電力インフラ点検を効率化!ドローンポート活用でDXを加速する実証実験に成功

NTTドコモビジネス株式会社は、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合、関西電力送配電株式会社と協力し、電力インフラの点検をより効率的に行うための実証実験に成功しました。この実験では、ドローンポート「Skydio Dock for X10」を使い、ドローンによる自動巡視を行いました。
電力インフラ点検の課題
現在、電力インフラを安全に保つための点検作業は、とても複雑になっています。さらに、点検を行う作業員の高齢化や人手不足が進み、大きな問題となっています。特に、変電所や広い範囲に広がる送電線、鉄塔などの重要な施設の点検には、特別な技術と多くの時間や労力が必要です。
また、近年増えている自然災害が起きた時には、設備の被害状況を素早く安全に確認し、早く復旧させることが社会から強く求められています。NTTドコモビジネスは、このような社会の課題を解決するため、ドローン技術とモバイル通信技術を組み合わせた、遠くから高度な自動巡視を行う方法がどれだけ有効かを確かめました。
実証実験の成果
今回の実証実験では、一つのドローンポートからドローンが飛び立ち、変電所の中と送電線・鉄塔という、目的や環境が違う場所の両方を、途切れることなく自動で点検できることが確認されました。複数日にわたる飛行を通じて、以下のことが分かりました。
変電所内の巡視
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自動飛行と撮影: 高さの違う場所に設置された計器類を、ドローンが自動で飛行して撮影しました。何度も飛行した結果、計器などの目標物を正確にとらえることができました。
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安定した飛行と安全: 狭い場所での飛行でも、ドローンの障害物を避ける機能を使って、安定して飛ぶことができました。さらに、上空LTE通信と組み合わせることで、通信が途切れないように工夫し、安全な飛行を可能にしました。
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昼間と夜間の巡視: 定期的な昼間の点検に加えて、夜間にも状況を確認することができました。これにより、異常が起きた時など、夜間でも素早く安全に情報を集めることができる可能性が示されました。


送電線・鉄塔のレベル3.5無人巡視
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ドローンポートからのレベル3.5無人巡視: ドローンポートから離陸し、着陸するまで、レベル3.5の無人巡視が行われました。これは、ドローンの目視外飛行に関する制度で、機上カメラで歩行者がいないことを確認することで、補助員や看板の設置、一時停止などの立ち入り管理が不要になり、効率的な飛行が可能になります。これにより、現場に行かなくても広い範囲の状況を確認できる技術の有効性が確かめられました。
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安定した長距離通信: 目でドローンが見えない場所を飛ぶ時にとても大切な映像の送信では、上空LTE通信などを組み合わせることで、通信が途切れないようにしました。往復およそ3kmの飛行経路でも通信は安定しており、はっきりとした映像で状況を確認できました。

今回の実証実験の様子は、以下の動画で確認できます。

今後の展開
NTTドコモビジネスは、今回の実証実験で得られた知識や経験を活かし、電力インフラ事業者をはじめとするインフラを管理する企業に対して、ドローンポートを使った高度な自動巡視ソリューションの提供を本格的に進めていくとのことです。
なお、今回活用された「Skydio Dock for X10」は、Skydio X10ドローン専用のドローンポートです。遠くからドローンの自動充電、飛行操作、リアルタイム映像確認を可能にするもので、2025年6月より注文受付を開始しています。
ドローンのレベル3.5飛行制度については、国土交通省の以下の資料で詳しく解説されています。
NTTコミュニケーションズ株式会社は、2025年7月1日に社名を「NTTドコモビジネス株式会社」に変更しました。企業と地域が持続的に成長できる社会を支える「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、新しい価値を生み出し、豊かな社会の実現を目指しています。


