富士通、「Fujitsu Kozuchi Physical AI 1.0」を開発し、AIエージェント連携による業務自動化を推進

富士通がPhysical AIとAIエージェントを連携させる新技術を発表

富士通株式会社は、NVIDIAとの協業の成果として、Physical AIとAIエージェントをスムーズにつなぐ新技術「Fujitsu Kozuchi Physical AI 1.0」を開発したと発表しました。この技術は、機密性の高い業務ワークフローを安全に自動化することを目指しています。

業務自動化の現状と課題

近年、AIエージェントの進化は目覚ましいものがありますが、その活用はまだ企業内の一部の業務に限られています。企業をまたいだ複雑な事務処理や、部署間の調整が必要な業務などへの適用は進んでいません。AIエージェントが高度な自動化を実現するためには、特定の業務に特化したAIエージェントの開発に加え、機密情報の安全な処理や、業務の保守性を確保することが重要です。

この課題は、AIエージェントがロボットを介して現実世界に直接作用するPhysical AIの分野でも同様です。複数のロボットが連携して高度な作業を行う際には、現場の業務を理解し、現実世界でも機密情報を安全に共有・処理する仕組みが求められます。

「Fujitsu Kozuchi Physical AI 1.0」の主な機能

これらの課題を解決するため、富士通はNVIDIA NIMマイクロサービスと自社技術を組み合わせた「Fujitsu Kozuchi Physical AI 1.0」を開発し、そのトライアル環境の提供を開始しました。

1. 機密性の高い業務ワークフローを安全に自動化するマルチAIエージェントフレームワーク

このフレームワークは、ビジュアルなインターフェースを使って業務ワークフローを簡単に構築できる機能です。「Fujitsu Composite AI」を活用し、AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」の技術や大規模言語モデル「Takane」を自動で組み合わせて、保守性の高い業務ワークフローを素早く作ることができます。さらに、「セキュアエージェントゲートウェイ」により、情報の安全性を保ちながら業務を自動化します。

2. 企業購買部門の調達業務を効率化するAIエージェント

「Takane」を基にした「Fujitsu Kozuchi AI Agent」として、購買部門の調達業務を自動化・効率化する3種類のAIエージェントが開発されました。

  • 帳票理解エージェント: 複雑な帳票の構造を正確に理解し、構造化されたデータに変換します。

  • 購買規約解析エージェント: 購買規約を解析し、チェックに必要な指示(プロンプト)を生成します。

  • 適合チェックエージェント: 構造化された帳票データと生成されたプロンプトにより、規約への適合を自動で確認します。

適合チェックされた見積依頼は、「セキュアエージェントゲートウェイ」を通じて機密情報が含まれていないか確認された後、社外の発注先へ送られます。

購買業務のAIエージェント連携イメージ

富士通の購買部門での実証実験では、これらのAIエージェントを使うことで、発注確認にかかる作業時間を約50%削減できる効果が確認されました。また、NIMに対応することで、推論速度が50%向上すると見込まれ、1日あたり数百件に及ぶ社内規約適合チェック業務の高速化が期待されます。

今後の展望

富士通は今後、NVIDIAと協力し、この技術をさらに発展させ、2025年度中にお客様の環境でAIが自律的に学習し進化するAIエージェント技術へと進化させる予定です。さらに、AIエージェントがロボットを介して現実世界で作業するPhysical AIの分野へも順次拡大していきます。AIエージェントとロボットがスムーズに連携し、現実世界の業務を理解して高度に協調する社会の実現を目指しています。

これからも、お客様の様々なニーズに応え、専門的な業務の課題を解決するための研究開発を進め、AIエージェントやPhysical AIの活用における新たな可能性を切り開いていくとしています。

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