ニュートラDCシンガポールと石狩再エネデータセンター第1号、デジタルインフラとAIコンピューティング事業で戦略的提携

ニュートラDCシンガポールと石狩再エネデータセンター第1号が戦略的提携に関する覚書を締結

2025年12月25日、ニュートラDCシンガポールと合同会社石狩再エネデータセンター第1号は、戦略的提携に関する覚書を締結しました。この提携は、シンガポール、インドネシア、そして北海道石狩におけるデジタルインフラとAIコンピューティング事業の拡大を目指すものです。

雪に覆われた広大なソーラーパネルと、建設中の大規模な建物。背景には工業地帯や港、風力発電機が見える冬の景色。

提携の目的と概要

石狩再エネデータセンター第1号は、北海道石狩とアジアのネットワークの中心であるシンガポールをネットワークでつなぐことで、利用者に向けて両国でのサービス展開が可能なデジタルインフラを提供します。この取り組みにより、シンガポールやインドネシアから北海道石狩へのデータセンター事業者およびGPUユーザーの誘致を目指します。

覚書の内容

今回の覚書には、以下の主要な内容が含まれています。

  1. コロケーションサービスの相互提供
    ニュートラDCシンガポールは、シンガポールとインドネシアにあるデータセンターで、石狩再エネデータセンター第1号のユーザー向けにコロケーションサービスを提供します。

  2. IOWNネットワークとニュートラコネクトの活用
    石狩再エネデータセンター第1号は、2026年8月に北海道石狩から東京大手町間で開通予定のオールフォトニクスネットワーク(APN)であるIOWN(アイオン)を通じ、ニュートラDCシンガポールのネットワークPOP(ポイント・オブ・プレゼンス)を石狩再エネデータセンター第1号の建物内部に設置できるよう支援します。これにより、北海道石狩とシンガポール間で「ニュートラコネクト」の利用実現を目指します。

    • ニュートラ・コネクト(Neutra Connect): ニュートラDCが提供するデジタルプラットフォームサービスで、各データセンター、マルチクラウド環境、アプリケーション、デバイス、ビジネスパートナーをシームレスに接続します。24時間以内に新たなネットワーク構築が可能で、データ転送コストを最大30%削減することが期待されます。
  3. 日本への事業展開支援
    ニュートラDCシンガポールは、日本への進出において北海道が適地であると考えています。石狩再エネデータセンター第1号は、ニュートラDCシンガポールが自社用のデータホール利用を検討する際や、石狩新港地域のRE100ゾーンで新たなデータセンター事業を行う検討を行う際に支援します。

  4. クロスボーダーGPU-as-a-Service(GaaS)事業の共同開発・推進
    両社はそれぞれの強みを活かし、クロスボーダーGPU-as-a-Service(GaaS)事業を共同で開発・推進します。ニュートラDCシンガポールが主にGPUシステムのアーキテクチャ、AIコンピューティングサービスの構築・運用において主導的な役割を果たし、北海道石狩で「ニュートラコンピュート」の利用ができることを目指します。石狩再エネデータセンター第1号は、GaaSの実装に向けたインフラ構築の提供・支援と顧客開拓を担います。

    両社は、シンガポールと北海道石狩市を結ぶネットワークにより、エンド・ツー・エンドのクロスボーダーGPUサービスを共同で実現し、低遅延でのGPUワークロード・フェデレーション、強固なセキュリティ、冗長性を持つネットワークを通じて顧客がサービスにアクセスできるようにします。

    • ニュートラ・コンピュート(Neutra Compute): ニュートラDCがNVIDIAやAMDといった高性能GPUを用いて提供するGaaSです。企業のイノベーションを推進するためのスピード、スケーラビリティ、インテリジェンスを提供し、エンタープライズAIイノベーションを推進します。

    ビジネススーツを着た2人の男性が、書類を手に笑顔で握手を交わしています。これは、何らかの協定や契約が成立したことを示すフォーマルな場面であり、新たなパートナーシップの締結を祝っている様子がうかがえます。

    日本(北海道石狩、東京大手町)と東南アジア(シンガポール、インドネシア・ジャカルタ)を結ぶルートが赤線で示された地図。通信ネットワークや移動経路を表していると考えられます。

  5. 北海道庁への期待
    上記の取り組み実現に向けて、北海道庁の主導的な取り組みと支援が期待されています。ニュートラDCシンガポールは、2025年2月に北海道庁主催のシンガポール商談会に参加し、同年3月には北海道石狩を視察しました。これまでの北海道庁の尽力と支援に感謝し、今後も強力なリーダーシップと戦略的な展開が期待されます。

石狩再エネデータセンター第1号の概要

石狩再エネデータセンター第1号は、総務省の「令和3年度補正デジタルインフラ整備基金助成事業」に基づく一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の助成金交付決定を受け、2026年4月の開業を予定しています。東急不動産株式会社、株式会社Flower Communications、アジリティー・アセット・アドバイザーズ株式会社が中心となり、浅井謙建築研究所株式会社の設計監理、株式会社中山組が建設を手がけます。延床面積は11,093㎡(予定)、受電容量15MW、ラック数1140のデータセンターとなる予定です。

ニュートラDC(NeutraDC)の概要

NeutraDCは、Telkom Indonesiaの子会社であるPT Telkom Data Ekosistemのブランドです。インドネシアとシンガポールで合計33のデータセンターを運営しており、Tier IIIおよびTier IV規格に準拠した5つのエンタープライズデータセンター、2つのハイパースケールデータセンター、そしてインドネシア全土に分散する26のエッジデータセンターで構成されています。現在、インドネシアのバタム島に新たなハイパースケールデータセンターを開発中です。これらの拠点を通じて、インドネシアの1億8,500万人以上のデジタルユーザーへのアクセスをサポートし、世界中の企業やハイパースケール顧客にデータセンターサービスを提供しています。

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