エンタープライズAIプラットフォーム利用実態調査:Azure OpenAIがトップ、既存クラウドとの連携が鍵
生成AIの業務活用が広がる中、多くの企業は「ChatGPTを直接使う」段階から「自社専用のAI基盤を構築する」段階へと進んでいます。しかし、情報漏洩やセキュリティのリスクへの不安から、企業全体で消費者向けのサービスを使うことにためらいを感じる企業が増えてきました。このような課題を解決するために注目されているのが、企業向けのAIプラットフォームです。これらのプラットフォームは、データの学習利用を保証しないこと、日本国内のデータセンターに対応していること、プライベートな接続が可能であることなど、企業が求めるセキュリティ要件を満たしながら、既存のクラウド環境と連携してAIを利用できる環境を提供します。
しかし、Azure OpenAI Service、Amazon Bedrock、Google Vertex AIなど、選択肢が増える中で、どのプラットフォームを選ぶべきかという新たな悩みも生まれています。企業ごとに異なる既存のクラウド環境、利用したいAIモデル、具体的な利用目的などを考慮し、最適なプラットフォームを選ぶための明確な基準が求められています。
Ragate株式会社は、こうした状況を明らかにし、企業のプラットフォーム選定を支援するため、2025年12月に情報システム部門やDX推進室に所属するビジネスパーソン505名を対象に「エンタープライズAIプラットフォーム選定実態調査」を実施しました。
調査結果のポイント
1. Azure OpenAI Serviceが7.5%でトップシェア
エンタープライズAIプラットフォームの利用状況は以下の通りです。

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Azure OpenAI Service: 7.5% (Microsoft 365との連携が強み)
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Amazon Bedrock: 6.7% (複数のAIモデルに対応する戦略)
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Google Vertex AI: 4.6% (Geminiとの統合)
Azure OpenAI Serviceが7.5%の利用率でトップとなりました。これは、Microsoft 365とのスムーズな連携、Azure Active Directory(現在のEntra ID)による認証の統合、Power Platformとの連携といった強みがあり、すでにMicrosoftの環境を利用している企業を中心に広がっていることがわかります。
Azure OpenAI Serviceが選ばれる主な理由は以下の通りです。
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Microsoft環境との統合: Copilot for Microsoft 365との連携がしやすく、既存のAzureアカウントで利用を始められます。
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企業向けセキュリティ: データの学習利用をしない保証、日本国内のデータセンターでの運用、プライベートな接続による高いセキュリティ対策が施されています。
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既存の投資を活かせる: Azureをすでに利用している企業は、追加の契約なしで利用開始でき、既存のセキュリティルールをそのまま適用できます。
2. Amazon Bedrockが6.7%に成長、複数のAIモデルに対応
Amazon Bedrockは利用率6.7%ですが、複数のAIモデルに対応する戦略と、AWSのサービスとの連携という独自の強みで急速に注目を集めています。

Amazon Bedrockには次の3つの強みがあります。
- 複数のAIモデルへのアクセス: Claude 3.5 Sonnet、Meta Llama 3.1、Amazon Titanなど、様々な会社のAIモデルを一つのAPIで利用できます。これにより、特定の会社に縛られることなく、最適なモデルを選べます。
- Claudeへの早期アクセス: 日本語の性能が高いAnthropic社の最新モデル「Claude 3.5 Sonnet」などに、いち早くアクセスできます。
- AWSサービスとの連携: Lambda、SageMaker、S3などの既存のAWSサービスと簡単に連携でき、既存のセキュリティ設定をそのまま使えます。また、サーバーレスなシステム構成にすることで、コストを最適化できます。
AWSを主なクラウドとして利用している企業や、複数のAIモデルを使い分けたい企業に選ばれており、特にサーバーを使わないサーバーレスなシステム構成との相性が良いと評価されています。
3. 既存クラウド環境との連携が選定の最重要基準に
今回の調査では、回答者の42.2%が「情報漏洩やセキュリティのリスク」を課題として認識しており、これが企業向けプラットフォームへの移行を促す最大の要因となっています。
