Salesforceが日本で「Agentforce 360」を提供開始、人とAIエージェントが協力する新しい働き方を支援
Salesforceは2025年11月20日、人とAIエージェントが信頼性の高い単一のシステムで連携するための基盤「Agentforce 360」の日本市場での提供開始を発表しました。このサービスは、日本の企業がAI時代に人の可能性を広げる「エージェンティック エンタープライズ」へと変わることをサポートします。
「エージェンティック エンタープライズ」とは、人とAIエージェントが協力し合い、信頼できるデータに基づいて物事を決めたり、会話のようなスムーズな顧客体験を提供したりする新しい働き方です。Salesforceは、過去1年間にAgentforceのメジャーリリースを4回行い、数千の顧客に導入を進めてきました。また、Salesforce自身も企業レベルでのAIエージェント活用を実証しています。
AI時代に向けて、Salesforceは製品プラットフォームを再構築し、「Agentforce 360」という一つのプラットフォームにアプリケーション、データ、メタデータ、AIエージェントを統合しました。これにより、一貫したシステム運用が可能となり、Salesforce独自の強みとなっています。

「Agentforce 360」の主な機能
Dreamforce 2025でグローバルに発表されたAgentforce 360のうち、日本で提供が開始される主な機能は以下の4つの要素から構成されます。
1. Agentforce 360 Platform
企業向けのAIエージェント基盤です。会話型ビルダー、より高い制御性と精度を実現するハイブリッド推論、音声機能が新たに備わっています。
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オブザーバビリティ(Observability OptimizationとObservability Analytics): 新しいダッシュボードにより、AIの推論プロセスや精度、コンプライアンスを監視し、信頼性を高めることができます。2026年11月に提供が始まる予定です。
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Agentforce Voice: 電話応答システム(IVR)を自然なリアルタイム会話に変える音声レイヤーです。主要なコンタクトセンター向けサービス(CCaaS)パートナーと互換性があります。2026年2月に提供が始まる予定です。
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Agentforce Builder: チームが自然な言葉を使ってAIエージェントの設計、テスト、デプロイを行える会話型開発スタジオです。2025年12月にベータ版が開始される予定です。
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Agent Script: 決まった手順のワークフローと、柔軟なAI推論を組み合わせて精度と適応性を高めます。2025年12月にベータ版が開始される予定です。
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Agentforce Vibes: ローコード開発をAI領域に広げ、企業データとルールに基づいたアプリケーションをバイブコーディングで構築できます。こちらは現在提供中です。
2. Data 360(旧Data Cloud)
信頼性の高い統合データレイヤーで、あらゆるAIエージェントに適切な情報を提供します。文書や図表などの非構造化データもAIが活用できる情報に変換できます。
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Intelligent Context: PDFや図表のような非構造化コンテンツにAIエージェントがアクセスできるようになり、トラブル解決や分析などの業務を支援します。こちらは現在提供中です。
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Unstructured Data Governance: 構造化データと非構造化データを含むすべてのデータに、プライバシーやコンプライアンスのルールを自動的に適用します。米国では2025年11月に、日本では2026年4月にベータ版が開始される予定です。
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Clean Rooms: 未加工データや機密情報を公開せずに、利用者データについて他の関係者と安全に協力できます。2025年12月に提供が始まる予定です。
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Agentic Setup & Data Management: AIエージェントとデータ、意味をシステム全体で連携させ、一貫性を保ちます。米国では2026年3月に、日本では2026年3月より段階的に提供が始まる予定です。
3. Customer 360アプリ
営業、サービス、マーケティングなど、企業のビジネスロジックやノウハウをAIエージェントで具体的に活用できます。AIエージェントは、顧客一人ひとりの状況や業務プロセスを深く理解することができます。
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Agentforce Sales(旧Sales Cloud): 見込み客の発見、資格判断、見積書作成を自動化し、最適な次の行動を提案します。Sales WorkspaceとAccount Planningはパイロット提供中、Prospectingは2026年2月に提供が始まる予定です。
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Agentforce Service(旧Service Cloud): サービス向けCommand Centerを強化し、積極的で常に稼働するサポートを実現します。Service Portals、Service Console、Command Center for Serviceは提供中、Adaptive Service Rep Assistantは2026年3月にベータ版が開始される予定です。
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Agentforce Field Service(旧Field Service): スケジュールを自動化し、ライブマップと連携。音声入力でデータ収集ができ、現場での作業を支援します。Autonomous SchedulingとSalesforce Goは提供中、Dynamic Scalingは2026年2月に提供が始まる予定です。
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Agentforce Marketing(旧Marketing Cloud): AIエージェントとの双方向の会話を通じて、顧客一人ひとりに合わせた体験を提供し、顧客との関係を深めます。2-way Email ConversationとAdaptive Websitesは2025年12月に、Multi-touch Attributionは2026年2月に提供が始まる予定です。Journey DecisioningとUnified Analyticsは提供開始済みです。
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Agentforce Revenue Management(旧Revenue Cloud): AIエージェントが見積作成、請求処理、利用量管理を支援し、企業の成長をサポートします。Salesforce Goは提供中、Consumption AgentとBilling Agentは2025年11月にベータ版が開始される予定です。
