渋谷発の技術革新!ディープテックスタートアップと東急不動産・貝印が事業検証を発表

東急不動産とスクラムスタジオが渋谷サクラステージで共同運営する「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA(SDS)」が、開業1周年を迎えました。この1年間、SDSはマサチューセッツ工科大学(MIT)の教授陣をはじめとする世界トップクラスのパートナーとともに、ディープテック分野のスタートアップを支援するグローバルなコミュニティ拠点として活動してきました。

SDSの主要な活動の一つである事業支援プログラム「Sakura Deeptech Shibuya Accelerator」では、選ばれた10社のスタートアップが半年間、日本市場への理解を深め、日本企業との実証実験や商品開発、事業化の協力について検討を進めました。2025年12月4日には、これらの成果を発表するデモデイが開催され、SDSの1周年を祝う場となりました。

SAKURA DEEPTECH SHIBUYAのイベントに参加したスタートアップ関係者やメンターなど、多様な人々が一堂に会した集合写真

プログラムで生まれた主な成果

1. Verobotics(ベロボティクス)と東急不動産

イスラエル発のスタートアップであるVeroboticsは、全自動でビルの外壁を清掃するロボットを開発しています。このロボットは清掃と同時に外壁のデータも集めて管理できます。デモデイに先立つ12月3日には、渋谷サクラステージのセントラルビルで、Veroboticsのロボットが窓を清掃する実証実験が行われました。東急不動産は、このロボットの本格的な導入や日本市場での展開を支援していく予定です。

Verobotics社の窓拭きロボットのデモンストレーションの様子

2. Loliware(ロリウェア)と東急不動産

アメリカのスタートアップLoliwareは、プラスチックの代わりに使える海藻由来の新しい素材を開発しています。9月20日に東急不動産が運営する東急リゾートタウン勝浦で開催された環境イベントでは、Loliwareの海藻由来ストローがドリンク提供時に試験的に導入されました。今後、他のプロジェクトでの活用も検討されています。

夏らしい柄のシャツを着た子供が、ストローを使ってオレンジ色の飲み物を飲んでいるクローズアップ

3. Foundation Alloy(ファウンデーションアロイ)と貝印

アメリカのFoundation Alloyは、世界で初めての完全固体金属技術を使った、とても高性能な金属を開発しています。このプログラムを通じて貝印との協力が始まり、2026年中には、Foundation Alloyの技術を使った包丁の製造実証実験が計画されています。貝印では、包丁を作る際に材料の無駄が出てしまうことが課題でした。Foundation Alloyの金属加工技術を使うことで、型を作る工程が不要になり、製造にかかる時間の短縮や廃棄物の削減、さらには製造コストの低減が期待できます。今後、具体的な製造プロセスや作業方法を検証し、製品化に向けて連携を進める予定です。

男女6人が笑顔で並び、背景には商品が展示されたショールームのような空間が広がる集合写真

活気に満ちたデモデイイベント

イベント当日は、事業会社やベンチャーキャピタル、大学、行政機関など、200名以上が参加しました。パネルセッションでは、電力会社オクトパスエナジージャパンのMichael Cottrell氏が登壇し、海外スタートアップが日本企業と協力して事業を進める上でのコミュニケーションや文化の違いについて講演を行いました。

また、プログラムに参加した10社のスタートアップによるブース展示も行われ、最新の取り組みや技術のデモンストレーションが披露されました。参加者との間で活発な交流が生まれ、新たな協力のきっかけとなりました。

約200名が参加した技術イベントの様子。講演会、パネルディスカッション、Edgenesis社のAI/IoT技術展示ブース、そして参加者によるネットワーキングの場面

採択されたスタートアップとコンセプトムービー

今回採択されたスタートアップは、AI&Robotics(人工知能とロボット)やClimate Tech(気候変動対策技術)といった分野で活動する10社です。それぞれの技術や取り組みをより深く理解してもらうため、コンセプトムービーも制作されました。このムービーでは、各スタートアップの技術がどのような社会課題を解決し、未来をどのように変えていくのかが、分かりやすく紹介されています。

SAKURA DEEPTECH SHIBUYAの「SDA Y1 Startups Concept Visual」と題された画像で、10個のスタートアッププロジェクトのコンセプトビジュアルが紹介されています

コンセプトムービーはこちらからご覧いただけます。
https://youtu.be/lYIIjX9p0kI

SDSのコミュニティ活動

SDSは開業から1年が経ち、多くのパートナー企業や大学、団体が参加することで、日々のコミュニティ活動が大きく広がり、活発になっています。さまざまな分野の人々が集まり、交流や協力から新しい価値が生まれるなど、イノベーションの中心地としての機能がさらに強まりました。今後も、より多くの関係者と協力し、社会の課題解決に役立つディープテックのエコシステム(協力体制)を作り上げていくことに貢献していきます。

渋谷SDSが主催する200団体以上のパートナーコミュニティと、その日常的な勉強会やサロン活動の様子

2026年度アクセラレータープログラム参加スタートアップを募集

東急不動産とスクラムスタジオは、2026年度のアクセラレータープログラムに参加する、世界で活躍を目指す国内外のディープテック・スタートアップを募集します。

渋谷は、メディア、ゲーム、音楽、ファッション、食、アートなど、多様な文化が交わり、世界に発信される特別な場所です。SAKURA DEEPTECH SHIBUYAは、渋谷が持つ文化やコンテンツに最先端の技術を組み合わせることで、新しい体験と価値を生み出し、世界へ届ける機会を提供します。来期のプログラムでは、「コンテンツにイノベーションを起こす 〜世界一ユニークなまち・渋谷から発信へ〜」というコンセプトのもと、渋谷の文化をさらに盛り上げるディープテック・スタートアップを募集します。

  • 主な対象: アーリー・グロースステージのスタートアップ

  • 対象地域: 世界中(日本国内・海外)

  • 対象領域: 上記コンセプトに合うディープテック(サステナビリティテック、AI・ロボティクス、その他のテクノロジーを含む)

  • 募集開始: 2026年1月末頃

応募の詳細については、以下のページで2026年1月末頃に発表される予定です。
https://www.sakuradeeptechshibuya.com/accelerator/

SAKURA DEEPTECH SHIBUYA 施設概要

  • 名称: SAKURA DEEPTECH SHIBUYA -Global Innovation Hub-
  • 場所: 渋谷サクラステージ セントラルビル 12 階(東京都渋谷区桜丘町 1-2)

  • 開業: 2025 年 1 月 23 日

  • 公式ウェブサイト:
    https://www.sakuradeeptechshibuya.com/

晴れた日の都市全景。ガラス張りの高層ビルがそびえ立ち、車が走る幹線道路が隣接

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