プラットフォーム選定において最も重要な基準は、既存のクラウド環境との相性であることが明らかになりました。既存のセキュリティ設定やネットワーク構成をそのまま活用できることで、導入にかかる費用や運用にかかる手間を最小限に抑えられるためです。
プラットフォーム選定のポイントは以下の通りです。
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Azure環境が中心の場合: Microsoft 365との連携がしやすく、既存のAzureアカウントで利用を始められるAzure OpenAI Serviceが適しています。
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AWS環境が中心の場合: LambdaやSageMakerなどとの連携がしやすく、複数のAIモデルに対応する戦略で柔軟なAI活用が可能なAmazon Bedrockが適しています。
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GCP環境が中心の場合: Google Workspaceとの統合や、Gemini 1.5 Proの非常に長い文章を扱える機能が魅力のVertex AIが適しています。
これら3つの主要なプラットフォームはどれも、データの学習利用を保証しないこと、プライベートな接続、利用履歴の記録、データの暗号化、日本国内のデータセンター対応といった基本的なセキュリティ機能を標準で提供しており、消費者向けのサービスとの明確な違いとなっています。
今後の展望とRagate株式会社の支援
今回の調査結果から、企業向けAIプラットフォーム市場はまだ普及の初期段階(合計で約18.8%)にあるものの、セキュリティ要件が厳しくなるにつれて、急速に成長していく時期に入っていることがわかります。
Azure OpenAI Serviceの利用率7.5%は、Microsoft 365環境を持つ企業の約13社に1社がすでに利用している水準であり、企業向けAI基盤の定番としての地位を確立しつつあるでしょう。一方、Amazon Bedrockの6.7%という利用率は、複数のAIモデルに対応するという新しい選択肢を企業に提供し、特定の会社に頼りたくない企業層を獲得しています。
今後、生成AIの活用は、消費者向けサービスから企業向けプラットフォームへと明確に移行していくと予測されます。セキュリティへの懸念が42.2%に達している事実は、企業がAI活用を試す段階から本格的に展開する段階へ進む際、企業向けプラットフォームが不可欠な条件となることを示しています。
プラットフォーム選定の最も重要な基準は、既存のクラウド環境との相性です。新しいプラットフォームを導入する際に、既存環境との統合にかかる費用や運用にかかる手間を最小限に抑えることが、素早い導入と継続的な運用を実現する鍵となります。Azure環境であればAzure OpenAI Service、AWS環境であればAmazon Bedrock、GCP環境であればVertex AIという選択が合理的であり、既存のクラウドへの投資とセキュリティルールを最大限に活用できるかが成功の要因となります。
Ragate株式会社は、AWS Service Delivery Program認定パートナーとして、Amazon Bedrockを活用した企業向けAI基盤の構築を支援しています。これからも、企業向けAIプラットフォームの普及と、企業のAI基盤構築をサポートしていくとのことです。
AIプラットフォーム選定を検討中の企業様へ
Ragate株式会社では、企業向けAIプラットフォームの選定から構築、運用までを一貫して支援するサービスを提供しています。
AX実現伴走支援・Dify開発支援サービス
経営学修士(MBA)の知識を持つ専門家が、企業のバリューチェーンを分析し、既存のクラウド環境とビジネスの要望に基づいて最適なAIプラットフォームの選定を支援します。Azure OpenAI Service、Amazon Bedrock、Vertex AIそれぞれの特性を活かした戦略を立て、投資対効果(ROI)を見える化しながら、段階的な導入をサポートします。
詳細はこちら: https://www.ragate.co.jp/service/866lmotnd9u
生成AI開発の内製化と継続的なリスキリング・組織定着化実現
Amazon Bedrock上でのDifyセルフホスト環境の構築から、社内人材へのリスキリング(新しいスキルの習得)プログラムまで、技術面と人材面の両方から内製化を支援します。AWS上で安全に運用できる環境を構築し、使った分だけ支払う従量課金制によるコスト最適化も実現します。
詳細はこちら: https://www.ragate.co.jp/service/d2vzlznw8
「どのプラットフォームが自社に最適か分からない」「Amazon Bedrock上で安全なAI基盤を構築したい」「既存のAzure/AWS/GCP環境を活かしたい」といった悩みがあれば、Ragate株式会社に相談してみてはいかがでしょうか。


