奈良県野迫川村で「共同配送×ドローン配送」実証実験を実施 – 地域インフラ「準公共化」モデル実現へ

地域課題解決に向けた「準公共化」モデルの構築

奈良県野迫川村は、セイノーホールディングス株式会社、株式会社NEXT DELIVERYと協力し、2026年1月21日に地域インフラの維持に関する実証実験を行いました。この実験は、人口減少、高齢化、物流を担うドライバーの不足といった地域の課題を解決し、物流サービスを「完全な民間サービス」としてではなく、「準公共化」モデルとして維持していくことを目指しています。

具体的には、複数の物流事業者の荷物をまとめて運ぶ「共同配送」と、山間部の最終的な配送(ラストワンマイル)を担う「ドローン配送」を組み合わせた「新スマート物流」の仕組み作りが目標です。今回はその第一歩として、災害が起きた時と、住民の方々へのサービスとしてのドローン配送が試されました。

学校の校庭でドローンを使ったデモンストレーションを見守る人々

実証実験の概要と役割

奈良県野迫川村は、総面積の97%が山林で、人口334人(2025年1月時点)という、人口が少ない自治体です。物流業界は、インターネット通販の普及で荷物が増える一方で、2024年問題で注目された労働時間制限やドライバーの高齢化による人手不足に直面しています。特に野迫川村のような山間部では、将来的に物流サービスの維持が難しくなることが予想されています。

今回の実証実験は、このような状況に対応するため、「野迫川村地域物流協議会」が中心となり、以下の内容で実施されました。

  • 実施日: 2026年1月21日(水)

  • 飛行ルート・回数: 指定ルートでの往復配送飛行

  • 使用機体: 物流専用ドローンPF4

    • PF4は、長距離飛行が可能で、荷物専用箱のサイズも大きく、防水性能も備えているため、多様な天候条件での利用が期待されています。
  • 配送物: 生鮮食品、飲料(防災備蓄を想定)、野迫川村広報誌

学校の校舎前で飛行するドローンと見上げる人々

各社の主な役割は以下の通りです。

  • 奈良県野迫川村: 「野迫川村地域物流協議会」として共同配送を主導し、住民への理解を深め、実験の場を提供しました。

  • セイノーホールディングス株式会社: 共同配送の調整役となり、物流サービスや配送のノウハウを提供しました。

  • 株式会社NEXT DELIVERY: 新スマート物流の導入ノウハウや、ドローンの遠隔運航、全体の管理を担当しました。

五條市から野迫川村へ軽トラックで配送後、村内でドローン配送するシステム図

実証実験で確認された効果

今回の検証では、以下の項目で効果が確認されました。

  • 住民生活の向上: 災害時の支援物資を運ぶルートの作成や、買い物代行サービスのニーズ調査を行いました。

  • 共同配送の実現性: 複数の物流会社との連携や、普段使いと災害時の両方に対応できる「フェーズフリー」な仕組みの可能性を検討しました。

  • ドローン配送の有効性: 陸路での配送と比べてどのくらいの時間やコストを減らせるか、ドローン配送が住民の移動負担を減らし、高齢者の免許返納後の移動手段となるか、また、少量の荷物や緊急配送、陸路が使えない場合など、どのような状況でドローンが最も役立つかを分析しました。

村長のコメントと今後の展望

今回の実証実験でドローン配送された荷物を受け取った野迫川村の吉井善嗣村長は、関係者への感謝を述べ、「中山間地域では、普段の生活を支える物流だけでなく、地震や豪雨で道路が寸断された際にも、地域の生活を維持する仕組みが必要です。今回の実験は、陸路が使えなくなった場合でも、地域の機能を続け、早く回復させるための重要な検証でした」とコメントしました。そして、「今後も持続可能で安心できる地域づくりに向けて検討を重ねてまいります」と語りました。

ドローンが置かれた草地で、配送された白いパッケージを持つ男性

今後は、今回のデータをもとに、トラック配送とドローンを効率的に組み合わせた、持続可能な地域物流モデル「新スマート物流」の体制構築を目指します。トラックでまとまった荷物を運び、ドローンで配送が難しいエリアや緊急の荷物を運ぶことで、地域全体の物流コストを抑えながら、安定した配送網を作っていく予定です。

また、この体制を基盤として、日常的には近隣の小売店と協力した買い物代行サービスなどを実施し、自治体とも連携を深めながら、「準公共化」に向けた本格的な運用と、災害時にも役立つ丈夫な物流ネットワークの地域社会への導入を進めていく方針です。


新スマート物流とは

人手不足や環境問題など、物流業界が抱える課題に対し、デジタル技術を活用して解決を目指す取り組みです。地域の状況に合わせて、共同配送、陸送と空送の組み合わせ、災害時にも対応できるフェーズフリー型物流などを、官民が協力して実現することを目指します。

野迫川村について

奈良県の西南端に位置し、村域のほとんどが山林で占められています。高野山や熊野古道小辺路といった世界遺産に隣接し、歴史と自然豊かな地域です。一方で、地理的な条件や集落が点在していることから、物流や移動手段の確保が課題となっています。今回の実証実験は、このような地域における持続可能な物流のあり方を考える重要な取り組みとして位置づけられています。

より詳しい情報は野迫川村のウェブサイトをご覧ください。
https://www.vill.nosegawa.nara.jp/index.html

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