企業が直面する危機に備える!『危機管理白書2026』発刊

『危機管理白書2026』が発刊

企業にとっての「危機管理」や「リスクマネジメント」、そして「事業継続計画(BCP)」は、社会情勢が変化する中でますます重要になっています。そんな企業の担当者に向けて、今年1年間の重大な出来事や業界の動きをまとめ、2026年に企業が直面する可能性のある10のリスクキーワードを解説した書籍『危機管理白書2026』が発刊されました。

この白書は、2025年に明らかになった課題を深く掘り下げ、次の年に向けたさまざまなリスクの整理方法や、具体的な対策方法を1冊に凝縮した保存版の資料です。

「危機管理白書 2026」の表紙と目次。地政学、気候、サイバー空間、インフラなど「崩壊するレッドライン」をテーマに、危機管理キーワード10、2025年の振り返り、法制度、サイバー対策、複合災害、OTリスクなどを解説。DXによる防災・BCPのアップデートを提言しています。

越えてはならない一線「レッドライン」の崩壊

巻頭言では、「レッドライン」という言葉に注目しています。これは、外交や軍事の世界で「これ以上は踏み込んではいけない」という境界線を指します。しかし、2025年を振り返ると、世界中でこのレッドラインが「無視され」「少しずつ侵害され」「結果として正常に機能しなくなりつつある」状況が浮かび上がると指摘されています。

この問題は、国の関係だけでなく、気候変動やインターネットの安全(サイバー空間)、社会の基盤となる設備(インフラ)、さらには自然環境(生態系)といった幅広い分野でも起きており、レッドラインが崩れ始めている現状が示されています。

2025年の危機管理・重大ニュースを振り返る

2025年には、企業の危機管理に関わる多くの出来事がありました。白書では、法制度やガイドラインに関する動きも含め、この1年間の重大ニュースを詳しく振り返っています。

1月から6月までの国内外ニュースをまとめた画像。国内では企業不祥事、交通・インフラ障害が発生。海外では山火事、大雪、地震、航空機事故、停電、紛争、核施設空爆など、多様な災害と緊迫した国際情勢が報じられている。

この画像は、地震発生確率評価、気象情報見直し、洪水警報新設、警戒レベル、富士山噴火対策、熱中症対策、サプライチェーン対策、人権デューデリジェンスなど、多岐にわたる国の防災・安全保障政策に関する情報を示しています。

2026年、企業を脅かす10のリスクキーワード

白書では、2026年に企業が特に注意すべき10のリスクキーワードを提示し、それぞれの内容を実務者の視点で解説しています。これらのキーワードは、単なる個別の問題ではなく、社会や企業活動の根っこにある弱点を示しています。

2026年の危機管理に向けた10のキーワードを、影響度と発生確率で示したリスク地図。サイバー攻撃、複合災害、インフラ老朽化など多岐にわたる課題と、リスク連鎖への包括的な対策の必要性を提示している。

  1. 止まる前提のサイバー対策
  2. 都市+自社インフラの老朽化
  3. 常態化する複合災害
  4. 頻度・影響度ともに増した火災
  5. 異常気象がもたらす別世界
  6. 海外事業におけるレッドライン
  7. 「2025年の崖」が招くOTリスク
  8. Gメンで強化される下請法
  9. 謝罪会見で問われる組織の本質
  10. 危機の警鐘 リスク連鎖

これらのリスクに対して、企業はこれまでの個別対応だけではなく、複数のリスクが互いに影響し合って拡大する可能性を考えた、より包括的で持続可能な危機管理体制へと変わっていくことが求められています。白書には、これらのキーワードが実際に起きた場合に企業がどう対応すべきかを考えるための「改善ワークシート」も付いています。

「改善ワークシート」は、サイバー攻撃や災害など10のリスクシナリオに対し、企業が対応できない理由を分析し、改善策を検討するためのフレームワークです。

危機管理をアップデート!DXが変える防災・BCP

地震や豪雨、停電など、災害はいつ、どこで、どのくらいの規模で起きるか予測が難しいものです。従来のBCPでは対応しきれない状況が増える中で、デジタル技術(DX)を使った防災の進化が注目されています。

白書では、ドローンを使った空からの状況把握や、通信が途絶えるのを防ぐ災害通信ネットワークなど、事業を止めないための「新しいインフラ」となる技術を紹介。企業が直面するリスクと、それに対応するためのDX活用事例が詳しく解説されています。

ドローンが防災・BCPを変える

ドローンは、災害時の状況把握や物資輸送など、防災・BCPの分野で大きな可能性を秘めています。ドローン減災士協会への取材内容や、地域密着型の保険代理店「株式会社ぱれっと」、ラストワンマイル問題の解決に挑む「富士産業株式会社」の事例を通じて、ドローンの活用法と課題が紹介されています。

災害時通信システムの現在と未来

能登半島地震で総務省が4機種の通信機器を貸し出した事例などから、災害時の通信確保の重要性が強調されています。大成建設の通信強化の取り組みや、東京海上日動火災保険が本店被災を想定してスターリンクを導入した事例を通じて、多様な代替手段の確保が通信強化の本質であることが示されています。

AIプロンプトコンテスト2025

災害を想定し、深く考える力がこれまで以上に求められる中で、読者から「実務でそのまま使えるAIプロンプト」を募集するコンテストが初めて開催されました。選ばれた12作品の概要と、すべてのプロンプトが全文公開されています。

AIを活用した企業向けリスク管理・BCP支援ツール2種。南海トラフ災害シミュレーションで判断力・初動対応を強化し、エマージングリスク分析ツールで世界トレンドから未知の脅威を抽出し対策を生成。事業継続を支援します。

書籍情報

  • 編集: リスク対策.com

  • 発行: 株式会社 新建新聞社

  • 判型: A4判100ページ(本文96ページ)、カラー

  • 価格: 書籍版 4,400円(税込み)

詳細については、以下のリンクから確認できます。
https://www.risktaisaku.com/articles/-/107983

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