DX wpmaster 2025年12月23日 0 コメント

香川県・男木島でドローンと赤外線技術を活用したイノシシ生態調査を実施、AI自動判定システムへの発展目指す

香川県高松市に浮かぶ男木島では、近年イノシシの数が急に増え、農作物への被害が深刻になっています。さらに、イノシシが住宅地にも現れるようになり、夜間の外出に不安を感じる住民もいます。

このような課題を解決するため、一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会、株式会社キンシュウ、株式会社ビットコミュニケーションズの3社が協力し、2025年12月16日から17日にかけて、ドローンと赤外線カメラを使ったイノシシの生態調査を行いました。

ドローンと赤外線カメラによる調査

この調査では、ドローンの自動離着陸ステーション「DJI Dock3」と、赤外線カメラを搭載したドローン「Matrice 4TD」が使われました。約1時間ごとに自動で飛行し、昼夜を問わずイノシシの活動状況を記録することに成功しました。

イノシシは日の出や日の入り前後の約2時間が特に活発に活動することが知られています。そのため、この時間帯にはドローンの飛行回数を増やし、集中的に捜索が行われました。

調査手法

地形調査と飛行ルート設計
事前にドローンで島の地形を詳しく調べ、安全で効果的な飛行ルートを決めました。
自動飛行による定期撮影
島に設置された「DJI Dock3」から「Matrice 4TD」が自動で飛び立ち、決められたルートを飛行しながら赤外線画像を撮影しました。
イノシシ活動時間帯への集中捜索
イノシシが活発になる時間帯に飛行頻度を高め、集中的に捜索しました。
赤外線画像によるイノシシ検出
撮影された赤外線画像から、イノシシの体温を検知し、どこで、どのように活動しているかを記録しました。

調査結果と今後の展望

24時間にわたる調査の結果、多くのイノシシの活動を画像で記録できました。赤外線カメラを使うことで、夜間や草むらに隠れて見えにくいイノシシの存在もはっきりと捉えることができ、これまでの目視や罠による調査ではわからなかった行動パターンの一部が明らかになりました。

今後は、この調査で得られた画像データをもとに、AI（人工知能）を活用した画像自動判定システムの開発が進められます。

想定される活用方法

リアルタイム検知: イノシシが特定の場所に現れた際に、自動で検知できるようになるでしょう。
農作物被害の軽減: イノシシが出没する傾向を分析することで、より効果的な対策を立てられると期待されます。
住民への危険告知: イノシシが住宅地に近づいた場合に、住民に注意を促すアラートを発信できるようになるでしょう。

運用体制も強化され、今後はドローンと自動離着陸ステーションの組み合わせを2セットで交互に使うことで、イノシシの活動が活発な時間帯の監視をさらに密にし、より正確な監視体制を目指します。これにより、人の手をあまりかけずに続けられる獣害対策の仕組みを作り、男木島だけでなく、同じような問題を抱える全国の離島や山間地域へ広げていくことを目指しています。