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Agentforce Commerce(旧Commerce Cloud): 会話型のショッピング体験を提供し、購入者の購入率向上と購買力の拡大を支援します。Guided ShoppingとB2B Configuratorは提供中、Order Routingは2026年7月に提供が始まる予定です。
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Agentforce IT Service: チケット発行という従来のITサポートに代わり、専門的なAIエージェントを導入することで、ITコストを削減し、従業員の生産性を向上させます。SlackやMicrosoft Teamsを含む様々な場所で、24時間365日の会話型サポートを提供します。Box、CrowdStrike、Google、IBM、Okta、Oracle Netsuite、Workday、Zoomなど、100以上のパートナー企業からの事前構築済みコネクタや統合機能を利用可能です。Agents for EmployeesとCMDB & Service Graphは2026年3月に提供が始まる予定です。IT Service Deskは提供中です。
4. Slack
人とAIエージェントが協力するための会話型インターフェースとして、情報、行動、データをリアルタイムで結びつけます。
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Slackbot: 文書の作成支援、メッセージの要約、Slackハドルミーティングのメモ作成など、文脈を理解するアシスタント機能を提供します。2026年前半に提供が始まる予定です。
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サードパーティAIとの連携: OpenAI、Anthropic、Google、PerplexityなどのAIを新しいAPIで統合し、リアルタイムの情報提供と自動化を実現します。
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Slackファーストアプリ: Slackは、営業、ITサービス、人事サービス、そしてTableau Nextをはじめとするすべてのアプリに会話型のインターフェースを提供します。こちらは現在提供中です。
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Channel Expert Agent: Slackの各チャンネルに常駐するデジタルメンバーとして、よくある質問への回答や情報の検索、必要に応じて人への引き継ぎまでを担います。こちらは現在提供中です。
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エンタープライズ検索: AIを活用した検索機能により、アプリやファイルの検索範囲を組織全体に広げ、必要な情報を高い精度で見つけるのに役立ちます。こちらは現在提供中です。
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モデルコンテキストプロトコル(MCP): これまで別々に存在していたAIツールがSlack上に統合され、企業全体のAIエコシステムを一つの環境でシームレスにつなぐ基盤を実現します。2026年2月に提供が始まる予定です。
その他の日本で利用可能になる製品と機能
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Tableau: 業務の流れの中で文脈に沿ったデータを可視化し、データに基づいた意思決定を支援します。C360セマンティックデータモデルは2026年12月に、Tableau NextとSlack連携、Agentforce Tableau – コンシェルジュ、Agentforce Tableau – インスペクターは2026年上半期中に、Agentforce Tableau – データプロは2026年中に提供が始まる予定です。
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MuleSoft: あらゆるアプリケーションとAIエージェントを接続し、管理します。事前構築されたコネクタとローコードツールを活用することで、様々なシステムとの連携が可能です。MuleSoft Agent FabricのAgent Registry、Agent Governance、Agent Broker、Agent Visualizaer、MuleSoft Vibes、MuleSoft Diagnostics Agent、MuleSoft AI Connectors for NVIDIAは提供中です。Integration Intelligenceは2025年12月に提供が始まる予定です。MuleSoft Vibes: Connector Builderは提供中(2026年前半に日本語正式サポート提供予定)です。
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Platform & Security: Agentforceの活用により、ユーザーの活動を監視し、異常を検知、調査を迅速化し、修正をサポートします。また、規制を理解しながら、データの露出リスクを自律的に特定、分類、優先順位付けして対応します。セキュリティセンターとプライバシーセンターにおけるAgentforce活用による強化は提供中です。Security Meshは2026年前半に提供が始まる予定です。
日本でも広がるAIエージェントとデータ活用
日本でも業界や規模を問わず、AIエージェントやデータを活用する企業が増えています。例えば、LINEヤフーはカスタマーサポート業務にAgentforceを採用しました。三菱UFJ銀行は金融業界向けのAgentforce 360 for Financial Servicesを選定しています。東京海上ホールディングスおよび東京海上日動はAgentforceを活用するためにSalesforceと戦略的な提携を結んでいます。さらに、清水勧業(北海道札幌市)、ジェーイーエル(広島県福山市)、リージョンデザイン・ホールディングス(鳥取県米子市)など、日本全国の地域の中堅中小企業がAIエージェントとデータ活用により経営課題の解決に取り組んでいることが報告されています。
日本市場での製品提供を加速
Salesforceは、2024年2月に製品統括本部を立ち上げ、AI時代における製品や機能のイノベーションを迅速に日本市場の顧客やパートナーに提供してきました。2024年9月に米国で発表されたAgentforceは、同年10月に日本市場での提供開始が発表されています。その後もAgentforceはメジャーリリースを継続し、日本ではAgentforce 2の機能が2025年1月、Agentforce 2dxが2025年4月、Agentforce 3が2025年7月に提供を開始しています。Salesforceは今後も、企業がエージェンティック エンタープライズへ移行するための製品や機能を迅速に国内提供することで、その支援に注力していく方針です。
詳細情報
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Agentforce 360についての詳細は、こちら(英語)をご覧ください。
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Salesforceの詳細は、salesforce.com/jpをご覧ください。
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Salesforceの日本向け最新情報は、salesforce.com/jp/news/をご覧ください。


