリューションでは、専門の技術者によって初期の準備が済んだ状態で提供されるため、利用者は届いたその日から本格的にAIを試すことができます。環境を整えるのにかかる時間や手間を減らし、「使いたいときにすぐAIを活用できる」というスピード感は、他にない大きなメリットです。
しっかりしたサポートと保証
クラウドサービスの場合、サービス提供元のサポートはありますが、それは一般的なものであり、自社のシステムとの連携部分は自分で対応しなければならないこともあります。また、市販のパソコンでは故障したときのメーカー保証はあっても、すぐに代わりの機械を用意してくれたり、AIのソフトウェアに関する問い合わせに対応してくれたりすることは期待できません。それに対して、このソリューションでは、FIXERが機械とソフトウェアの両方を一体でサポートすることで、システム全体が安定して動くのを助けます。機械が故障したときの素早い交換対応や、生成AIの動きに関する問い合わせ対応など、きめ細かなサポート体制で運用を支える点が強みです。
費用が分かりやすい
クラウドの生成AIサービスは、使った量に応じて料金が変わるものがほとんどで、たくさん使うと予想以上に費用がかかる可能性があります。一方、このソリューションは月額固定料金（リース料にサポート込み）で提供されるため、費用が明確で、予算計画を立てやすいという利点があります。自社のサーバーを運用することで、長い目で見ると費用を抑えられるケースも多く、費用の面でも魅力的です。
今後の展開
FIXERは、このソリューションを通じて、さまざまな業界のDX（デジタル変革）を力強く支援していく予定です。AIモデルのさらなる進化や新しい機能の追加も、随時提供し、利用者の意見を取り入れながらサービスを広げていく計画です。
株式会社FIXERについて
FIXERは、クラウドサービスが始まったばかりの頃に創業した、クラウド技術に特化した会社です。同社は、マイクロソフト社のクラウド基盤「Microsoft Azure」が本格的にサービスを始める前の2009年に創業しました。2010年の正式サービス開始と同時に、企業システムのクラウド化を主要な事業として行い、日本におけるクラウドの広がりを初期から支えてきました。政府がクラウドを行政システムの第一の選択肢とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を示した2018年以降、企業システムのクラウド環境への移行や進化のニーズは、ますます高まっています。このような状況の中で、FIXERがこれまで培ってきたクラウド技術で日本のDXを加速させることが、彼らの使命であると考えています。
株式会社FIXERのWebサイトはこちらです。
※この内容は発表時点の情報です。その後、予告なく変更される場合があります。
※記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標、または登録商標です。
※ChatGPTは、OpenAI社の登録商標です。
