スペイシャルが「2026 1.0」をリリース:CADデータ変換やモデル処理機能を大幅強化

スペイシャルは、設計、製造、シミュレーションのワークフローをより安定させ、高性能に最適化するための新バージョン「2026 1.0」の一般提供を開始しました。

3D InterOpの機能強化

3D InterOpは、さまざまなCADデータをスムーズにやり取りするためのツールです。今回のリリースでは、以下の点が強化されました。

  • SOLIDWORKS Readerの機能向上: 製品製造情報(PMI)から加工品質を向上させる粗さ情報や、注釈付きの3Dビュー/キャプチャをサポートしました。これにより、設計の意図が明確になり、CAMソフトやCNC機械での加工・検査プログラムに直接活用できるようになります。

  • Creo ReaderでのアセンブリPMI対応: 部品間の正確な寸法と位置関係を保証するPMIが、アセンブリ環境でも利用可能になりました。

  • STEP AP242対応: モデルベース定義(MBD)のエクスポートが可能となり、設計・製造・品質管理の同時進行や、サプライチェーン連携の効率化を支援します。

  • CADフォーマット最新版対応: 以下のCADフォーマットの最新版に対応しました。

    • Creo Version 12

    • SOLIDWORKS 2026

    • NX 2506

    • AutoCAD® 2026

    • Inventor 2026

    • JT 10.10

    • Parasolid 38

3D InterOp

Data Prepの進化

Data Prepは、CADデータの準備を助けるツールです。今回のリリースでは、内部部品除去機能(HBR)が主要なCADフォーマットに拡張されました。

  • HBR(内部部品除去機能)が主要フォーマットに対応: モデル内部の見えない部品を自動で取り除くHBR機能が、以下の主要なCADフォーマットに拡張されました。

    • STEP

    • IGES

    • JT

    • 3DXML

    • SOLIDWORKS

    • CATIA V5

    • NX

    • Creo

    • Inventor

    • 3D ACIS Modeler

    • CGM Modeler

    • Parasolid

    今回のリリースで、Parasolidベースの変換にも対応します。

Data Prep

3D ACIS Modelerの強化点

3D ACIS Modelerは、3Dモデルを作成するためのツールです。今回のリリースでは、以下の機能が強化されました。

  • モデル比較機能: 異なるモデル間の違いを簡単に見つけられるようになり、この機能のアルゴリズムも改善され、性能と安定性が向上しました。

  • CGM Hidden-Line Removal(HLR 隠線除去機能): 新しいAPIにより、隠れた部分を取り除き、同じ3Dデータから複数の2D図面を素早く作成する際の性能が大幅に向上しました。

  • 新製品「ACIS向けMesh Prep」: 3D ACIS Modelerのアドオンとして登場しました。これは、シミュレーションを行うためのCADデータの準備を簡単にするツールです。主な新機能は以下の通りです。

    • Entity Snapping(エンティティ・スナッピング): わずかなズレがあるジオメトリを修正し、メッシュ生成用ジオメトリの作成をより安定させます。

    • センターライン計算: チューブ状の3D形状を1Dのワイヤボディに単純化し、1Dメッシュ要素を使用することで計算の複雑さを減らします。

    • 中間面生成: 中立面生成機能がMesh Prep for ACISに統合されました。(Mesh Prep for ACISには追加ライセンスが必要です。)

  • 3D ACISモデラー向けCVM/CSM: サーフェスメッシュ生成アルゴリズムが改良され、複雑な形状でも、フェイス間の不正な交差やジオメトリの不整合を含むモデルに対しても、安定して効率的なメッシュ生成が可能になりました。

3D ACIS Modeler

CGM Modelerの強化点

CGM Modelerも、3Dモデル作成に利用されるツールです。今回のリリースでは、以下の機能が追加・強化されました。

  • 中立繊維からの半径取得: 円筒チューブやパイプの外縁から、中心線までの半径を計算する機能が追加されました。

  • 多面体ワイヤボディ生成: 開いた点や閉じた点の集まりの両方から、多面体のボディを作成できるようになりました。

  • リミティングボディ生成: フィレット(角を丸める処理)を連続して取り除く際に、その範囲をコントロールするための機能が追加されました。

  • CGMモデラー向けCVM/CSM: サーフェスメッシュ(CSM)とボリュームメッシュ(CVM)の適応型メッシュ精緻化(AMR)に関するサンプルコードと詳細記事が追加されました。

  • CSMサーフェスメッシャー/CVMボリューメッシャー: CSMとCVMが3D ACISモデラーおよびCGMモデラーに統合され、メッシュ生成機能が改善されました。

  • CSMと3D ACIS Modeler: 不正なフェイス交差を含む3Dジオメトリの処理における安定性が向上しました。

  • CSM/CVM/CGM Modeler: 複雑な3Dデータからの細かいメッシュ生成性能が向上し、適応型メッシュ精緻化(AMR)の新しいサンプルコードも追加されています。

CGM Modeler

スペイシャルについて

スペイシャルは、Dassault Systèmesの子会社であり、幅広い産業分野に向けた3Dソフトウェア開発ツールキットのリーディングプロバイダです。3Dモデリング、CAD変換、メッシング、3DビジュアライゼーションのSDKを通じて、開発者が市場をリードする製品を迅速に提供できるよう支援しています。35年以上にわたり、世界中の著名なソフトウェア開発企業、製造業、研究機関、大学に採用されてきました。本社は米国コロラド州ブルームフィールドにあり、米国、フランス、ドイツ、日本、中国、英国に拠点を構えています。

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